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その時は本気で逃げることにします〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様、続〜  作者: みのすけ


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特使12 王太子殿下との茶会

お立ち寄り頂きありがとうございます。

こちらは「婚約破棄?その言葉ずっと待ってました!〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様〜」の続編的な位置付けです。もちろんそのままでもお楽しみ頂けます。

設定や人物像については、前作をご覧頂けるとより楽しめるかと思います。

襲撃の翌日、ヤン殿下に朝の挨拶に行ったところ、元の殿下に戻っていた。


「ア、アレキサンドライト、昨日は取り乱して悪かったナ」


「殿下に大事がなくて、なによりです」


「……」


「殿下、お顔が赤いようですが体調はいかがですか?王宮の医師を呼びましょうか?」


「い、いらヌ。世は大丈夫ダ」


「それなら安心致しました」


「う、うむ、あと……あのハンカチはもらっても良いカ?」


「はい」


殿下の様子が今までと違うような気がしたが、昨日あんな目に遭ったばかりだから、しばらく見守ることにする。


殿下の側に付いているユエ執務官を見ると、いつも通りニコニコしているので、殿下の体調に問題はないようだ。


シャオタイ護衛長には警備を強化してもらい、私もこの離宮以外の場所にあまり行かないように用事を調整することにした。


✳︎


王太子宮から連絡があり、急遽王太子殿下と昭国の茶会が催されることになった。


王太子殿下はヤン殿下が襲撃を受けた事を大層心配されており、昭国側に色々とご配慮頂いた様だ。


昭国は一度、王太子殿下との茶会をキャンセルしていた。

再度セッティングしようにも、ホストである王太子殿下のスケジュールを押さえるのはなかなか難しい。

そのため茶会の予定は延期されたままだったのだが、この度実現されることになり私もホッとした。


茶会では護衛として同席した兄から、王宮及び昭国特使用離宮周辺の警護を強化する旨が伝えられた。


兄オリバーは騎士として王太子殿下の側近を務めている。


対して私はユエ執務官とヤン殿下の側に控える。


私が官吏になってから初めて、兄と同じ場所で仕事をしている。なんだかとても新鮮だ

王太子殿下の側近として立派に務める兄は格好良く、その姿を家族にも見せてあげたいと思った。


茶会が終わり王太子殿下一行を見送った後、部屋に戻るとヤン殿下が不機嫌そうだった。


王太子殿下がいる前では貴公子の笑みをしていたのに、どうしたことだろう?


「殿下、どうなされたのですか?」


慣れない社交で疲れたのだろうか?

茶会で不手際はなかったと思うが。


するとヤン殿下はブスッとした顔で不機嫌そうな声を出した。


「アレキサンドライトはあの様な者が好みなのカ?」


「あの様な者とは?」


「王太子の側近の騎士のヤツ」


「好みというか……なぜそう思うのです?」


「熱心に見ていたダロウ」


「ああ、えぇと、彼は私の兄でして」


「兄⁈」


「はい、引き取られた先の家族なので、血は繋がっていないのですが。

兄と仕事の場で同席するのは初めてで見惚れてしまいました。申し訳ありません」


「そうカ、なら仕方ないナ。

アレキサンドライト、この後、庭園に付き合エ」


「畏まりました」


よく分からないが、殿下の機嫌が直ってホッとした。

評価頂いた方々、ブックマーク頂いた方々、リアクション頂いた方々、毎回励みになります。

ありがとうございます^_^

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