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第五話 実験終了!

(これは良い実験台だわ!植物系に毒ポーションや新ポーションの実験を試せる!しかもこのモンスター恐らく毒系の素材を落とすはず!)


「さあ、実験開始!」


ドクターはAGIが高いのを生かしてラフリシアの周りを全速力で走る。


(相手は賢くないAIだけどレベルが高いから油断は出来ない)


「まずは毒から!」


ドクターはポーチから毒ポーションを抜き、そのままラフリシアに投げる。

毒ポーションは巨体のラフリシアに当たり、着弾し毒のアイコンが出る。

しかしアイコンは数秒して消えてしまう。


(毒ポーションは効果無し・・・いや効果が無いというより抵抗(レジスト)したのかしら?レベル差があるし可能性は高いわ。じゃあ次!)


「神経毒薬!」


オレンジ色の液体が入った試験管を取り出し再度投げる。

またも着弾して網目状のアイコンが出るが点滅した瞬間消えて、ラフリシアは動き出して蔦を振るう。


「よっと!・・・神経毒効果無し!次!」


ドクター前転さながらに避ける。

これもゲームの世界ならでは動きだ。

転がりながらポーチから黄色の液体が入った試験管を取り出す。


≪『投擲』スキルを取得しました≫

≪『見切り』スキルを取得しました≫


アナウンスを尻目に走りながら投擲する。

投げられた試験管は先ほどは違う速度で宙を貫き、蔦を掻い潜り着弾する。


(これはっ!さっき取得したスキルのお陰?)


考察しながらドクターはラフリシアの反応を見る

ラフリシアに雷のマークのアイコンが出て体に雷のエフェクトが出て動きが止まる。


(効果あり!この間にスキルの説明とSPの回復!)


ドクターはラフリシアが止まっている間にスキルを確認する。



『投擲』

投擲の正確さと威力に補正が掛かる。



『見切り』

攻撃を受ける瞬間攻撃がスローに見える。

回避行動に補正が掛かる。



「はあ、はあ、普通に使えるスキル、ね・・・」


ドクターは立ち止まりながらも回避出来る様に構える。

そしてドクターの視界にはHPとMPの下にある黄色のバーが回復するのを尻目に確認する。

黄色のバーはSP(スタミナポイント)と言い、持久力だ。これが尽きる暫くの間走れなくなってしまう。


そうしている間にラフリシアの麻痺のアイコンが消える。

ラフリシアはどこから声を出しているのか甲高い耳障りな声を上げる。


「キィィィイィイィィアァァァァ!」


それと同時にラフリシアの花の部分から赤と紫の斑の液体がドクターに飛来する。

ドクターは軽くステップを踏み避ける。

液体は地面に接触した瞬間、シュゥゥゥゥ、と音を立て地面を溶かす。

毒々しい液体は地面に溜まり、歩け無くなってしまうが、ドクターは・・・。



「サンプル回収!」


ドクターは嬉々として近づき試験管に掬う。液体に触れないのは流石、元研究者と言ったところか。

試験管に入った赤と紫の斑の液体はコポコポと沸騰するように脈動している。

ドクターは青色の液体が入った試験管をポーチから取り出し、赤紫斑の液体の入った試験管に入れる。

そこでラフリシアが蔦を数本振るい、AIに添いプレイヤーを殺さんとする。


(凄いなこれが『見切り』スキル!)


ドクターの視界にはこちらに振るわれる蔦数本がゆっくりと映る。

なけなしのSPを使い、蔦の間を通り抜ける様に体を横にして蔦を避ける。そして避けながら試験管に蓋をする。

着地せず地面を転がり、立ち上がる。HPが数割減っているのは低いVITのせいだろう。

そうして立ち上がり、試験管を円を描くように振る。

すると試験管の中で発光して、光が収まると中にはHPポーションにも似た黄緑色の液体が入った試験がある。


(実験成功!)


ドクターは心の中で歓喜する。

どうやら初めての試みだったらしい。


「これで・・・終わり!」


ドクターは無くなったSPによって動けなくなり最後にポーションを投げる。

だがドクターに蔦が迫り、少ないVITを貫き、HPを砕く・・・様に見えたがその前に投げた試験管がラフリシアに着弾して中身がぶちまけられる。


「キュウウウァウゥアウァウゥアウァウァァァァァ!?」


液体は掛かった場所からラフリシアを枯らす。

そしてそれは侵食するようにラフリシアの体を枯らしていく。

ラフリシアは黒板を引っ掻いた様な断末魔を上げ倒れる。

残るはドクターと枯れたラフリシアのみ。


≪レベルが上がりました≫

≪レベルがマックスになりました。ランクアップが出来ます≫

≪レベルがマックスになりました。2nd職業が選べます≫

≪ドロップはインベントリに送られます≫

≪称号:『格上殺し(ジャイアントキリング)』を取得しました≫

≪称号:『毒達人(ポイズンマスター)』を取得しました。称号:毒使いは消失します≫

≪称号:『名前付きの化け物殺し(ネームドキラー)』を取得しました≫

≪条件を満たしました。職業が【狂科学者】に変更されます。ステータスポイントを100振って下さい≫

≪『狂人の実験』スキルを取得しました≫


「はあ、はあ、はあ・・・・・・疲れたわ・・・あら?」


アナウンスをガン無視するドクターだが聞き捨てならないアナウンスが鳴る。


≪ネームドモンスターを倒しました。MVPを決めます・・・プレイヤーネーム:ドクターに決定≫

NM(ネームドモンスター)討伐特典武具【赤紫斑毒(ラフリシア)三角試験管(フラスコ)】を寄贈されます。おめでとうございます!≫

≪ソロクリアを確認しました。特殊勝利条件達成により特典武具【狂医者(マッド・ドクター)の白衣】を寄贈されます。おめでとうございます≫


(なんか強い武具を手に入れたぽいわね。後で確認しましょう。今はそれより・・・)


ドクターはこのゲームのプレイヤーなら喉から手が出る程欲しい特典武具を無視して先ほどラフリシアを倒した液体を鑑定する。



ーーーーー


赤紫斑の最恐除草毒 状態:最悪

個体名:幾万もの毒・ラフリシアの毒と除草薬が奇跡的に合わさった最恐の除草薬。

文字通り最恐で最強であり、その効力は植物系ならラスボスでも倒せるだろう。


ーーーーー


「なるほど。ラッキーだったわね・・・。・・・実験終了!結果、成功!」


ドクターは笑みを浮かべながら後ろに倒れこみ、そう叫ぶ。

その表情はどこまで満足した、清々しく美しい笑みであった。

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