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次世代を見据えろ!

 難民受け入れから3日後、初めて代表団との会合が行われた。ただこれ、会合と言うより俺やアイリに対して感謝の言葉を述べる会になってしまった。


 俺としては、魔王国を降伏に追い込んだ勇者であることや、故郷から難民たちを引き離したことで、もっと警戒される。或いは俺が提示した定住に関して、もっと反発を受けることを想定していた。


 ところが、予想外なことに難民たちは俺たちに感謝しきりだった。


 アイリ曰く。


「あそこまでの施しを受ければ、誰だってああなります」


 とのことだった。


 結局、この日は会合にならなかったので、翌日少し彼らが落ち着いたところで、彼らに今後の身の振り方を提示した。


 それは完全に故郷との関係を絶ち、俺の収める領土の住民となることや、これから建設するミライの街で暮らしていくことなど。


 ただまあ、前日の反応で何となく予想できていたことだけど、彼らは丸々こっちの出した条件を受け入れてくれた。それどころか「この命、領主さまと領主夫人様に捧げます」などと言われてしまった。辞めて欲しい・・・


 こんな大人たちに対して、子供は素直だ。それは難民受け入れ施設の見回りをしていた時のこと、何人かの魔族の子供たちが少し離れた場所から俺の方を見て、何やら騒いでいた。


 で、近づいて「どうした?」と聞いたら「魔王様(アイリ)を倒した勇者だから、どんなスッゴイ人が来るかと思ったら、格好だけで普通のおっちゃんが来たから驚いた」だった。それでいいんだよ、こちとら三十路半ばの地方公務員の鉄道オタクなんだから・・・


 そう言えば、この世界にはまだ鉄道趣味は普及していない。鉄道自体が揺籃期で、趣味として楽しむところまで社会が来ていないからだ。


 ふむ。そんな世界で次世代鉄オタを育成するにはどうするか?簡単なことだ、彼らに先駆者となってもらえばいい。絵本におもちゃ、ヤマシタ鉄道での子供向けイベントの実施。手段はいくらでもある。


 この野望を胸に、社に戻った俺は早速グッズ作りやイベントの開催に向けての準備を指示した。


 グッズは汽車の絵が入ったマグカップとか、シガーケースと言った大人向けの者から、次世代育成用具・・・という名の木製のおもちゃや鉄道を題材にした絵本。うちの領内にもこの方面の職人はいるから、何とかなるだろう。


 で、次にイベントの方は鉄道知識の啓発と難民の子供たちの慰問を兼ねた、イベント列車の運転と機関区の開放を行うことにした。


 ちなみに結果から言うと、これは大成功で、大いに領内の子供たちの鉄道への熱を焚きつけることができた。特に難民の子供たちにはいい刺激になったらしく、このしばらくの後我がヤマシタ鉄道へ就職する子が何人も出たのは満足すべきことだった。


 ただ予想外だったのは、これがいい集客手段と見込んだ国鉄が同様のイベントを開きたいから、ノウハウをくれと言ってきたことかな。もちろん、格安のコンサルタント料で手伝いましたとも。


 次世代の育成は大事なのだ。



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