101.倉庫の確認
結果的に薬草二種類の採取と、食肉確保のために常設されている角兎を受注した。
その他は森の奥に行かないといけない大物か、町中で仮登録中の子供がやるようなお手伝い依頼しかなかったので仕方ない。
「これで最後だ」
森の入り口付近でシリルが今日受けた依頼の薬草を全て摘み終わり、あとは角兎を三体狩るだけになった。
『我も戯れに一体狩ってきたぞ。主の空間収納に入れておくといい』
草叢から現れたのは、大きい方の姿になっているアーサー。
口に角兎を咥えている。
よくその状態で話せるなと思ったけど、考えてみれば念話なので口が塞がっていても関係ないか。
「ありがとうアーサー。それじゃあ私達は一旦森の家に行ってくるね。ジョセフの分を持って行かないと面倒な事になりそうだし。行こうアーサー」
『うむ』
「わかった。昼頃になったら合流してくれ」
「はーい」
マティスに返事をして、アーサーと森の家に転移した。
先に倉庫で装備品の確認をしよう。
「アーサー、先にジョセフが使えそうな装備品を見てくるね」
『ならは我も行こう。主はついでに鑑定魔法の練習をするといい、恐らく見た事のない物も多くあるだろうからな』
倉庫に移動し、鑑定魔法のやり方を教わり次々に鑑定を試していくと、次から次へともの凄い鑑定結果が頭の中に表示された。
まずは神力で造られた装備に始まり、製作者の名前がカミーユ、つまりはここに住んでいた魔女が造った物が多数あったのだ。
「うわっ、これもそうだ! しかも国宝級が嘘みたいにゴロゴロしてるんだけど!?」
『まぁそうであろうな、一万年の寿命を与えられたと言っていただろう。色んな事を極めるための時間はたっぷりあったというわけだ。恐らく暇つぶしというのが一番の理由だろうが、集中している時は全てを忘れる事ができたであろう』
そう言ったアーサーの横顔は、まるで魔女を憐れんでいるようだった。
一万年も生きたら、寿命を迎える瞬間ホッとしそうだ。
それにしても、暇な時間がどれだけあったんだと言いたくなるほど物がたくさんある。
実際はそうは見えないけれど、それは魔法の収納があるせいだった。
「日本語……」
丈夫そうな皮の鞄に縫い付けられたタグには、『ドワーフ用装備』『エルフ、またはエルフ体型装備』『人族装備(大人)』『人族装備(新人)』最後に他に比べて数が少ない『獣人専用装備』の五種類あった。
昨日見た装備とは違うんだろうか、そう思って試しに取り出した装備品は、神話級どころか神級と言うのだろうか、神様が装備してもおかしくないような素晴らしい出来の物だった。
「すごい!! 魔女って何者なの!? いや、転生者っていうのはわかってるけど!」
『何を言っている。実際魔女より長生きした者はいないのだから、単純に経験で技術が磨かれたのだろう。まぁ、多少は本人の才能もあったであろうが……。ああ、もしジョセフに武器も渡すのであれば、ハンマーかメイスにしてやるといい』
ドワーフ用の装備は色々と見つかったのだが、どのランクの物を渡すべきかしばし悩むのだった。




