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563話 『繋がりの無界』

「これは?」


「こいつは‶魔獣界〟と‶人間界〟をつなぐ‶繋がりの無界〟……‶魔獣軍〟の連中らはこの‶無界〟に通じる空間ゲートを作り出し、この世界を隔てて‶人間界〟へと侵入してきている」


 ディアーラはキーボードをカチャカチャと音を立てながら入力し、‶繋がりの無界〟の詳細なデータを映し出す。


「‶繋がりの無界〟は入った人間を自動で別世界へと運んでいくんだが、その運ぶ速度は魔力量に反比例する」


「反比例……魔力量が高ければ移動速度が遅くなっていくということね」


 学年一位の頭脳を持つロゼはディアーラの説明を瞬時に理解する。ディアーラはロゼに頷くと話を続ける。


「そのため魔力量が高い魔獣は世界間の行き来に相当な時間を必要とするんだ」


「なるほど! つまり‶魔獣王〟や‶第一幹部〟のような魔力量の高い魔獣はまだ‶魔獣界に到着していない可能性があるってことか!」


 話を隅で聞いていたトムが前のめりになって口を開く。


「そう言うことだ。それに‶第一幹部〟の魔獣がわざわざ部下の魔獣を呼んで‶龍斬り〟の回収させたのは速やかに自軍の拠点に奴を運び込むためだったんだ」


 ディアーラはそう言うと次の画面に切り替える。


「こいつは俺の計算だが、‶無界〟での‶魔獣王〟や‶第一幹部〟の移動時間は7日もかかる。それに対しててめぇらと同程度の魔力量を持つ魔獣はおよそ3時間ほどで‶魔獣界〟に到着することができる。これがどういう意味か分かるか?」


「そうか! 俺達の方が奴らより先に‶魔獣界〟に着くことができるのか!」


 敦はディアーラの言いたいことを理解し代わりに説明を始める。


「要するにあの宣戦布告が昨日の出来事だから、そこからすぐに俺たちが出発すれば奴らよりも5日も早く魔獣界に到着できる! そう言うことだろ?」


「まぁそう言うことだ。だがてめぇらもいろいろと準備があるだろうから出発は翌日になるんだがな」


「それでも4日早く着けるんでしょ! だったらあの2体が戻ってくる前にササッと颯太を救出して戦う準備をしておかないとね!」


「そいつは難しいかもな」


 リーナの話に割り込むような形でグランベルクが話し出す。


「何も‶第一幹部〟があのガルーダって言う魔獣だけじゃないんだ。それにあの魔獣だって‶魔獣軍〟の実力は5番目と言ったところだろ」


「あの力で……5番目!?」


 リーナたちは激しく動揺する。そう、彼女たちは実際にガルーダを目撃しており、奴が翼の一振りだけで高波を起こし、大勢の人々を海に沈めた光景を目の当たりにしていたのだ。


「‶魔獣軍〟の‶第一幹部〟は奴を含めて全部で4体。そして‶第二幹部〟にも‶第三幹部〟にも‶王格の魔獣(ロイヤルビースト)〟は当然いる。確か‶魔獣軍〟には全部で13体‶王格の魔獣(ロイヤルビースト)〟がいたはずだ」


「‶王格の魔獣(ロイヤルビースト)〟が13体!?」


 ロゼはグランベルクの衝撃の一言に戦慄する。


「そんなヤバイ奴らがたくさんいる世界に侵入したところで、‶魔獣王〟を倒すどころか颯太っちすら救出できないんじゃないの~?」


 静香はあまりにも絶望的な状況に弱音を吐くと、なぜかグランベルクは不敵な笑みを浮かべる。


「心配するな。あの世界にも貴様らの味方ならいる」


「私達の味方?」


「そうだ。‶魔獣界〟の巨大山脈の中で栄える最強の種族……‶龍の一族〟だ」


「‶龍の一族〟!?」


 リーナは龍と聞いて真っ先に2年ほど前に自分を攫った‶魔龍・ジャグーラ〟を思い出す。


 今のリーナであれば、あの魔龍に負けることはないのだが、過去に植え付けられたあの恐ろしい存在は今でも忘れられないのだ。


「でも龍が私たちの味方をするのか? 奴らは私達を恐怖に陥れている存在で、‶魔獣王〟だって龍じゃないか!」


「ああ、貴様らが見てきた龍たちはこの人間界に悪影響を及ぼす奴らばかりで印象が良くないのはよく分かる。だがそいつらは邪悪な龍種、魔龍や‶魔人ラボ〟の代表に改造させられた‶龍魔人〟であって、本来の龍は心優しき人間界との共存を望む種族なんだ」


「お前が言うようにそいつらが本当に心優しき種族であるのなら、勝ち目はあるんじゃないか?」


 リーナは希望を見出すことが出来たのか、安堵の息を漏らす。しかし今度はディアーラが彼女たちの話に口を挟む。


「それでも油断は出来ねぇぜ。‶魔獣軍〟はジャグバドスが‶人間界〟に進行するのと同時に‶聖霊界にもある部隊を向かわせていたんだ」


「ある部隊?」


 リーナが聞き返すとディアーラは説明を続ける。


「‶第一幹部〟の魔獣はそれぞれに部隊を編成されていて、ガルーダが率いる部隊を‶天空部隊〟と呼ばれている」


「天空部隊……」


「そして‶聖霊界〟に進軍した部隊の名前は‶牙爪部隊(がそうぶたい)〟……鋭い爪や牙を持った獰猛な魔獣で構成された危険な集団だ」


 リーナたちはディアーラの説明を聞きゴクリと息をのむ。


「それで? ‶聖霊界〟はどうなったんだ? 奴らを追い返したのか?」


「いや、その逆と言ってもいいだろう……」


「「「「ッ!?」」」」


 ディアーラは画面の右下のマークをクリックすると、画像が拡大され、そこには激しく燃える‶聖霊界〟の外門が映し出されていた。

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