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545話 『価値ある能力』

 ――私は‶奇才者〟としてこの世に生を享けるのだが、他の‶奇才者〟よりもその能力に恵まれることはなかった。


 ‶無属性の奇才者〟……それはある一種の無属性の能力を大規模に使用することができる能力である代わりに、無属性の魔法しか使用することが出来ない。


 火、水、雷、風、土、氷、光、闇と言った‶自然属性の奇才者〟は、‶龍斬りの雨宮〟や‶円城敦〟のように‶鋼筋武装〟や‶超速移動〟などの無属性の魔法も使用することができるのだが、‶無属性の奇才者〟は先述の通り自然属性の魔法は一切使用できない。


 だからと言って‶無属性の奇才者〟が‶自然属性の奇才者〟に劣っているわけではない。その突出した能力に価値のあるものなら‶自然属性の奇才者〟をも凌ぐことができる。


 だが私の突出した能力には価値があると呼べるほど強い能力ではなかった。


 重力を操れる能力や物を生成する能力のように戦闘に使える能力とは違い、私の能力は……




 ‶捏造〟




 他者の記憶に別の記憶を挿入し、あたかもその出来事が本当にあったかのように認識させる、言わば闇属性の精神支配に似たような能力。

 だがその能力は知性を持つ人間にしか通用せず、知性の無い魔獣にはその能力は通じることはなかった。

 そのため冒険者になってからもその能力を活かすことが出来ず、能力の優れた後輩にどんどんと追い抜かされていった。


 悔しくてたまらなかった。‶奇才者〟は魔力量がそうでない者よりも圧倒的に高いから、それを活かして様々な魔法を覚えていったが、それでも‶ゴールドランク冒険者〟止まり。

 後輩の‶噴帝のレオモルト〟や‶純氷のエッサリー〟はあっという間に‶プラチナランク冒険者〟になってしまい、ベテラン冒険者としての立つ瀬が無くなった私は冒険者家業に見切りをつけて、‶冒険者ギルド〟の職員となることにした。






「……職員となって多くの冒険者のサポートをしてきたが、やはり日の目を見るのは能力に優れた奴ばかり。‶剣豪・スラッシュバイツ・ザンザード〟‶冒険者アイドル〟‶ヘーボン〟そして‶龍斬りの雨宮〟……君もその一人だよ」


 ジェシールは長らく自分の過去を語り、颯太の顔を見て指をさす。


「君たちに敗れた多くの冒険者たちの泣く姿を見て来たよ。だから決めた! 私は才無き者に力を与え、才有る者に引導を渡すと」


「それが‶邪滅教〟とどう関係してくるんだよ」


 颯太がそう反論するとジェシールはしばらく黙り込む。そしてゆっくりと思い口を開く。


「これ以上の問答は無用だ。続きが聞きたいなら君を処刑する瞬間に話でもするよ」


「なら結構だ。悪いがその手の話は聞き飽きたんだ。そもそも完全実力主義の冒険者の世界では当たり前のことだろ?」


 颯太のその言葉にジェシールははらわたが煮えくり返りそうになる。


「そうやって楽観的に考えられるのも君たちのような才に恵まれた奴らだけなんだよ。確かにこれ以上話す義理もないね。わかったらさっさと死んでくれ」


 ジェシールはパチンと指を鳴らすと、氷の島が突如大きく揺れ始める。すると氷の大地に亀裂が入り、一部がガラスのように砕け散る。するとその中から新山が出来上がるかのように多く地面が盛り上がり、巨大な秘密基地が出現した。


「な、何だあれは!?」


「ここは敵の総本山、こんな基地があってもおかしくなんてないだろ!」


 驚く颯太にサーペイドは尤もな言葉で返す。そして基地の門が開き、白い修道服を着た‶邪滅教徒〟が大勢現れる。


「おい、それだけじゃねぇぞ!」


 颯太の言う通り、彼らの後ろには人相の悪い大柄な男たちが大勢待機していた。


「おそらく奴らはかつて名をはせていた‶ブラックランク冒険者〟たちのようだな。確かに‶副ギルドマスター〟ともなればこの犯罪者たちも思うがままに利用できるってわけだな」


 サーペイドはそう言って銛を構える。颯太もそれに続くように黒刀を抜く。


「さぁ……公開処刑を始める」


 ジェシールは不敵な笑みを浮かべながら剣を突き上げると、それが合図だったのか、‶邪滅教徒〟と冒険者集団が一斉に声を上げながら攻撃を仕掛けてくる。

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