報酬

「改めておめでとうライ君。最後の動きには私も驚かされたよ」

「まあ、普通に戦ってたら一撃も当てられそうにないでしょうけどね」

「あはは、それは仕方ないよ。私、Aランクの中でも強い方だから」

　つまりまだ上がいる、と。人のレベルでこれなのだから、神を相手にするにはどれだけの力が必要になることやら……。でもいつかグーヌートの野郎はボコる、絶対にだ。

「それに私が出した条件をきちんとクリアしたんだからさ、もっと胸を張りなよ」

「うっす。そうだな、じゃあ……今ならリジェネスライムもワンパン出来る気がするぜ！」

「あれは確かに激闘だったけど、その胸の張り方は違うんじゃないかな……。さてと、それじゃあ合格記念のご褒美を決めようか」

「えっ、報酬貰えるんですか？」

「もちろん。けどその前に、ステータス見せてくれるかな？」

　成長に応じて貰える物が変わるパターンだろうか？ 立派に育ったLUKを見たナナさんの反応が気になるぜ！

「いいですよ。どうぞ」

「お〜。こ、これはまた尖った育ち方を……えっ、このステータスであの動きが出来るの？ なんで!?」

「修行の成果です」

「予想からかなり外れたステータスしててちょっと驚いたよ。それにしても……うわ〜、異常に高いLUKは置いといて、DEX以外軒並み低いし。本当によくこんなステータスで私に一撃決められたね！」

「死ぬ気で頑張りましたから！」

　再戦しようぜとか言われたら、絶対にクリア出来ない自信がある。あれは初見でのみ通じる奇策だ。

「あれ？ なんだ、戦闘系のジョブは取ってないとか言っておいて、ちゃっかり上級職に就いてるじゃん」

「え？ どれですか？」

「なんで知らないの？ ほら、今のジョブだよ」

　メインジョブにくっきりと記された守護騎士の文字。

　そうだった。すっかり忘れていたが、ファースの領主になるとかでフォル婆に変更されてたんだわ。

「ファースの領主にさせられた時に無理矢理解放された奴ですね。あ、良かったら今度遊びに来て下さい。これうちの遊園地のフリーパスとダンジョンチケットです」

「わぁ、ありがとう！ でも自分のジョブすら把握してなかったのはダメだよ？ ボーナスポイントもかなり貯まってるし、最後にステータス確認したのってかなり前でしょ」

「……一週間は開いてなかったかなぁ」

　おお、本当だ。結構なポイントが貯まってる。ノータイムでLUKに全振りしてっと。ふぅ、これでナナさんも文句はないだろう。こいつマジかって顔をしている気がするが、きっと問題無い。

　俺もちゃんとしたステータスしてれば、どのステータスを伸ばそうかとか、あのスキル欲しいから我慢して貯めようか、みたいな葛藤でステータス画面を開く回数も増えるんだろう。しかし悲しいかな、現状LUKにボーナスポイントぶち込むくらいしかやることないのでついつい放置してしまうのだ。

ステータス

HP 220

MP 2420

STR 86

VIT 22

INT 73

MND 204

AGI 127

DEX 294　

LUK 3218→3645

残りポイント 427→０

「い、いいの!? そのステータスからある程度は分かってたけど本当にそれでいいの!?」

「ポイントはLUKにって決めてるんで。ほら、LUK五桁を目指すって言ったじゃないですか」

「あれ本気だったの!?」

「もちろん本気ですとも」

　LUK五桁まではまだまだ遠いぜ！

「あー……うん、そっかぁ。うーん、どうしようかな。装備を贈ろうかと思ったんだけど、このステータスだと使えそうな物がないし……あ！ そう言えばこの国には来たばかりだって言ってたよね？ 転移門の使用許可を出そう」

「おお、地味に嬉しい」

　リターンホームでもファースには帰れるけど、あれは一方通行なのでまた獣王国に来ようとすると結構な時間が掛かってしまうので面倒くさい。その面倒を解消する為に、暫くはこの国でクエストをこなして転移門の使用許可をもぎ取る予定だった。

　装備が貰えないのは残念だが、今すぐ転移門の使用許可が貰えるなら結果オーライだろう。

「喜んでもらえて嬉しいんだけど、転移門の使用許可は冒険者ランクBなら割りとすぐに貰えるんだ。だからもう一つ別の報酬もあげるね」

「もう一つ？」

「うん。Aランク冒険者への推薦状なんてどうかな？」

「マジで!?」

　まさかのAランク達成RTAルートじゃったか！

「まじまじ。Aランクへの昇級条件さえ満たせば、昇級試験無しでAランクになれるよ」

「あ、成る程……」

　即昇級って訳じゃなくて、試験だけ免除なのね。そりゃそうか。まあ、それでもかなり良い条件だろう。なんたって後はクエストの数をこなすだけでAランクになれるって事だからな！