吉事と発展
屋敷の隣接地に完成した火力発電所が無事に稼働し(なお、煤煙が屋敷や市街地に掛からないように、煙突には防煙器を設置した)我が屋敷にも電気が通って電球が付いた。向こうから取り寄せた資料で作った一足飛びのフィラメント電球の灯は、現代のLEDライトとは比べ物にならないとは言え、ランプの灯に頼りなさしか感じなかった俺には、随分と力強く見えた。
とは言え、この火力発電所の発電力を屋敷の灯だけに使っては、宝の持ち腐れだ。なので、電線を伸ばして一部の官庁や、そしてトセ中央駅の灯も電灯に変えた。
それでも発電力は余りまくりなので、これは領民や我が領を訪れる人々への宣伝と言った方が正しい。
もちろん、いつまでも宣伝に甘んじているつもりはない。この電力を利用した工場や電話網、そしていずれは路面電車の運転もしたい。色々と夢は広がる。
で、夢と別で現実の話としては、この度我が家に家族が2人増えました・・・そうだよ、アイリがついに赤ちゃんを産んだ。それも、何と男の子と女の子の双子。召喚前は子供どころか結婚すらできるかどうか怪しかった俺にとって、本当に嬉しい!
ちなみに、名前は男の子がツバサで、女の子がツバメ。うむ、我ながら素晴らしい命名だ。
ちなみに、俺は召喚特典で不老不死。そして、魔王であったアイリも不老不死。となると、この子たちの寿命はどうなるんだろう。生まれた瞬間から、親より先に死ぬことが運命づけられているなんてなったら、さすがに切なすぎるというものだ。
ただこの疑問は、アイリが妊娠してすぐに答えてくれて「生まれてくる子たちも不老不死ですよ」とのこと。しかし、そうなると子孫繁栄に差し障らない?とも思ったけど、それに対してもアイリは答えてくれて。
「不老不死と言っても、ケガや病気をすれば普通に死にます。なので、不老不死はそこまで子孫繁栄の障害にはなりませんよ」
なるほど。確かに、医療技術の遅れているこの世界じゃ、いくら不老不死の特典があっても、病気やケガで死ぬ可能性高いわな。
ちなみに、後から不老不死特典をもらった俺に対して、アイリの場合産まれた時から不老不死の体質だそう。そうなると、産まれてから成長しないんじゃない?という疑問が湧くけど、アイリ曰く不老不死と言うのは「精神と肉体が一番脂の乗っている時期で成長が止まる」ということらしい。
つまり、若く一番体力と気力が充実している時期の体と言うこと。だから、アイリは20代前半と言う見た目なんだな。ある意味羨ましい。こっちなんか、召喚時点で既にアラフォーの体だったからね。人間30代半ばになると、若い頃ほど無茶できなくなるんだよね。
まあ、そんな悲しい話は置いておくにして、子供が産まれたからには、これまで以上にがんばらないと。
まずは、子供向けのグッズ作りに、それから玩具や絵本なんかも発売したいな。もちろん、鉄道絡みの・・・ツバサとツバメに対する英才教育に、抜かりがあってはいけない。
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