ルクスの実力
「ふわぁ……んん~? まだ6時か……」
つい我慢が出来ずに早起きしてしまったぜ。
インスタントのコーンスープとトーストで朝食を済ませた俺は早速ゲームにログインした。
「ニャー」
「おはようセレネ。見た感じ変わった物はなさそうだけど……お?」
ハリボテ感溢れる新仮設ホームの外側に見たことのない箱が取り付けられていた。
(旦那、そいつはブラウニーさんが設置していったアイテムBOXでサァ)
(そこに使ってもいいアイテムを入れて欲しいと言っていたな)
「ノクティスとルクスもおはよう。ふーん? 勝手に素材持ち出してくれてもいいんだけどな」
よく見ればこのアイテムBOXも昨日突貫工事で作った仮設ホームの余りの木材で組まれている。それなのにストレージと同じで時間経過が無効になっている辺り、ブラウニーの技術力はかなり高そうだ。
「ニャー!」
(姉さんの言うとおりです! ブラウニーさんはとっても働き者なんですぜ旦那!)
(たしかになかなか見所のある奴だったな)
(少なくともルクスよりは役に立ってるけどな)
(ぬぐぐ……それは主が一向に我を連れ出さないからだ! 一度戦闘になりさえすればブラウニーの奴なぞ目でもない活躍ができるものを)
なんかブラウニーさんはうちのペット達と馴染んでるみたいだな。恥ずかしがり屋って聞いたけど動物相手だから平気なのだろうか?
(主! 今日こそは我も竜退治に連れていってもらうからな!)
(あ、ズリーぞルクス! 旦那、勿論あっしも連れていってくださいね!)
「分かってるよ。他の皆がログインしてくる前に何回か戦わせてやるよ。そうだ、ちょっとやること思い出したからこれでも食べて待っててくれ」
ストレージから取り出したのはドラゴン料理の試作品だ。今のところステーキがシンプルに1番美味いのが少し悲しい。
ノクティス達が食事をしている間に俺は昨日作り忘れたアイテムの作成に取り掛かる。といっても癒しの首輪と共鳴の鈴、この2つのアイテムを組み合わせるだけだからそんなに時間は掛からないけどな。
癒しの首輪 ★★★★
DEF20 耐久値150
MP+150 MND+60 HP自動回復・小
癒しの音色
※モンスター専用装備
癒しの力が宿った首輪
鈴の奏でる涼やかな音色は周囲の仲間の心を癒す
無理矢理くっ付けたせいか耐久値が下がってしまったが、きちんと首輪と鈴の能力が上手いこと合わさっている。しかも嬉しいことに癒しの音色って新しい能力までついてるじゃないか!
この能力は装備者の半径5メートル以内にいる仲間の精神系状態異常が解けるまでの時間を短くしてくれるらしい。
セレネの継続戦闘能力だけでなくサポート力までアップするとは当たり装備過ぎるぜ!
「セレネ~。ちょっとこっち来てくれるかー?」
「ニャ?」
「装備ができたから着けさせてくれ」
「ンニャウ」
「おおーいいねぇ! 超似合ってるぜセレネ!」
「ニャフン」
う~んドヤ可愛い。スクショしてアイシャさんに送ってあげよう。
「さてと、お前飯は食い終わったか?」
(とっくに終わっているとも。次からはもっと量を増やすことだな主よ?)
(いつでも行けますぜ旦那!)
「ニャー」
「ん? セレネはついて来ないのか?」
(セレネの姉さんは首輪を婆さん達に見せびらかしに行くみたいですね)
自由だなぁ……。まあ昨日はずっと戦ってたし今日は休憩ってことでいいか。
「よーし、それじゃ男だけで戦いに行くとするか!」
(おー! って昨日みたいにここからすぐ転移するんじゃないんですかい?)
「まずは地図の欠片を集めに雑魚モンスターを倒しに行くんだよ」
((えー……))
2羽のテンションが露骨に下がった。面倒なのは分かるけど地図の欠片を補充しないと満足行くまで竜を狩れないんだぞ?
「よし、朝早いだけあってこのフィールドにプレイヤーはいないみたいだな」
人が少ない時間なら獲物の奪い合いにもならないのでわざわざファースのフィールドに来るような物好きは俺以外いない。これならノクティス達が羽を乱射しても安全だぜ!
「さぁお前達! 射程内のモンスター共を殲滅してしまいなさい!」
(あんまり無駄に殺すのは趣味じゃないんですがねぇ……)
「多く倒すとそれだけファフニールと戦える機会が増えるぞ」
(ネズミ共、お前らに恨みはないが美味い飯の為に犠牲になってもらうぜ!)
(ふむ、食後だし我は軽く流すか)
2羽はその高い狙撃性能と連射能力で次々にモンスターを倒していく。
しかし気になるのはルクスだ。軽く流すとは言っていたが明らかに連射スピードが遅い。ノクティスがガトリング並の連射速度なのに比べてルクスは普通に拳銃撃ってるような感じだ。いや、それでも威力と精度がふざけてるから十分過ぎるんだけどさ。
……ってそう言えばルクスのステータスは種族名くらいしか確認していなかったな。もしかしたら攻撃方法が変化しているのかもしれない。確認は……ファフニール倒した後でいいか。
「そろそろ地図の欠片が3スタックか。これだけあれば十分だな。おーい、もういいぞ」
(ふぅ……なんか久しぶりに撃ちまくったらスッキリしましたわ)
(いい腹ごなしにはなったな)
地図は集め終わったことだし、次はファフニールだ。はたして俺は何度奴と戦うことになるのだろうか……。
『誰ぞ……我が眠りを妨げるのは誰ぞ』
スキップ機能とかないのかしらん? 昨日から同じ台詞を10回も聞いているとさすがに飽きるぜ。
(ふん、全身黄金とは品のない竜だ)
(ルクスよぉ、それ本気で言ってるのか?)
「ごめんなルクス、お前に鏡見せたことなかったもんな。こんど姿見プレゼントしてやるよ」
(我とあの竜とを一緒にするな! 我の方がエレガントな色合いだろうが!)
「そうか?」
(違いなんて分かんないっすよねぇ?)
(ぐぬぬ……こうなれば力を以て我の優雅さと華麗さを分からせてくれる!)
ルクスが羽を広げた。
雄々しく優雅に広げられた羽には目玉模様が美しい輝きを放っている。
羽を広げている所を初めて見たが、なるほど確かにこれはゴージャスだ。
「グオオオォォォォ!!!!」
(見るがいい、これこそが我の真の力)
迫りくるファフニールを前にルクスが一歩前に出る。よく見ると目玉模様の輝きが増している……? まさか!?
(99wayショットガンフェザーだ!)
瞬間、全ての目玉模様から閃光が放たれる。
一撃一撃が必殺の威力を誇る射撃を99発同時に受け止めたファフニールは当然無事では済まない。
「グ……ガ……」
(まだ息があるとは恐れいった。主よ、先ほどの技を使うと我は再装填の為に1分間射撃が行えなくなる。止めは任せたぞ)
「お、おう……」
鳥ガーハッピー、改めて恐ろしい存在だ。やはり全羽テイムしてダンジョンに隔離しなくては……!
おまけ
ルクスのステータス
ルクス・アウレア(鳥ガーハッピー・ゴージャス)
Lv31/120
ステータス
HP 1500
MP 8500
STR 40
VIT 150
INT 5200
MND 390
AGI 170
DEX 500
LUK 80
スキル
威風堂々 金運上昇 狙撃術
トリガーハッピー 単独行動
アーツ
フェーザーショット
┣フェーザースナイプ
┗ショットガンフェザー
┗ショットガンフェザー99way
クイックリロード
┗オートリロード
スキル効果
・威風堂々
敵からのヘイトが向きやすくなる。
自身に向けられているヘイトが多いほど攻撃に補正が掛かる。
・金運上昇
パーティに加えているとクエスト達成時に貰えるお金が増える。
高く売れるドロップアイテムが出やすくなる。




