ロマンへの一歩
メンテ明けなかったので更新!
大量にあったDPだが、鳥モンスター三種のスポーンサークルを五つずつで22万ポイント。芋達との住み分けのために階層追加&環境設定に8万ポイント。そして残ったポイントを素材回収のついでに世界樹へプレゼントした結果0ポイントになった。
今は隣接する施設のおかげでフィーバー状態にあり、いくらでもポイントが稼げる。だからちょっとくらい雑な使い方したってへーき、へーき。
しかも世界樹からはポイントのお礼に新しくアイテムも貰えたし、収支は絶対にプラスになっているだろう。
「で、そのアイテムがこれなんだけど」
アイテム
世界樹の小さな苗 ☆☆☆☆☆☆
世界樹から株分けされた小さな苗
周囲のマナを蓄え、浄化する性質がある
さすがに二本目を育てる気はないからな?
でもストレージの肥やしにしておくにはあまりにも惜しい。武器には使えないだろうし、他の使い道を考えたいところだが……。
「う~む」
「どうしたねライ坊、難しい顔なんぞして」
「あ、ジュリペさん。久しぶり」
忘れている人も多いだろうから説明すると、ジュリペさんは建築家だ。遊園地を変形合体させたい人、と言えばわかりやすいだろうか。
「実はレアアイテムの使い道に迷っててさ」
「はーっ、贅沢な悩みだな。羨ましい限りだ」
「そっちは浮かない顔だけど、まだ諦めてないの?」
「無論じゃ! だがな、どうにも条件に合いそうな物がなくてなぁ」
ジュリペさんの苦悩、それは遊園地の施設群が完成した直後にもたらされたものである。
……
…………
………………
「なんじゃと!? もう一辺言ってみろフォル婆!」
「だから変形合体は諦めなって言ってるんだよジュリペ。あんたの夢だってのは分かるけどね? それを稼働させるだけの魔力はどうするってのさ」
「むむぅ……! そ、それは、アトラクションに乗った時の徴収分の余剰を蓄えて行けばだな」
「確かにそれなら可能ではあるだろうね。でもそんな膨大な量の魔力を貯めておける触媒が無いじゃないかい」
「うっ、ぬぅ……」
「こんな立派な施設を拵えただけで十分じゃないかい?」
「……そう、だな。確かにそうだ」
フォル婆に諭され、その場では引いたジュリペさんだったが、その胸に灯ったロマンと情熱の火は未だ燻り続けていた。
「魔力さえ……魔力さえなんとかなれば……」
変形合体ギミックを搭載した遊園地、それ自体は完成しているのだ。長年の夢が叶う一歩手前まで迫って、それを諦めることなど出来るわけがない。
「フォル婆もフォル婆じゃ。作る時はノリノリじゃった癖に、完成したら手の平を返すとは!」
「およ? ジュリペさんなんか荒れてんな。なんかあった?」
「おお、ライ坊。いや、なに。やはり漢のロマンは漢にしか分からんってのを痛感しとっただけよ」
「え、何? もしかして遊園地超巨大ロボット計画ポシャったの? 遊園地は完成したのに?」
「うむ。どうにも動力源となる膨大な魔力を貯めておける触媒がなくてのぉ……。じゃが儂は諦めんぞ! 絶対に見つけだしてあいつを動かしてみせるんじゃ!」
「熱いねぇ。それじゃ俺もいいアイテム見つけたらジュリペさんのとこに持ってくるよ」
「うむ、頼んだぞライ坊!」
……
…………
………………
はい、回想終了! そんな訳で、ジュリペさんは掘り出し物を探してあらゆる街や国を巡っていたので最近見かけなかったのである。ただ、未だアイテムを探しているってことは、成果はなかったってことだよな。残念だ。
「ん? あっ!」
「なんじゃ?」
「俺がさっきゲットしたアイテムが使えるかも!」
「ほう? 生半なもんじゃ使えんぞ」
「大丈夫だって! ちょっとやそっとじゃお目にかかれない代物だぜ? ほら」
「む? んん!? こ、これは世界樹ではないか! どうやってこんなもの手に入れたんじゃ!?」
「そこはほら、企業秘密的な? それよりどうなんだよ。使える?」
「ああ、勿論! そのまま使うことはできんが、これを素材として魔力炉を作成すれば可能じゃ!」
「魔力炉……ってことは一旦ニコルテス老に他の素材について聞いてみた方がいいよな」
「善は急げじゃ、行くぞライ坊!」
「おうよ!」
ダッシュでニコルテス老の元へ行き、魔力炉の作り方を教えてもらった。
中心となる素材が普通の物ではないので、他の素材もかなり貴重な物が必要になってしまったんだけど……さすがはラック特化プレイヤーの俺、全部持ってたぜ!
メルキアのダンジョンの壁を掘ってゲットした純魔結晶に、同じくメルキアのダンジョンの壁からゲットしたオリハルコン。そして地道に拾い集めて研磨しておいた各種宝石達。いやー、メルキアには足を向けて眠れないぜ! これからもちょくちょく壁掘らせてもらおう。
で、そんな豪華なアイテムをつぎ込んで完成したのがこれだ!
アイテム
円環式魔導増殖炉・ユグドラシルハート PM
マナを魔力に、魔力をマナに
明滅する輝きは星の鼓動
溢れる力は世界を照らす円環なり
フハハ、なんかヤバいのが出来たぜ!
今ならイケる、そんなよく分からない確信のもと、続けてアイテムを作ってみたが、そっちは俺には使えない物になってしまった。この勘は当てにならないようだ。まあ、使ったのがいつぞや手に入れた蒼角剣・モノケロームだったので男が使えないのは確定してたんだけどな。俺ちゃんってばうっかりさん!
それはともかく、ユグドラシルハートよ。これならジュリペさん渾身のロボットの炉心に相応しいだろう。フレーバーテキストだけだからよく分からんけど、絶対凄いって!
「出来たぜ!」
「お、おお……こりゃまた、たまげたな。こんな立派な炉心があれば、想定していたよりも三割……いや、五割増しの性能になりそうだ!」
「いいねぇ! 最強の変形合体ロボットにしようぜ!」
「勿論だ! 後はこれをフォル婆に見つからぬように設置して……」
「起動に必要な魔力が貯まるのを待つだけ、だな?」
「く、くふふ」
「うひひひひ」
「「だーっはっはっは!」」
漢達のロマンが詰まった最強兵器は目覚めの時を待ちわびる。
起動魔力到達まで、あと99%。




