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631話 『残虐のハヌマーン』

零龍(リンロン)さん!」


 静香とユマは急いで零龍の元へ駆けつけ、静香が止血し、ユマが包帯を巻く。しかし彼女らは医療知識や技術は持っていないので、腹部の姦通の応急措置など上手くいくはずがなかった。


「なるほど、ウルセイウチを倒したのはお前だったか。その強さは認めてやるが、所詮奴はただの‶高格の魔獣(ハイビースト)〟。‶王格の魔獣(ハヌマーン)〟の足元にも及ばん」


 レオパルドは満身創痍の零龍を見て1割ほど感心する。

「それで? ‶牙爪部隊(うち)〟のトップ戦力を誇っていたレオメタルを倒した‶龍斬り 〟の気配が遠ざかってるようだが……なるほど」


 レオパルドは千里眼で颯太が‶万物の世界樹ユグドラシル〟の方へと真っ直ぐ走っている様子を見て何かを察する。

 レオパルドは再び零龍の方を向くと、大きな前足をゆっくりと前に伸ばす。するとその正面にヘーボンが回り込み、剣を構える。


「ここは行かせませんよ!」


「随分と強気だな。だが先に攻撃を仕掛ける度胸のねぇ奴が、俺の前に立とうとするんじゃねぇ!」


 レオパルドは前に立つだけで何も攻撃を仕掛けてこなかったヘーボンに怒鳴り散らし、鋭い鉤爪でヘーボンを叩きつける。

 ズドォォォォォーーーーーーン‼‼‼‼‼‼

 叩きつけた衝撃で床下に大穴が空き、ヘーボンとレオパルドは下の階へと落下していく。

「床を叩いただけでバラバラに切り刻まれた!」

 ヘーボンは爪から凄まじい破壊力の斬撃が放たれたことに驚きながらも剣を構えて神力を刀身に送り込む。するとそれに対抗するかのようにレオパルドも右前足にまとっていた神力のオーラを高速回転させ爪先に送り込む。


「‶神剣真覇衝(しんけんしんはしょう)〟‼‼‼‼」


「‶螺旋の(ガラ・デル・)鉤爪(エスピラール)〟‼‼‼‼」


 ズドォォォォォーーーーーーン‼‼‼‼‼‼


 剣と鉤爪が衝突し、4階を取り壊す勢いで切り刻まれていく。





 一方その頃、ハヌマーンはウルセイウチの亡骸を通り過ぎ、‶魔龍城〟から外に出ようとする骸骨剣士に声をかける。


「よぉ! 何をしに行くんだ?」


「何って決まってるだろうが! あのクソ人狼野郎に制裁を加えなけりゃ気が済まない!」


「人狼だと?」


 ハヌマーンは首をかしげながら骸骨剣士、スカルヴィカウントの話を聞く。

 しばらくして、一通り話を聞き終えたハヌマーンは‶魔龍城〟の壁を叩き壊し、怒りをあらわにする。


「あのクソガキがぁ! ‶牙爪部隊うち〟の名前に泥塗るような真似しやがって!」


 ハヌマーンの爪からはバチバチと火花が散っていた。


(昇格を望んでいたあいつが何故‶聖霊界〟への遠征を断ったか。あのときに気付くべきだった! いや、レオメタルのしくじりのときに温情かけずに始末しておくべきだったか? そんなことはどうでもいい! 今すぐ奴を始末しねぇと戦況が大きく傾くかもしれねぇ!)


 ハヌマーンは悪い予感と後悔で頭がいっぱいになり、外へ出ようとするスカルヴィカウントの腕を掴む。


「これは‶牙爪部隊(がそうぶたい)の責任だ。俺が直接あのクソ狼をぶちのめす。てめぇは城に残るネズミ共を始末してくれ!」


「ちょっと待て! 奴にムカついてるのは俺も同じだ」


「俺の方が速く走れる。だから必ず奴を始末してお前に首を持ってきてやる」


「絶対だぞ! 俺にも奴を斬らせろよな!」


 ハヌマーンはコクリと頷くと、凄まじい速度で‶魔龍城〟を後にする。


「ソースイウルフの目的は十中八九儀式の妨害だ! 奴と‶南の守り神〟に何のつながりがあんのかは知らねぇが俺の目が黒いうちは裏切りができると思うなよ! クソガキがぁ!」


 ハヌマーンは怒りに身を委ねながら森の木々を切り倒して先へ進む。その道中、偶然脱走した元奴隷冒険者たちを発見し、自分の怒りをぶつけているのかと思われるくらいまで……残虐の限りを尽くす。

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