第三十九話 王都動乱・破章 ボス級の配下
フハハハハッハハハッハハハッハハハハッハハハッハハhahahahahahahahahha―――という訳でやっとこさ投稿でございます。またも遅れてすみません…。
この回は私が好きなアンデット系なモンスターが出るという…。
お楽しみに!
早速、っとドクターは息巻いてインベントリより人型のナニカを取り出す。それは奇しくも王都への行く道でドクターに突っかかって来た山賊の敵性モブの顔に似ていた。
ナニカを立て続けに幾つも取り出して三回目のスキル発動を宣言する。
「『死霊術』」
源流一辺に邪悪な気が広がり、横に倒された人型のナニカがむくりと起き上がった。ヒトガタは黒い瘴気に侵され、全貌が見えない。
「シュゥゥゥゥゥ・・・!」
エンシェントスネークは舌を震わせながら警戒するようにその巨体を引く。
間も無くナニカは瘴気を晴らし、その姿を見せる。
姿を現したモノは骸骨の兵士であった。
骸骨が襤褸服を纏い、個々に瘴気を纏った武器を持っている。
ドクターは『鑑定』を発動する。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
PLドクターの配下:骸骨山賊/LV13
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
PLドクターの配下:骸骨兵士/LV11
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
PLドクターの配下:山賊屍/LV17
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
PLドクターの配下:骸骨山賊頭/LV23
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「それなりにレベルも高くて優秀じゃない?山賊の癖に」
乱雑に吐き捨てながらも次々とアンデットを作成するドクター。
不死の軍勢に警戒音にも似た鳴き声を鳴らす大蛇。
それを見たドクターはニヤリと嗤い、号令を下す。
「行きなさい。捨て駒共」
「「「―――」」」
言語にならない叫び声を上げてエンシェントスネークに突貫する。骸骨山賊頭を筆頭にその巨体へと斬り掛かる。
骸骨兵士の攻撃はその固い鱗で防がれるが、骸骨山賊頭の攻撃は鱗を罅割らせ、流血させる。それと同時にエンシェントスネークのアイコンに身体能力低下の弱体化が表示される。
不死系のモンスター特有の攻撃で身体能力の低下や毒などの状態異常をもたらす攻撃だ。
「シャァァァァァァァァッ!」
しかしエンシェントスネークもやられっぱなしではなく。
巨体を振り回し、骸骨兵士を木っ端微塵にし、骸骨山賊を粉砕させ、山賊屍を肉片へと変える。唯一まともなダメージが入っているのはやはり、骸骨山賊頭で、追加された状態異常の毒も合わせれば単独で既に5%は削っている。
「キシャッッ!」
ダメージを与えて来る存在は鬱陶しいのか大蛇は口から水弾を発射して攻撃をするが骸骨山賊頭の部下の山賊達が肉盾(骨盾?)となり防ぐ。
その後も幾ばくか攻勢と劣勢が続いた辺りでエンシェントスネークのHPがジリジリと回復し始める。
ボス級モンスターが持ってる能力、継続的回復だ。
回復量は毒の効果を上回っており、配下たちは更にダメージを稼ごうとするが、いかんせん数が減っており回復する一方で―――。
「う~ん・・・これはジリ貧ねぇ・・・よしっ!」
戦況を見かねたドクターはアンデット用の実験もしときますか、とインベントリより四足獣モンスターの死骸を持ち出す。
そして一番近くに居た、山賊屍の一体を呼び寄せて目の前に立たせる。
「―――!?」
そのことに気づいたエンシェントスネークは鎌首をドクターにもたげ、高速で接近しようとする。AI搭載のモンスターでさえ気づいたのだ。ドクターがなにかを行うたびに己が不利になる。不幸が訪れる、と。
詰まる所ドクターは、敵愾心を稼ぎ過ぎたのだ。
骸骨兵士をなぎ倒して接近する大蛇の前に従順なる配下が立ちふさがり、邪魔建てをする。
その間にもドクターは用意を進めている。
「ハッ!」
ドクターは目の前の山賊屍をパラライズドナイフで腰を真っ二つに切り裂いた。
本来短剣などの刃が短い刃では胴を真っ二つなどは無理なはずなのだが常人離れしたステータスでそれを成し、次は取り出した四足のモンスターの首をも刈り取った。
スキルの『透明腕』で首無しの四足獣に山賊屍の上半身を載せ、スキルを発動させる。
「『狂った手術』」
ドクターの手元に外科医が使うような器具が多数現れ宙に浮き、狂医者の意思の元に動き回る。
『狂った手術』。それは生死を問わずに対象を治療、または手術出来るスキルだ。
詰まる所、ドクターの目論見とは合成獣の作成である。
傷口があり、そこを繋げて治療してしまえばその部分同士の皮膚が繋がってしまうのだ。今回の場合は死体と、稼働する死体。
(似た様で違う存在同士はどうなるかが分からないけど、要するにどちらかを死体にして統一するか、稼働する死体同士で統一するかって話よね)
「『死霊術』」
四足獣の死体がビクリと跳ねた。
その時点でドクターは器具を操り、首と上半身を縫い合わせる。合成された二つの体は光に包まれる。
ドォォォォォン!
遂に不死の軍勢包囲網を抜けたエンシェントスネークは体躯をくねらせてドクターへと肉薄する。
鋭利なる牙が覗き、ドクターへと突き立てんとするが―――
「キシャ―――ガッッ!?」
その前に遮るものが現れる。
それは腐敗した獣皮に虎柄の斑を纏わせ、首があるはずの付き根から腐った上半身が生えている悍ましい生物―――否、怪物。
手に持った、雑な片手斧で巨大な牙を押しとどめ、主を挺している。
創造主は口端を歪め、下僕の能力を閲覧する。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
PLドクターの配下:不死半人半獣/LV32
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
ボス級モンスターに匹敵するステータス・レベルに満足そうに頷き・・・。
「実験成功!」




