表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
172/285

愛情少なめ雑草エリクサー

 夕食やら風呂やらの諸々を済ませて再びログインすると目の前にはバルムンクの山が出来上がっていた。

 散歩と称してフィールドのモンスターを殲滅し、集めた地図の欠片でファフニールLv10を散々虐めてきたペット達はそりゃもう満足そうだったよ。きっとこいつらのステータスを確認したら酷いことになってるんだろうなぁ……。


「ニャー?」

「ああ、うん。命令ちゃんと守れて偉いぞセレネ」

「ニャフン」


 ドヤ可愛い。とりあえず疲れを癒すためにもふっておこう。

 あぁ……一度に20人が使えるテーブルを700脚と椅子を8000脚作り摩耗した心が癒されていくのが分かる。これ首輪の効果だったりするの? リラクゼーション効果スゲーや。


「さて、次は参加賞作りか……」


 簡単に作れて、尚且つ大量生産の適用されるものが望ましい。参加人数が少なければカードと関係ある物を作っても良かったんだけど、さすがに1万個も用意することは不可能なので妥協するしかない……てかなんで俺はこんな苦行を強いられているんだ?

 鳥さんの島での飯作りに始まり開拓作業、2回の屋台、そして今回と重労働過ぎやしないか? いや、半分以上自業自得なのは分かってるんだけどさ。


「もう雑草エリクサー辺りを配ればいいか……」


 大量生産も出来るし材料もその辺の草を使えばいい。

 俺が作るとカルメ婆さん曰く愛情(ラブパワー)が圧倒的に足りないかなり劣化した物になるけど、HPとMPが同時に回復することには変わりないし参加賞としては上等だろう。


「揚げ物用だけど構わないよな」


 錬金の大鍋よりアダマンタイトの大鍋の方がデカイから大量生産の効果も大きくなる。

 所でこのアダマンタイトの大鍋、調べてみるととんでもないことが発覚した。インテリア改造の素材にしようと思って買ったのだが、どうやら使えないらしい。



アダマンタイトの大鍋 ☆☆☆☆☆

アダマンタイトで作られた非常に大きな鍋

アダマンタイトの性質を一部反転させ、素早く均等に熱を伝えられるようになっている

アダマンタイトが本来持つ硬度は失われている



 硬くないアダマンタイトに価値なんぞ無い。改造は諦めて大人しくこのまま鍋として使うとしよう。

 さてそれじゃ雑草エリクサーの話に戻ろう。こいつの材料には名前からも分かるように雑草を使う。その辺に生えている草を鑑定もせずにむしって集めればOKだ。

 そして集めた雑草を一度水で洗った後、たっぷり水の入った鍋に入れて愛情(ラブパワー)を注入しながらかき混ぜる。水が沸騰するまで続ければ何故かエリクサーが出来上がると言うのだから恐ろしい。さすがに本物のエリクサーの効果には及ばないみたいだけどな。


「ほい完成」



劣化エリ草ー ★★★

HP10%回復 MP10%回復

雑草に愛情を注ぐことで完成した劣化エリクサー擬き

完成度は低く、間違ってもエリクサーの名を冠せるような物ではない

愛情(ラブパワー)充填率10%



「うっ、まあ変な名前のアイテムなんていつものことだよな……」


 性能は割合回復だし参加賞はこれで十分だろ。んで、肝心の量は……大体ポーション瓶で500個分か。鍋がデカいのと大量生産の効果でだいぶ楽に数を確保出来たな。

 これなら余裕を持ってあと22回も繰り返せば参加賞が作り終わるな。さっさと鍋の中身を瓶に詰めて次を……あ。


「瓶が足りねぇ!」


 中身を作っても詰める為の瓶が無いんじゃ配れない! 今から集めに走って間に合うか……?






 はい、無理でした。

 街中を駆けずり回ってどうにか集まった空き瓶の数は大体5000個。まだ残り半分以上も瓶が足りない。


「クソ! ガラス職人の癖になんで空き瓶の1つも作ってくれねぇんだよグランザ爺さんは!」

「ずいぶんと焦っとるの……どうしたんじゃ……?」

「あ、ニコルテス老。実はポーションを入れる瓶が足りなくて」

「空き瓶じゃと……? それなら雑貨屋にでも行けばいいじゃろ……」

「買い占めた後です」

「それでも足りんと……?」

「まるで足りません」

「お主、店でも開く気か……?」


 残念無償配布です。 そうだ、ニコルテス老の作ったガラクタの中に何か使える物があるかもしれない。


「ニコルテス老、ちょっとガラクタの中に使えそうな物ない? こう、ガラス瓶を大量生産する感じの」

「そんな都合のいい物があると思うか……?」

「まあ無いよなぁ。ニコルテス老の作る物って基本的にただ回るだけのガラクタだもん」

「……ある」

「だよね。やっぱりあるんだよな……えっ?」

「お主の言う通り……確かにワシの作る物は大半がガラクタじゃ……だが成功例もある……」


 マジかよニコルテス老! 魔力を流すと回る何か以外の物も作っていたなんて割りと驚きの事実だぞ!


「ニコルテス老! それはいったいどんな物なのですか!?」

「材料をセットして……魔力を流すと全自動で空き瓶を作り出してくれる装置じゃ……!」

「なんてピンポイントな! しかしなんでまたそんな装置が?」

「グランザの奴があの通り……ステンドグラス作りにしかやる気を出さん変人じゃからな……昔、瓶が不足した時に作ったんじゃ……」


 グッジョブ昔の瓶不足! お陰でなんとかなりそうだぜ!


「それで、そのマッスィーンはどんな速度で瓶を作れるんですか!?」

「聞いて驚け……なんと一時間に50個も作れるんじゃ」

「ごじゅ……」

「フフン……驚きの余り声も出んか……」


 今が20時過ぎだから、寝ずに作り続けたとしてイベント開催時刻の14時までに作れる瓶の数はいいとこ1000がやっと……。

 こ、これは詰んだかもしれない……ッ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ