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【俺様フェンリル】の飼い主になりました。異世界の命運は私は次第!?~悪を成敗!頭を垂れて我につくばえ~  作者: 酒本アズサ


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77.盗賊達の捕獲

「ひぃっ!」



 男達の登場にルネちゃんのお母さんが、眠っているルネちゃんを隠すようにギュッと抱きしめた。

 恐らくこいつらが盗賊なのだろう。



「ルネちゃんのお母さん、ルネちゃんを連れて家の中に隠れていて。大丈夫、私達があいつらを捕まえてあげるから」



「は、はいっ、ありがとうございます!」



 少し不安そうにしつつ、お父さんも一緒に家へと走って行った。



『なんだ、捕まえるだけでよいのか? なんなら欠片も残さずこの世界から消してやるぞ』



「う~ん、指名手配されてるみたいだし、それなら報奨金もでるでしょ? 大変な思いをしたルネちゃんへの迷惑料として必要だと思うの」



『主は甘いな、だがその甘さは嫌いではないぞ』



「おい! 何を一人でごちゃごちゃ言ってんだ! あのガキの代わりに嬢ちゃんが一緒に来るのか? まぁもうちょっと成長し」「『氷壁(アイスウォール)』」



「なんだ!? 魔法か!?」



「出せ!! なんだこの氷は!」



 ムカつく予感しかしなかったので高さ三メートルの氷の壁に閉じ込めてやった。

 突然現れた氷の壁に男達が騒いでいるが、十人に満たない人数であればどうとでもなる。



「ふふふ、ルネちゃんを酷い目に遭わせたやつらに情けは無用だよね。上から水入れちゃおうか、キンキンに冷えた水だと足首くらいの深さでも体温奪われて衰弱するらしいし、弱らせて捕まえる? それとも普通に水で満たして体力奪った方がいいかな!?」



『ほぅ、意外だな。主は一思いにやるより、ジワジワと苦しめる方が好きなのか』



「違うよ!? その言い方だと私が酷い人みたいなんだけど!」



「サキ、そうは言ってもいきなり氷の壁に閉じ込められるのは、魔法の使えない者からしたらかなりの恐怖だと思うぞ。周りを見て見ろ、村人達も怯えている」



 マティスに言われて周りを見回すと、遠きに見ていた村人と目が合うと、怯えたようにすぐに目を逸らされてしまった。

 村にとっていい事してるのに、こんなに怯えられるのは納得いかない。



 こうしている間にも、男達は中から氷の壁を壊そうと斬りつけたり、体当たりをしている。

 十センチくらいの厚みがあるからそう簡単には壊れないんだよね、それに線で斬るんじゃなくて、アイスピックみたいに点で攻撃しないと。



「ねぇサキ、オイラ達が中に入って制圧してくるのはどう? それなら懲らしめられるし、早く終わるでしょう?」



『どうせずっと馬車に乗っていたせいで身体を動かしたいのであろう。主よ、好きにさせてやれ』



「えへへ、さすがアーサー、よくわかってるね!」



 どうやらアーサーの言った通りらしい。

 確かに私も運動不足な気はしているので、気持ちはわかる。



「いいけど、怪我しないように気を付けてね」



「わかってるって! 行こう、兄ちゃん、ユーゴ!」



 身体強化をかけて嬉しそうに走り出したリアムの後を、二人も同じように追いかけ、軽やかに氷の壁を飛び越えて中に入って行った。

 リアムだけじゃなく、マティスとユーゴも笑顔だったのは見間違いじゃないのだろう。



「なんだてめぇら!」 



「野郎共、やっちまえ!」



 熱気のせいか、土埃のせいか、氷の壁の中は白くけぶって見えなくなっているが、中から怒号と殴るような音がしばらくの間響く。

 そして数分後に突然静かになった。



『主よ、氷壁を消してよいぞ』



「えっ!? あ、うん……。『魔法解除(マジックリリース)』」



 ところどころ赤く染まった氷壁を消すと、立っていたのは狼獣人の三人だけだった。



「久しぶりに身体を動かしたが、弱すぎてあまり運動にもならなかったな。誰かこいつらを縛るロープを持ってきてくれ」



 マティスが村人達に向かって言うと、何人かが慌てて取りに行った。



「お疲れ様、皆ケガはない?」



「ん、ない」



「身体強化使うまでもなかったくらいだよ。こいつらよくこんなので盗賊なんてやってたなぁ。ところでこいつらどこに届けるの? それともここに置いて行く?」



 リアムの問いかけに馬車の中で待機していたオーギュストが顔を出した。



「ここにサキの魔法で穴でも掘って入れておけばいいだろう。この人数を連れて行くのは大変だからね。まる一日くらい行かないと衛兵が常駐している町もなかったはずだから。その町に到着するまで見張り続けるのも大変だろう?」



 というわけで、下より上の穴の方が狭くなっている脱出防止機能付きの穴を空け、全員落としておいた。

 熱くも寒くもない気候なので水以外与えずに置いておけば、衛兵が捕縛しに来る頃にはいい感じに弱っているだろう。



 その事を村長さんに話し、村に野営で一泊して私達は村を出た。

 ちゃんと村を出る前に、ルネちゃんから頬ずりというごほうびはしっかりいただいたもんね。


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