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第六話 特典武具とスイッチ

「さてそれじゃ取得した装備品の確認かしら」


ドクターはむくりと起き上がりインベントリから【赤紫斑毒(ラフリシア)三角試験管(フラスコ)

狂医者(マッドドクター)の白衣】を取り出し説明を読む。


ーーーーー


赤紫斑毒(ラフリシア)三角試験管(フラスコ)】 STR+20 DEX+100


幾万もの毒・ラフリシアの討伐特典武具。

フラスコ型の武器。内部でラフリシアの赤紫毒を無限に生成することが出来る。

念ずると所持している薬品、薬物を自動で混合する機能がある。

壊れても直ぐに修復され手元に戻る

譲渡不可能。ドロップ不可。不壊。


ーーーーー

ーーーーー


狂医者(マッドドクター)の白衣】 AGI+20 VIT+30 SP+20


ネームドモンスターの特殊クリア条件をクリアした場合に入手できる防具。

見た目はただの白衣だがその実態は遥か昔に人々を実験台にして回った狂医者の白衣。

着てしまうと性格が狂医者に引っ張られてしまい職業が強制的に【狂医者】になってしまう為注意が必要。

全属性耐性を得る。状態異常攻撃耐性を得る。

譲渡不可能。ドロップ不可。不壊。


ーーーーー


「これは・・・強い・・・!」


(【狂医者(マッドドクター)の白衣】もデメリットを除いても十分に強いし装備品に決定ね)


ドクターは装備欄の武器を【赤紫斑毒(ラフリシア)三角試験管(フラスコ)】に変え、胴の部分も換える。


≪2nd職業が【狂医者】になります。ステータスポイントを100振って下さい≫

≪『中級薬物作成』スキルが『危険薬物作成』スキルに変異しました≫


「それじゃステータスポイントを振ろうかしら」


これが後に【薬物魔王】と呼ばれるドクターの誕生の瞬間だった。


「完璧。そして最終確認と」






NAME:ドクター

職業:狂科学者 1/50 2nd職業:狂医者 1/50

10000マネー

HP(体力):40

MP(魔力):45

SP(持久力):60(+20)

STR(筋力):15(+20)

AGI(敏捷):45(+20)

DEX(器用):60(+100)

VIT(防御力):15(+32)

LUC(幸運):10

スキル:『薬学』『鑑定』『危険薬物作成』『投擲』『見切り』『狂人の実験』


装備

右:赤紫斑毒の三角試験管(STR+20 DEX+100)

左:無し

頭:無し

胴:狂医者の白衣(AGI+20 VIT+30 SP+20)

腰:初心者のズボン(VIT+1)

足:初心者の靴(VIT+1)

アクセサリー:試験管入れポーチ・取り外し不可

アクセサリー:無し

アクセサリー:無し

称号:『格上殺し』『毒達人』『名前付きの化け物殺し』





「うん、間違いなし。それじゃお次は称号の確認だ」



『格上殺し』

格上の敵を屠った称号。

自分より高いレベルの敵に対するダメージアップ自分より高いレベルの敵からの被ダメージダウン。


『毒達人』

毒を使った殺傷を極めた称号。

毒の効能を最大5%/1Sまで調節が可能になる。


『名前付きの化け物殺し』

ネームドモンスターを倒した称号。

ネームドモンスターに対する与ダメージ5%上昇・被ダメージ5%減少。

ネームドモンスターとの遭遇率が上がる。




「称号も強いのばっかりね。次、スキル」



『危険薬物作成』

薬物作成での危険物作成の確率が上がる。


『狂人の実験』

実験内容を念じ、発動後自分の実験終了までステータスが50%増加。

一度発動すると一日の再発動時間を要する。



「スキルも良い。それじゃ薬草を採集して町に戻ろうかな」


ドクターは一時間採集し、町に戻っているその時町の方向から武装した集団が来る。

どうやら装備はかなりの上物の様だ。

その集団の先頭にいる男はドクターを見つける鬼気迫る表情で話しかけて来る。


「そこのお前!ここら辺でネームドモンスターを倒した奴を見なかったか!」


(はて?どういうこと?ネームドモンスターは先ほど私が倒したけどこの人たちは・・・?)


「倒したのは私ですが?」


ドクターがそう答えると話しかけていた男は怪訝な顔をした後、ドクターの装備をジロジロと凝視し、ニヤリと笑った。


「悪いが姉ちゃんその装備俺等に寄越せよ。それは本来俺等が手に入れるはずのものだ」

「何を言ってるのですか?」


ポカンとした表情で首を傾げる。


「それだよ!今!テメェが持ってるガラス瓶を寄越せってんだよ!」

「だから何を言っているのですか?」

「ああ!もう!分かんねえかなこいつ!」


男は突如静かになり、仲間に何かを耳打ちする。

男の仲間は下種びた表情を浮かべるとドクターを取り囲むように武器を構える。


「今お前が持っている装備は俺達がネームドモンスターを倒して手に入れるはずだった装備なんだよ!それを渡さねんならお前を殺す!」


(この方々は私の装備を欲しいという訳ね・・・。しかしこれは渡せるものでは無いですし、それに殺すというならば・・・)


「いいですよ。殺してみて下さい」


ドクターは笑顔で手を広げそう言い放つ。


「・・・は?お前馬鹿にしてんのか!?最弱職の学者の癖に!やれ!お前等」


男の仲間は剣に槍、ハルバートといった武器でドクターを殺さんとする。

刃は遂にドクターに迫り貫かんと刃を突き立てるが・・・。


「・・・はぁ・・・?どういうことだ・・・」


武器が何度もヒットするがドクターのHPは一向に減らない。

それを見てドクターは一言。


「【狂医者の白衣】の実験成功。次の実験に移りましょう」


手に持っている【赤紫斑毒の三角試験管】を軽く振る。

すると中から赤紫の斑の液体が沸いて来る。それを見た男の仲間は武器を受け続けてHPが減らないドクターが謎の液体を持ったまま薄く笑う光景に得体のしれない恐怖を抱き、後退する。

男も己が欲したフラスコが得体のしれない毒々しい液体を生成したこととドクターの言葉に不安を抱く。


「ではそこの君!光栄なる私の赤紫斑毒の実験体一号に指名する!」


そう言い、両手剣を持った女が選ばれた。

女は実験体と呼ばれたことか不気味と不安故かゴクリと唾を飲む。


「では行くわよ!それ!」


投げたフラスコは上昇したステータスのお陰か風切り音を立て、女に飛来する。

女も装備に見合う実力を持ち合わせていたのか両手剣でフラスコを真っ二つにする。

しかしフラスコは斬れても中身の液体は斬れない。


「えっ、きゃ!ギャァアァァァァ!?」


液体が当たった女は絶叫を上げ地を転がり、悶絶する。

そして数秒後ポリゴンになって消える。毒の症状により死んだのだ。

その惨劇を目の前で見せられた男たちはゆっくりと視線を上げドクターを見る。

そしてその笑みを見て男たちは先ほどの意味をやっと理解する。


「実験成功、やはり毒はラフリシアの物と同一。では第二実験に移行。次の実験体は君たち」


ドクターは優しいとも言える慈母神のごとき笑みを浮かべる。

しかし男たちにはこう見えた。

まるで実験が楽しみな狂った科学者、と。

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