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最初のダイヤ改正

 ヤマシタ鉄道の開通から半年を迎え、とりあえず経営は順調に推移している。


 終点のワジフラ岳の石灰石とセメントの鉱山も稼働し、それを輸送する貨物列車も走り始めた。


 旅客についても沿線への宣伝や、鉱山の稼働開始に伴う労働者の増加や、領都であるトセの街への移動人口が着実に増加しているのに比例して、こちらも徐々に増えている。


 という訳で、開業1年経過を目処にしたダイヤ改正の準備を開始させた。


 鉄道にとって、ダイヤも重要な商品の一つではあるけれど、たった1日2日で変更できるような生易しいものではない。何せ1本の列車を増発するだけでも、車両や人員の手配や書類の変更をはじめ、膨大な事前作業が必要になる。


 という訳で、まずはどの程度の増発が必要か、今わかっている旅客や貨物の動向や、現状の車両や人員のやりくりから可能な本数を決定する。


 この結果、旅客から運転の希望が多い朝夕に1往復ずつ、そして貨物は順調な採掘量から1往復の増発が決まる。


 そしてさらにそこに、不定期と言う形で昼間に旅客と貨物を1往復ずつ差し込むことで決定した。


 不定期の列車は、当初はダイヤの筋だけ確保して、実際には運転しない列車だ。今後何らかの理由で設定が必要になったら走らせる。


 つまり、定期列車としては旅客と貨物を1往復ずつ増やすということだ。たった2往復と言われそうだけど、旅客は3割増し、貨物は5割増しの輸送量を設定するということだ。


 これまでの経営を通して社員が習熟したことや、鉄道学園での教育を終えた新入社員が続々と配属されていること、新たな車両が納車されたことで可能となった。


 さらにこの改正では、フィーダー交通との連絡も重視することにした。


 それは、鉄道と連絡するダイヤによる駅から周辺地域への乗合馬車を設定だ。


 これまでの馬車の運行は、時刻表などはなくて、大体の時間帯を決めて、定員に達し次第発車とか、天候で決めるとか、場合によっては馬の気分に任せるとか、とにかく馬車主や御者が勝手に決めて運行していた。


 しかも、基本的に小規模業者で家族経営なんてのも珍しくなかった。そんな実情だから、業者もピンからキリだ。これでは、例え馬車路線の設定を頼んでも、上手く運航できるとは思えない。少なくとも、鉄道との接続交通機関にはなりえない。


 そこで、今回ヤマシタ鉄道では新たにバス部を設けて、いくつかの零細乗合馬車業者を買収して、直接鉄道フィーダー路線としての乗合馬車事業を始めることにした。


 これはバス部とあるように、将来的には動力車によるバスの運行を目指しての布石の意味もある。


 このヤマシタ鉄道の馬車は、さっきも言ったけど鉄道接続のために運行ダイヤを設定している。それだけでなく、広く沿線住民にアピールするために、馬車の車体には大きく企業名と広告を描き、御者の制服も統一して、これまでの乗合馬車とは一線を画している。


 もちろん、ソフトも重視して御者やバス駅員には接客のための教育も施している。


 こうしたこれまでの乗合馬車にはないサービスにより、乗客の獲得に挑む。


 そして、半年近い準備期間を経て、最初のダイヤ改正の日を迎えることになった。



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