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研究マニア科学者の薬物無双 ~VRMMO初挑戦の科学者が【薬物魔王】と呼ばれるまでの成り上がり~  作者: 陸神
初イベントと勝負とは実験である・本戦トーナメント
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第二十九話 イベントの終わりとGMの引退?

「クッ・・・カハッ・・・!?」


毒系の状態異常によりマコトは倒れ伏し、吐血する。

毒系統出血型態異常の派生形、吐血だ。吐き出した血はポリゴンになって宙に消える。

いつもの勇誠なマコトはもう存在しない。居るのはただの毒に苦しむ一人の男。

そんな弱り果てたマコトを見下ろすのは漆黒の幾学模様が栄える白衣を着た美女。絵画にでもすれば神話の一枠にも見える。

されど、見下ろすのは女神では無く、狂科学者である。


(何故!?ドクターの強化はまだ切れていない!?あれほどの強化能力のあるスキルはデメリットが大きいか制限時間が短いはず!それなのに何故ドクターの強化は切れていない!)


マコトは自分を見下ろすドクターを見上げ、心の中でそう叫喚を紡いだ。

ドクターは視線が白衣に向かっているのが分かったのか、頬を吊り上げて口を開いた。


「私の強化系スキルが切れないのが不思議?」

「・・・!?」


心情を見透かされて恥ずかしかったのか驚いたのかは不明だが、マコトは顔を強張らせる。

それを見て、更に口角を上げるドクター。


「強化系スキル『狂人の実験』それが私の強化スキルの名前よ」

「『狂人の実験』・・・・・・」


繰り返す様に呟くマコト。


「制限らしい制限と言えば実験を決めてそれが終わるまでってこと。50%ステータスを増加するのは良いけどこれは強すぎたわね」

「・・・?」


マコトには何が強すぎるのかが分からなかった。

実験を一回終わったら効果が無くなってしまうのだから強いと言う理由がいまいち分からなかった。


「私の実験内容は『私』が『貴方(マコト)』を倒せるかどうか、って実験」

「なっ!?」


狂気の思考だ。

普通は何か一つの事柄を指定するのに対してドクターは己の生死を実験内容に定めたのだ。常人ならば思いつかないことだろう。


「私のスキルを知っちゃたんだからこれでお別れね」

「・・・ああ」


クレアシオン・オンラインは無数のスキルが存在し、個人だけが使えるスキルも多くある。切り札となるスキルを教えるのは綱渡りとも言える。それを教えたのだからそれが意味するのは会話の終わりと言えよう。


「・・・クレアシオン・オンラインは想像力が鍵となる」

「?」

「覚えときなさい。私はマコトのことを尊敬してるわよ」

「!?」


そしてドクターはマコトの心臓をパラライズドナイフで貫いた。

最後のマコトの表情は赤くなっていたのにドクターは気付いただろうか。


「実験体として」


マコトがポリゴンに変わってからドクターはそう言い、宙に消えてった。


≪レベルが上がりました≫

≪『診察・狂眼(マッドアイ)』スキルを取得しました≫

≪『予知・狂眼(フーチャーアイ)』スキルを取得しました≫

≪『狂った(マッドネス)手術(オペレーション)』スキルを取得しました≫

≪称号:『万毒の(マスタリーポイズン)王者(キング)』を取得しました。称号:『毒達人(ポイズンマスター)』は消失します≫

≪称号:『勇者の仇敵』を取得しました≫

≪称号:『第一回クレアシオン・オンライン公式イベント空想世界(フロンティア)PVP大会(ロワイヤル)優勝者』を取得しました≫

「『送還』」


ドクターの一声で大樹は異空間へと消えた。

大量のアナウンスがドクターの頭に流れる。

情報整理をしていると。


『勝敗を確認しました。転送します』


ドクターの視界は光に埋め尽くされた。



♦ ♦ ♦ ♦ ♦


『終わったね!いや~決勝戦見ごたえあったよ~!!』


意識が覚醒して聞こえた音声はそれだ。

ドクターは改めて周囲を見渡す。


(表彰台?)


居る場所はその一言で完結した。

ドクターは今、コロッセオ空中に作られた表彰台の上に立っている。それをプレイヤー全員が眺めている。

溢れんばかりの歓声がドクターを、コロッセオを揺らし、震動する。


『PLドクターには僕の作ったモンスターを殺されたりもしたけど中々いい勝負で楽しかったので許してあげよう!という訳でこれにてクレアシオン・オンライン公式イベントを終わりにするよ!ドクターには王都でのマイホーム選択権を与えよう!』

「「「「「ワアアァァァァァァアァ」」」」」


ふと、そこで―――


『あ!忘れてたけどここで重大発表があるよ』


歓声の中、GMの真面目な声が鳴り、プレイヤーは声を潜める。GMはいつも楽しそうな口調だが今回ばかりは、真面目な口調だったからだ。


『このイベントを機に僕は運営から手を引いて、AI主導の運営に切り替えようと思っているよ。理由は人間の僕がこれ以上働くと死んじゃうし、AIを作ってから検証してたけどAIでも十分に運営をしていけると思ったからだよ。アップデートを明日に挟んで設定を色々変えようとも思っているから詳しくは公式ホームページを見てね』


GMのアナウンスは衝撃を与え、プレイヤーは・・・。


「よっしゃ~~~~!」「やっとGMが消えるのか!」「やったぜ!」「ウザいんだよいつもいつも!」「今日はリアルで打ち上げだ!」


滅茶苦茶、喜んでいた。

それに対してGMは口を開いた。


『なんで喜んでいるんだよ!普通悲しむ所だろ!な~に手取り合ってんだよ!僕でも泣く時があるんだぞ!?』


GMは涙声で叫び散らかした。

爆発的な歓声が鳴り響き、クレアシオン・オンライン公式ベント『空想世界PVP大会』は終わりを告げた。


「あ~疲れた・・・・・・」


疲労したドクターは口を開き・・・。


「ログアウト」


と、言った。

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