第二十八話 狂気の開花
今回もアイデアを複数使わせて頂きました!
ZERO様、 梨花様、 鯖徒様、本当にありがとうございました!これからも皆様が読んで下さることを願っております!
いつものことですがアイデア募集!なんでも送って下さい!
後書きには使われたアイデア紹介!
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ラフリシアの種子 状態:最良
【名前付きの怪物】幾万もの毒・ラフリシアのドロップアイテム。
その種子は水でも毒でも液体であれば何であれ吸収し、成長して使いようによってはどんな害をも取り除く、秘薬にもなる。
しかし、使い方を間違えれば、神をも殺す万毒になるか、第二の【名前付きの怪物】になるだろう。
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ドクターが使った種の鑑定した場合の結果だ。
ラフリシアのドロップアイテムは複数あった中一つしかないドロップアイテムがラフリシアの種子だ。
ドクターは一つしかないこの種を実験に使えずに、保留にしていたがこのままではマコトに勝てないと踏み、不安定な切り札のラフリシアの種子を切ったのだ。
かくして、実験は現在進行形に当たる。
ラフリシアの種子から生えた葉や蔦が時計塔を覆いつくし、元の時計塔の面影は既に無い。
そしてドクターは成長したラフリシアの種子に向かって最悪のキーワードを唱える。
「『使い魔生成』」
その一言で世界が変わったように思えた。
急成長していたラフリシアの種子はピタリと動きを止め、静止する。
幾秒か時は止まり、次の瞬間にはラフリシアの種子は時計塔ではなく、上空に向かって伸び始める。
蔦は上空で緑色から茶色の幹に変わり、枝になる。更にそこから枝分かれして大樹の形を形どる。
枝分かれした部分の中心からは、葉や草木が生えて、大樹の上には小さな庭園が出来る。
「成功。やはり、ラフリシアなら『使い魔生成』が効くと思ったわ」
いつの間にか中心地に小さな庭園に居るドクターは自己の予想を裏付ける。
その間にも大樹は伸び続け、庭園には草木の他に花々もが生え始める。
「花も生え始めたし、もうこれは大樹庭園とでも言おうかしら・・・ねえ?マコト」
そう言ってドクターは振り向く。
そこには何時上っていたのかマコトが剣を油断なく構えている。
「そうだね。でもこんな時じゃなければ良かったよ」
「つれないわね」
「戦いに必要?」
「いえ」
楽しそうにドクターは笑い、焦ったようにマコトは急かす。
『勇者の覇気』の効果時間は残り、二分。『狂人の実験』効果時間は未だ不明。
焦るのはマコトの方。
「正直、驚いてるわ」
「驚いている?貴女が?」
微笑を浮かべるドクターがスラスラと述べた。マコトは首を傾げ、問い返す。
あんな非道な所業をこなしたドクターをして何を驚くことがあるのか、と。
「私はこのトーナメントでそこまで苦戦していなかったのよ。それなのに貴方のようなチートみたいな存在がいるとは思いもしなかったわ」
「チートって・・・・・・」
「もしかして自覚無かったの?STRが100を超えているゴブリンの攻撃に合金鉄の精錬とか溶接に使われる程の熱量を受けて生きていてそれでも?」
「・・・・・・」
「ほら、否定できないじゃない」
マコトは思い返し黙り込み、ドクターは勝ったと楽しそうに悪童の顔を作る。ここまでドクターが他人のことを賞賛するのは珍しいことだ。
だから―――
「だから、私は貴方を本気で殺す」
「・・・え?」
その言葉に秘められた思いはどれ程だっただろうか。
悪意、賞賛、感嘆、尊敬、どれもが籠められた言葉が放たれると同刻、大樹庭園が脈動する。
幹を突き破り、多様な植物が姿を現す。
「うわぁっ!?クソッ?!」
何かが発射され、マコトを何かが襲う。マコトは必死に回避して避ける。
発射元はウリ科の植物、鉄砲瓜だ。鉄砲瓜は先端から勢いよく種子を吐き出すという、特異な性質を持つ。
ラフリシアの種子はドクターの『使い魔生成』によりモンスター化し、大半の植物を生成することが出来る。モンスターから生み出された植物も例外なく、モンスターな訳で・・・。
「うぉっ!こなくそっ!」
次々と鉄砲瓜が生え、マコトを狙い撃ちにする。
モンスターと化した鉄砲瓜は通常よりも十数倍に大きくなり、種子を飛ばす速度も時速50キロを超えている。
だが、マコトは回転したり、側転、バク転、『中級風魔法』スキルを使った、空中立体機動などの人間離れした動きで種子の銃弾を避ける。
「本当に人間かしら?後で解剖させてくれないかしら?」
「嫌に決まってんだろっおおお!?」
意外と余裕あるようだ。
ドクターは指揮するようにマコトに指を向けて、振る。
指の動きに呼応して植物が自生する。
次に生み出されたのはモウセンゴケと呼ばれる食虫植物。
葉身はほぼ円形で、一面に長い毛があり、その先端から甘い香りのする粘液を出して虫を捕まえる特性を持つ植物。
指の動きに合わせて地面からモウセンゴケが突き出し、マコトを捕まえようと揺れる。
「ナニコレ!?キモッ!・・・ヤバッ!」
足場を制限しつつ、種子を避ける姿は一種の舞踏にも見える。
だが、打倒せんとする者には目障りでしかない。
「次!」
手を横に一閃する。
庭園の花草木にスイセンやアネモネ、トリカブトが生え、草木もウルシやイチョウなども自生する。
どれも有毒な植物だ。
ドクターが己の使い魔のラフリシアの種子に命令したのだ。
「着火」
パチン・・・と指を鳴らし、呼応するように火花が散り、植物に着火する。
毒草は燃え、煙となってマコトを襲う。
「うぐっ・・・」
マコトは口を塞ぎ、防ごうとするが攻撃を回避しながら防ぐのは困難。状態異常になり、皮膚が赤く腫れ、爛れ、顔色も悪くなり真っ白になる。
(だけど、これは使った本人も状態異常を受けるはず!)
そう思ったマコトはドクターを横目に見る。
驚愕する。
「なっ!!??」
マコトが見た光景はドクターが己の首筋辺りに何かを突き刺している光景。
一瞬、何をしているかが理解できないマコトだがドクターには意図があった。
≪『上位麻痺耐性』スキルを取得しました≫
≪状態異常:極度麻痺を克服しました≫
≪『上位毒耐性』スキルを取得しました≫
≪『皮膚障害耐性』スキルを取得しました≫
≪状態異常:皮膚害を克服しました≫
≪『吐き気耐性』スキルを取得しました≫
≪状態異常:吐き気を克服しました≫
≪『上位毒物耐性』スキルを取得しました。≫
≪『上位猛毒耐性』スキルを取得しました。『上位毒耐性』のスキルは消失します≫
≪状態異常:猛毒を克服しました≫
≪『上位麻痺耐性』『上位猛毒耐性』『上位毒物耐性』スキルが統合されます。『万毒無効』スキルを取得しました。『上位麻痺耐性』『上位猛毒耐性』『上位毒物耐性』スキルは消失します≫
≪『万毒転じて万薬となる』スキルを取得しました≫
「実験成功」
回復ポーションを飲みながら一言。
ドクターは自分に毒を取り込んでスキルとしての抗体系のスキルを取得するまで耐えて毒を逆に無効したのだ。
ドクターには回復ポーションが大量にあるから死ぬことはない。ドクターにしか出来ない技だが行為自体は狂気の沙汰としか言いようがない。
体中を毒が駆け巡り、血管が浮かび、全身が泡立っているのを耐性を獲得するまで耐えていたのだ。並みの忍耐ではVR機器の安全装置により強制ログアウトされていたことだろう。
「それじゃ、そろそろ終わりにしましょうか?【勇者】マコト」
ドクターは静謐に微笑み、マコトの『勇者の覇気』の効果は切れた。
今回のアイデアは
植物:『鉄砲瓜』『スイセン』『アジサイ』
スキルは:『万毒無効』『万毒転じて万薬となる』
です!
皆様本当にありがとうございました!
これからもアイデアをどんどん送って下さい!




