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511話 『衝撃の再開』

 颯太がこの場を離れて10分ほど過ぎた頃、ようやくディアーラ率いるマリアネス第8軍が到着し、倒れるユダ兄弟とその兵士たちの救護に向かう。


「ディアーラさん、2人とも軽症ではありますが意識はありません」


 ジェイソンは彼らを担ぎ担架に乗せながらそう報告する。ディアーラは2人の状態を見ながら、


「返り討ちにしろと入ったがまさかここまでするとはな……」





 ――一週間ほど遡る。


 颯太は‶邪滅教〟の教会地下の取調べ室から移動し強固な檻の中へと入る。


「のちに裁判がある。それまでの1週間、そこでおとなしくしとけよ」


 看守の男にそう言われ颯太は彼を睨みつけるとすぐに布団の中へと入る。


 しばらく横になっていると看守の男が倒れる音が聞こえ、布団から勢いよく飛び上がる。


「誰だ!?」


「看守の男は眠らせておいた。時間がないから手短に話すぜ」


「お前は……ディアーラ!」


 颯太は意外な人物がこんな地下監獄までやってきたことに驚愕する。しかしすぐに冷静になり、


「それで? ここまで来るのは何か言いてぇことがあったからなんじゃねぇの?」


「さすが‶プラチナランク冒険者〟! 察しが良くてうれしいよ。でももういずれそのランクは剥奪されると思うが」


「まぁ確かにこれだけ騒ぎになってしまえばなぁ……剥奪は免れないか。クソッ! 奴らめ、やってくれるなぁ!」


「そんなに‶邪滅教(やつら)〟がムカつくか?」


「ああ、回りくどいことしやがって、俺を殺したいんだったら正々堂々と殺しに来ればいいのによぉ!」


 颯太は指をパキパキと鳴らしながら怒りをあらわにする。


「奴らに一矢報いる策がある。乗るか?」


 颯太はディアーラの意外な一言に思わず目を疑う。しかし彼にとってとても興味深い話だったのかすぐに食いつく。


「こんなところで処刑されてたまるかよ。それでどんな策なんだ?」




 ――現在、ユダ兄弟との戦いの現場から数キロメートルほど離れたところを颯太は歩いていくと、またしてもその行く手を白ローブの集団が塞ぐ。


「どこまでも邪魔しに来るってわけか?」


「邪魔しに来てるのではない! 処刑しに来ているのだ」


 リーダーと思われる男がそう言うと剣を抜き、その刀身から魔力とは別の不気味なオーラを放出させる。


 颯太も刀を抜いて構えるのだが、先の戦いでサランイアンの攻撃で撃ち抜かれた傷が痛む。


(この状態で戦うのか……骨が折れるなぁ)


 そう思っても今の彼には頼れる味方がいない。自力で突破するしか他に方法がない颯太は魔力を上昇させようとすると、


「‶魔獣閃雨(まじゅうせんう)〟‼‼‼‼」


 上空から無数のレーザー光線の雨が降り注ぎ、颯太以外の者達を全員吹き飛ばしていく。


「この‶魔獣砲〟は……!?」


 颯太はこの降り注ぐ無数の‶魔獣砲〟に見覚えがあり驚きの表情をする。人間にして‶魔獣砲〟を扱える凶悪な集団。さらにその中でもトップに立つ男。そして未だに決着がついていない‶龍魔人〟……


「よぉ、久しぶりだなぁ。‶龍斬り〟」


「まさかあいつの言ってた助っ人と言うのがお前だったとはなぁ、驚きだぜ」


 颯太はそう言い視線をその男の方へと向ける。


「……サーペイド」


 颯太はポケットに入れてたリニューアルされた‶危険レベルチェッカー〟を取り出してサーペイドのデータを確認する。

 この新しい‶危険レベルチェッカー〟はディアーラが作ったもので元のデバイスよりもさらに多くの情報を入手して表示することができるようになった。その中でも一番の変化は人間の能力値も測れるようになり、単体の戦力が表示できることだ。


 魔人名:サーペイド・エストラー

 説明 :元‶魔人ラボ〟の‶十極天・第七極〟の龍魔人。‶魔人ラボ〟が解体され、一時はマリアネス王国に拘束されていたが脱走し、現在は‶冒険者ギルド〟で全国的に指名手配されている。

 懸賞金:白金貨8枚

 危険度:33

 戦力 :420万


「元‶十極天〟の奴が味方になってくれるのはうれしいが、どういう心境の変化だ?」


 颯太の発言にサーペイドは呆れて深くため息をつく。


「勘違いするなよ、俺はてめぇとの決着をあきらめたわけじゃねぇ。今は奴らとケリをつけることの方が先だと思っただけだ」


「奴らってのは‶邪滅教〟のことか?」


「ああそうだ。俺は奴らへの復讐のために魔人になったんだからよぉ!」


「っ!?」


 颯太はサーペイドのその一言で度肝を抜かれた。彼のその目に焼き尽くされた強さへの執念が今、明らかとなる。

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