14.一件落着
同じのが投稿されていると思った方、申し訳ありません!
12話が抜けていたので追加してあります!!(´;ω;`)
「違う」
「へ!?」
「全部……あいつの」
「あいつ……?」
もしやと思い、男が最初に吹っ飛んだ方を見た。
そこには全身血塗れで、顔も原型をとどめていないズタボロの大男が一人。
「こ、こ、こ、殺し……っ!?」
「生きてる…………はず」
はず!?
「も~、気持ちはわかるけど、ちょっとやり過ぎじゃない? オイラちょっと見てくるよ。けど……よくやった」
リアムはすれ違いざまに血塗れのユーゴの頭をグリグリと撫でて、男の様子を見に向かった。
……ハッ! こういう時こそ真っ先に覚えた洗浄魔法の出番じゃない!?
「ユーゴ、洗浄魔法かけるね。『洗浄』」
家事の手伝いをするために最初に覚えた魔法が洗浄魔法なので、今では一番得意な魔法ともいえる。
「ありがと……コレ」
そう言ってユーゴが差し出したのは、あの男に取られた黒猪の報酬だった。
「あ……。ユーゴ、ありがとう。助けに来てくれてすごく嬉しかった」
「ん、家族だから」
一緒に家事をしている事もあって、ユーゴはアーサーの次に一緒にいる時間が長い。
今は会えない家族への愛情と、ユーゴのへの感謝の気持ちが込み上げてきて抱き着いた。
「あー! ズルい! 二人だけでじゃれるなんて! オイラも!!」
戻ってきたリアムがドーンと体当たりするように、私とユーゴを纏めて抱き締めた。
「あ、そうそう、あいつ生きてたから一番低級のポーションだけかけといた」
「じゃあ……大丈夫かな? それじゃあ今度こそお菓子買いに行こうか」
そうして歩き出した瞬間、見回りの衛兵に声をかけられた。
「そこのお前達! さっきこの辺りで争っているという通報が……あぁっ!?」
衛兵の視線は血塗れで倒れている男の方を向いていた。
ちょっと待って、もしかして連行されちゃったりしないよね?
ジロリと私達を睨む衛兵の視線に、背中に嫌な汗が流れる。
「あっ、いた!! サキさん無事だったんですね!」
その空気を壊したのはギルド職員の女性、さっき報酬の受け渡しをしてくれたジャネットだ。
隣には挨拶くらいはする低ランクの仲間の冒険者の姿が。
「無事というのは?」
少し顔を赤らめた衛兵がジャネットに尋ねる。
「実は……、この方がそこのサキさんが路地裏に連れ去られるのを見たと、ギルドまで知らせに来てくれたんです。ずっと前から新人相手に色々迷惑行為をしていると言われていましたが、証拠がなくて処分できなかったんですけど……」
「サキを襲って報酬を奪ってた」
「そうだよ! オイラ達が見つけた時はサキの頬が腫れ上がってて、それでユーゴがキレたんだ」
双子が状況を説明すると、ジャネットは頷いて衛兵に向き直る。
「これで証拠は揃いましたね、申し訳ありませんがあの男を牢に入れておいていただけませんか? これから冒険者ギルドで会議にかけて、冒険者証剥奪させますので。結果が出次第お知らせしますので、お名前をうかがっても?」
「はいっ、喜んで!! あ、いえ、俺……私はエリクといいます!」
「では後ほどお伺いしますね」
「ハッ!」
美しい敬礼をして、エリクは私達を見送った。
これから私達は事情聴取を受けるのだろう、もしかしたら今日はお菓子を買えないかも、トホホ……。
未練がましくお店の方を振り返ると、この町では見た事のない高そうな服を着た美少年と目が合った……気がした。




