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避暑地でも・・・

 ツイマゴの迎賓館は、さすがに海外からの賓客をもてなすだけあって、全てのサービスが最高レベルだった。日本人としては、大浴場がないのは残念だけど、この国ではしかたがない。


 で、本来賓客に対して行われるサービスをされるのだから、連れて来たうちの人間たちは、もう恐縮しきり・・・かと思いきや、迎賓館のスタッフたちとアレやコレやと意見の交換をし始めた。


 同じ貴族に使えるもの同士、サービスに関して有益な情報交換なのかもしれないけど、君たち一応夏休みであることを忘れないでね。


 というわけで、ここは雇用主として率先してそのお手本を見せるべく、俺はアイリと共にツイマゴ周辺でのバカンスを楽しむように心がけた。


 もっとも、閑静な避暑地なのだからやれることは限られていて、せいぜい散歩か近くの渓流での釣り、あとはバードウォッチングくらいだ。迎賓館のスタッフからは、狩猟も進められたけど、生憎と俺にはその素養がない。


 まあ、森の中の小道をアイリと連れ立って歩くだけでも、色々と発見があって楽しい。この辺りの未開発林には、開発のために森林鉄道を通したら良さそうだとか、あっちの山の近くまで支線を伸ばしてスキー場を作ったらとか、あの山にロープウェイかケーブルカーを建設すれば登山客にも喜ばれそうだとか。


「旦那様。鉄道趣味がダダ漏れですよ」


 途中から半分我を忘れて話していたものだから、ついにアイリに苦笑されてしまった。


 いけないいけない。


 通りかかった湖の湖畔で、腰を降ろして迎賓館のスタッフが用意してくれたサンドイッチ中心の弁当を食す。個人的にはおにぎりも欲しいけど、この国の主食は小麦なので、ここは我慢だ。


「アイリ、調子でも悪いの?朝もあまり食べてなかったじゃないか?」


 アイリが弁当を半分以上残して状態で、蓋を閉じた。ここ最近、食が細いみたいだ。


「大丈夫ですよ。ただ、どうも食欲がなくて。最近忙しかったから、疲れてるのかも・・・」


「そっか。早めに帰って休もうか」


「はい」


 さすがに妻を無視して、遊んでいるわけにもいかない。俺たちは予定よりも早く、迎賓館に引き上げた。


 アイリが本格的に体調を崩したのは、その日の夜だった。慌てて医者が呼ばれ、アイリを診察した。


 何か悪い病気なのかと身構えたが、医者は満面の笑みを浮かべながら、俺とアイリに診察結果を口にした。


「悪阻ですね。奥様は、お子様を身籠っておられます」


 な、なんと!確かにやることはやっていたけど、こんなに早く子供ができるなんて!というか、お互い不老不死に近い存在だから、子供ができるのか?と心配していたくらいなのに。


 とにかく、まずはアイリに「ありがとう。元気な子供を産んでくれ」とありきたりな感謝の言葉をしながら、どう彼女の体に負担を掛けないように、トセまで帰るべきかで、頭の中がいっぱいになる俺であった。


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