表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
149/285

VS.黄金竜ファフニール 1

「グオオオオォォォォォォ!!!!」


 咆哮をあげながら黄金の巨体が迫り来る。


「散開するぞ!」

「サンカイって何!?」

「バラバラに逃げろってこと!」


 マロンの初動が遅れたのをカバーすべく俺はファフニールに石のトマホークを投げつける。


「サイクロントマホーク! こっち来いやトカゲ野郎!」

「ガッ!? グルル……!」


 今の攻撃で完全にヘイトがこちらに向いた。これでマロンも余裕を持って逃げられる。


「マロン! 俺がこいつを引き付けておくから隙をみておもいっきりこうげきしてくれ!」

「分かった!」


 しかし凄まじい迫力だ。セブンヘッドなんちゃらより一回り程小さいが、それでも完全なドラゴンと言うのはそれだけで威圧感が違う。

 あの爪が、あの牙が、敵意を持って俺に振るわれると思うと背中がゾクゾクする。ファフニールは体が大きいせいで移動スピード自体はそこまで速くはないけど、気を抜けばすぐに追い付いてきて苛烈な攻撃を叩き込んで来ることだろう。


「よっ、ほっ!」


 なので俺は大きくジグザグに走りながら時折サイクロントマホークを使用し、少しでもダメージを与えながらマロンが攻撃できる隙を待つ作戦を遂行しているのたが……。


「あ? なんで追いかけて来ないんだ?」


 いつの間にかマロンにヘイトが移った? いや、射殺さんばかりの眼差しでファフニールは未だに俺をロックしている。なのに何故動かない?


「スゥゥゥゥ……」

「待て待て待て!? その動作はもしかしなくてもブレ」


 ス、と言い終わるよりも早く破壊の息吹が俺に向かって放たれた。







―sideマロン―


「ルオオオオォォォォ!!!」


 ファフニールの放ったブレスがライリーフを飲み込んだ。ゲームを始めたばかりのアタシでも分かるくらいに性能の良さそうな鎧を着ていたのに、ブレスが収まった後には彼の姿はどこにもなかった。


「嘘だろ!? こいつ、よくも!」


 ブレスを放った直後だからだろうか、ファフニールの動きは完全に止まっている。今ならアタシの攻撃をおもいっきり当てられる!


「ライリーフの敵討ちだ……! くらえ、ヘビースラッシュ!」


 手加減なんて一切せずにおもいっきりハルバートを振るう。


ガイィン!


 なのにアタシの攻撃は固い鱗に阻まれて録にダメージを与えられない。


「この! このぉ! なんで斬れないんだよ!」


 それでもアタシは攻撃を止めることはしなかった。だってさ、ここでアタシが諦めちゃったら……せっかく色々教えてくれたアイツになんか悪いじゃん? だからアタシは少しでもこいつにダメージを与える為に何度だってこのハルバートを振るうんだ!


「グルル……」

「あっ……」


 いけない、夢中になりすぎた。ブレスの硬直なんてそんなに長く続くわけない……バカだなアタシ、いっつも兄貴達にもっと周りをよく見ろって言われてるじゃんか。


「グオオォォォ!」


 ファフニールが大きく口を開きながらアタシに迫る。あぁ、まさか最初の死に戻りが竜に食べられてだなんて思わなかっ「ダラッシャーッ!」うぇっ!?


「この野郎! ブレスは残りHPが3割になってからじゃなかったのかオイ! まだテメーのHPは1割も減ってねーだろうが! あれ、でも意外といい感じに減ってるな。なんでだ?」


 迫る竜の横っ面を蹴りつけながら現れたのは、先程ファフニールのブレスで消し飛んだ筈のライリーフだった。


「な、なんで……?」

「ああ、マロンが攻撃してたからか。さすがバトルジャンキー、結構いいペースでダメージ与えられてるじゃん!」

「なんで生きてんだよ!」

「えぇ……? なんで無事だったのにキレられてんの? 怖いんですけど」

「うっせぇバーカ!」


 くそぅ、ライリーフの敵討ちとか言って攻撃してたのがバカみたいじゃんか! ライリーフのアホ! クズ! マヌケ!


「ねぇ、なんか俺のこと凄い勢いで貶してない?」

「知るか!」

「グオオオオォォォォォォ!!!!」

「おっと! 何はともあれ戦闘再開だな」

「ふ、ふふ、そもそもお前がブレスなんて吐かなければ……ただで済むと思うなよ……その金メッキの鱗全部ひっぺがしてやるからなぁ?」

「うわぁ……なんかヤバいスイッチ入っちゃったよこの子。あ、俺は引き続き撹乱するんでお構い無く」

「このトカゲの後はライリーフの番だから」

「なんで!?」


 色々な鬱憤を晴らす為に決まってるじゃん。

 それはともかく今は目の前の敵に集中しよう。冷静になって考えてみれば、さっき攻撃が通らなかったのは刃の方で攻撃していたからだ。鱗に刃が流されてまともなダメージが与えられないなら、反対側を使って鱗を貫けばいい。それに、叩いた方がお肉が柔らかくなってステーキも美味しくなるもんね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ