第二十七話 テルミット法と狂気の発芽
採用したアイデアはテルミット法でした!
次回はもっとアイデアを採用します!
アイデアを送ってくれたら大抵は使います!
毒草とか、こんな実験や化学反応を使って欲しいとかあったら感想で送って下さい!
私はいつでもアイデア募集中です!
「しつこい男は嫌われるわよ!」
「貴女に男と思われてもねっ!」
売り言葉に買い言葉。
背後から次々と放たれる魔法スキルの数々を同じく魔法スキルと毒物などで迎撃するドクター。
向かっている先にはルキバルにて一番背の高い建物―――時計塔がある。
(もう!ここで使うつもりはなかったのに!)
ドクターは漆黒の幾学模様が浮かんだ白衣のポケットに手を突っ込み、中から複数の袋を取り出し、それを『透明腕』が受け取ってマコトの周囲に向かって放り投げる。
しかしそれは走りながらやっているからではなく、ドクターなりの理由があった。
(火矢の矢群!)
『初級火魔法』を後方に使用する。
放たれた数十本もの火矢はマコトを巻き込み、袋にも着火する。魔法の使用者は目を塞ぎ背中部に『初級水魔法』スキルで水の膜を作る。
「こんなもの―――」
火矢を盾で防ぎ、マコトがそこまで言ったところでルキバルの一帯を光が埋め尽くした。
「う、うぁぁぁ・・・・・・」
光の中から呻き声が漏れ出し、ドクターの顔は苦痛の色が浮かんでいるが愉快そうに時計塔に向かっている。
先程の現象はテルミット法を利用したのだ。
ドクターが放った袋の中には油が染み込んだ薄紙に包まれた酸化銅とアルミニウムが入っていた。
酸化銅とアルミニウムはドイルトのダンジョンから産出した物で。当時、ドクターはなんで銅やアルミニウムの原料であるボーキサイトが産出するのかと疑問を抱いていたがテルミット法を思い出して忘れたのは余談である。
酸化銅は銅をドイルトの鍛冶師に頼んで作って貰い、ボーキサイトは『初級火魔法』の加熱下で赤紫斑毒に浸し、酸化アルミニウムが溶け出すのを確認して不純物である水酸化鉄は不溶性であるため、沈殿するので分離し除去され、上澄みの赤紫毒を取り出して冷却し、結晶核として水酸化アルミニウムの結晶を加えて静置すれば、粒状の水酸化アルミニウムが沈殿し、沈殿した水酸化アルミニウムを分離・水洗し、焼成することで酸化アルミニウムを得たバイヤー法で酸化アルミニウムを取り出した。
同じくダンジョンから産出した氷晶石 に水酸化アルミニウムを5%程度混合し、陽極に『中級雷魔法』を用いて電気分解することにより、陰極に単体のアルミニウムが得られる。
ここまでゲームの世界で出来ると思わなかったドクターは狂喜乱舞したが実際の所はクレアシオン・オンラインの中でそう想像し、思い、行動したからこそ得られた結果だ。
そして酸化銅を粉末にした物アルミニウムを粉末状にした物を混ぜ合わせて火を付けると、どうなるかはマコトの反応で分かる。
(アルミニウムの粉末を何かしらの酸化剤と混ぜ合わたモノを加熱することにより、多量の熱を放つ、冶金法―――テルミット法により、視界妨害と高温熱によるダメージ効果も見込める!・・・ホントは一応の保険として持って来たけど役に立ったみたいね。私も熱によるダメージ受けたけど!)
ドクターは作成した当時を思い出しながら、時計塔に到着する。マコトは当然の如く生き残り、スキルで回復しつつゆっくりと追って来ている。
「嘘でしょ!?なんで追って来ているのよ!?」
ドクターの反応も当たり前である。
高温の中じっくり焼かれたのにも関わらず追って来ている。常人ではあり得ない精神力である。
「胃の中タプタプなんですけど!?『変形』!」
今日だけで何本目か分からない魔力回復ポーションを一気に飲み干し、『変形』で時計塔の壁を階段に変形させて駆け上がる。
MPを回復できるドクターならではのごり押しの方法。
時計塔の周りに階段を作りながら最上部を目指す。
そして・・・
「到着っと」
時計塔の最上階に到着した。
管理用の足場に立ち、ルキバルを一望する。
視線はしばし彷徨い、一角に留まり、ドクターの顔は憎々しげに歪む。マコトだ。
既にダメージは見えず、走って向かって来ている。
「・・・・・・決着させないとね。いい加減」
ボソリ、と呟き。次の瞬間には邪悪な笑みに変わる。
「さあ、始ましょう!一世一代の大実験!!」
手を大きく広げ、天を仰ぐ。
瞳の中は狂気と愉悦が同居している。
そしてインベントリから豪壮な造形がなされたガラスの箱を取り出す。透明な箱の中には一粒の種が入っている。
種を取り出し、試験管に移し、【赤紫斑毒の三角試験管】を手に持ち赤紫斑毒を注ぐ。
種は腐り、溶けるどころか赤紫斑毒を吸い込んで成長する。
種は赤紫斑毒を吸って、成長し発芽する。と同時に禍々しい空気が伝わる。
「それ!」
試験菅ごと時計塔の内部に落とし、まだまだ赤紫斑毒を注ぐ。
種は血管の様なモノが表面に浮かび、妖しく脈動する。ドクターは赤紫斑毒以外にも麻痺毒、神経毒など色々な毒をも吸わせる。
発芽した種は急速に成長して時計塔に絡みつく。
根は巨大に、葉は大葉に、変わり、蔦が生えて時計塔の下部を覆いつくす。
「フフフフフ・・・アハハッハハハ!」
ドクターは狂笑を上げる。
「実験は成功ね」
時計塔を覆いつくす光景を眺め、種の経路を想起する。
「やっぱり凄いわね・・・・・・ラフリシアの種」
種の正体はネームドモンスターのドロップであった。
採用したアイデアはテルミット法でした!
次回はもっとアイデアを採用します!
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毒草とか、こんな実験や化学反応を使って欲しいとかあったら感想で送って下さい!
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