第四十八話 ギャク回と後輩君?
今回は物凄くギャグ回です!
ご了承下さい!
「ふむふむ…なるほど…これがこうなって…よしっ!」
アパート暮らしの男が一人、なにかを呟いている。
手にはヘルメット型の電子機器。
執拗に説明書を読み返しては納得している。
ああだこうだしているうちに、やっと頭に被る。
「先輩に殺されないと…良いなぁ…」
どこか諦観と哀愁を漂わせて、独り呟く。
ついにベッドに横たわり、起動する。
「ログイン」
♦ ♦ ♦ ♦ ♦
―――男の一幕から数分前一方その頃ドクターはというと…
「ああ、この配線をここに繋いでっと。あとはプログラミングして…」
機械弄りをしていた。
部屋に散乱しているのは、段ボールや機械部品や配線、ドライバーなどの用具。
手元にあるのは犬型のスケルトンロボット。ロボットとパソコンをケーブルが繋いでいる。
そして、床には本が何冊か落ちている。
本らの題名は、『誰でもできるプログラミング!初心者でもラクラク!』と『初めてのロボット工学』である。
ドクターもとい、狂華はネット通販でこの本とその他諸々を購入していた。
あとはお察しの通り、この犬型ロボットを作り上げた。
製作期間は、ぶっ通しでやったとしても、たったの三日。
その手の者が聞いて見れば、発狂して仕事を放棄することだろう。
凶行を成し遂げて見せた狂華は現在、犬らしい動きをプログラミングするために笑顔でパソコンに向かい合っている。
笑いながらパソコンと向かい合って、カタカタとキーボードを叩いている姿は魔女のよう。
ブブッ!
バイブ音が部屋に響いた。
音源のスマホへ目を向け、手に取る狂華。
画面を確認して、メールが届いていることを確認する。
宛先:先輩
件名:ゲーム始めました
本文:クレアシオン・オンライン、俺も始めましたっす!一緒にやりましょう!
「ふ~ん…」
携帯の画面を閉じた。
熱中するプログラミングを邪魔をした後輩に構う理由が分からない。そう、狂華は考えて、作業に没頭した。
暫くして、また響く笑い声。
またまた、鳴るバイブ音。
画面を見て、無視する狂華。
暫くして、また響く笑い声。
またまた、鳴るバイブ音。
画面を見て、無視する狂華。
暫くして…etc.etc.
しょうがないようなしょうもないようなやり取りが三十分ほど続いたかと思うと、狂華は…
「うるっせえーッ!!」
キレた。それはもう、苛烈に。
綺麗なフォームでスマホを握り、高くその美脚を上げて、腕を振るった。
プロ野球選手も舌を巻く構えから繰り広げた投球ならぬ投スマホ。
殺意を伴ったスマホは飛燕の速度で飛び、窓ガラスに衝突して、盛大に衝突音を立てた。
当たり前のことである。
それなりの重量があるスマホを、それはもう、綺麗なフォームから繰り出されたストレートでガラスにぶつけられたのだ。なるべくしてなったこと。
「ふーッ…ふーッ…!あんの馬鹿後輩ッ!静かにしろやッ!」
淑女ならざる行為に一般人が見たらどう思うだろうか。
しかし、大丈夫。
窓ガラスは、防弾仕様の防音仕様。泥棒は勿論、テロリストすらも匙を砲台で撃ち出すレベルのセキュリティ。
しばしの時を置いて、クールダウンした狂華は、跳ね返ったスマホを拾い上げて、光の速度で打ち、送り返す。
宛先:Dead or Die?
件名:死ぬ、か、死ね。選べ
本文:既読スルーされた時点で察せ
♦ ♦ ♦ ♦ ♦
スマホを見ていた誰かさん。
「ヒエッ!?」
♦ ♦ ♦ ♦ ♦
「あったらボディーブローね。確定」
狂華は作業に本当の意味で戻り、熱狂した。
なお、狂華の作業再開から一時間後、近隣住宅から、防音のはずなのに外から笑い声が聞こえて来るという謎の怪奇現象の通報があったことは闇に葬り去られた。
だって、普通はありえないもん。




