第三十二話 公爵情報と賢者の石
皆様!今日で今作品
「研究マニア科学者の薬物無双 ~VRMMO初挑戦の科学者が【薬物魔王】と呼ばれるまでの成り上がり~」を投稿開始から一ヵ月です!遂には9500ポイントまで伸びて、10000ポイント間近です!ここまでありがとうございました!これからもよろしくお願いします!
すみません短めです・・・。
「で、でも姉さんと言えど情報料は払ってもらいやすよ」
「ええ、勿論。マネーはそれなりに持ってるわ」
ニコリと笑うドクター。嫌な予感がするとマウロは思い、冷や汗をたらりと一筋掻いた。
「で、でださね・・・ゴホン。で、姉さんは何の情報をお求めで?」
タジタジながらもなんとか持ち直したマウロはドクターに問い掛ける。
笑顔を崩さないドクターは裏通りには似合わない声調で短く単語を並べる。
「公爵のよ♪」
「ですよね~・・・」
やっぱりかという表情でマウロは天を仰いだ。
(もしかして、あっし姉さんを暗殺ギルドに勧誘したの間違いだったのかもしれないでさ・・・いやいや、ここで引いたら情報屋として失格でさ。相手はお客さんなんだから情報を売るだけでさ)
「どうしたの?」
「いえ、何でもないでさ。で、情報料の支払いは先に半額だけ払ってもらいやす」
短時間に熟考したマウロは情報料の請求をする。
請求に疑問を持ったドクターは質問する。
「なんで半額だけ?」
「全額貰ったら逃げるかもしれないとか思われるのは心外でやんすからね。物売りは信用が大切なんでさ。それで請求額は1000万マネーでさ」
「そう、それじゃ1000万マネー」
「・・・・・・・はい、確かに貰いやした」
料金を受け取ったマウロはつらつらと謳うように情報を伝える。
「これは最近仕入れた情報なんでやすが、かの公爵様はあるモノが喉から手が出るほど欲しいらしいんでさ」
「あるモノ?」
「公爵様は今、暗殺未遂で老い先短い命を惜しんで、永遠の生命を得られるとも何物にでも錬成できるとも言われている『賢者の石』が欲しいんらしいでさ。・・・・・・役に立つかは分からないでやすが」
「・・・賢者の石」
ドクターは口の中で繰り返してニヤリと笑った。
マウロは出会った頃の下手に出る様子もなく堂々とした様子でドクターに向き直り・・・。
「ここまで言ったんでさ。やってくだせえよ」
「あら、言うじゃない?なら安心なさい。すぐ終わるわ」
客は踵を返し、裏通りから抜け出した。
売人は客と類似した笑みを浮かべ、どこかへと姿を消した。
♦ ♦ ♦ ♦ ♦
後日、どこかの研究所じみた場所にて、一人の白衣を着た女性が何かをしていた。
「これを使えば例の物が出来るはず。・・・ヒヒヒヒヒヒ」
後半に連れテンション高く言葉を漏らしたのは白衣を着た女性・・・ドクターだ。
はたから見聞きすれば魔女の様な姿と声を上げ、スラム街に選んだマイホーム内で作業をする。
そう、ドクターはスラム街にマイホームを選んだ。
理由は二つある。
一つは暗殺ギルドからとの距離が近いのともう一つはとある理由からだ。
マイホームは外見はそのままだが内装は自分で決められる。なので環境はドクターには問題なく、内装はドクター・・・狂華が働いていた時の研究所と同じ見た目だ。もう辞めてしまった研究所だが未練が無いわけではないのだろう。
そしてドクターは現在マイホームで試験管をずらり、と並べて作業を行っている。
『初級水魔法』スキルで自身と周囲の空間を覆い、『初級火魔法』スキルで空間内の温度を600度まで上げていた。汗に塗れたドクターは脱水なお、笑い続けている。
現状はドクターが試験管に”銀色の液体”を移し替えているところだ。
「そろそろMPが切れそうね・・・ほい」
ドクターは魔力回復ポーションを出し、魔力回復ポーションはすぐに気化してしまう。
しかし気化した魔力回復ポーションを吸い込み、MPを回復するドクター。常人が行うMP回復ではない。
「急速冷凍・・・」
魔法スキルを使い、危険なまで上がった空間温度を下げる。
懐から不透明な赤い鉱石を取り出し・・・。
「『変形』」
スキルを発動し、試験管内の”銀色の液体”を包み込み、さらにその上から布で覆う。
外見は布に覆われた物体をドクターは試験管を高級な綿の入った木箱へと厳重にしまう。
そっと一言。
「はぁ・・・やっと完成した。賢者の石」
暗殺相手の公爵が最も欲している物を所持したドクターは王都内にある公爵邸へと向かった。




