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297話 『荒れ狂う十極天会議』

 ――颯太たちが向かう修学旅行先のユダ王国の隣には国一つ分の巨大な山脈が連なっていた。そしてその山脈の樹海にそびえたつ見えない巨大研究所からはおぞましく呼吸が出来なくなるほどの重い魔力が放たれていた。

 その魔力の根源はその研究所、‶魔人ラボ〟の‶十極天〟と言う最強の魔人たちから放たれていた。

 そしてその研究所の大広間では恒例の‶十極天会議〟が行われていた。


「みんなよく集まってくれたね。それじゃあ楽しい会議を始めようか!」


 ‶魔人ラボ〟の社長、ラディーゴが切り出し会議が始まった。そしてこの空間の中には9人が円形のテーブルを囲むように座っていた。


「社長、いい加減次の第一極を探すべきだと思います」


 ラディーゴの隣に座る情熱的な赤髪の男はコーヒーを飲みながら空席を見つめてそう言った。


「確かにそうなんだけどね……中々見つからないもんだよ」


「‶十極天候補〟に選ばれている者たちから選べばよろしいのではないでしょうか?」


 赤髪の男は十極天候補者たちの個人書類をテーブルに広げながらそう言った。しかしラディーゴはその書類を眺めながらため息を吐いた。


「確かに十何人と十極天候補者はそろえているんだけどね、どいつもこいつも足りないんだよ、実力が。せめてスオリーに匹敵するかそれ以上の力を持っている奴じゃないと加入させられないんだよね。ついさっき流れた情報では十極天候補者の中ではトップクラスのラッサルが‶龍斬り〟に敗北して連行されたらしいじゃん?」


「それは本当ですか!? だとしたら大変じゃないですか!」


 ラディーゴの発言に一人の女性が驚愕しテーブルを強く叩きながら立ち上がった。この女性はホワイトベージュの長く美しい髪にメリハリのあるスリーサイズでロゼのようにくっきりとした瞳の別嬪だ。


「大丈夫だよ! 十極天候補者たちやスオリーには連中らに知られては困ることは一切教えていないからね。ただ多少の戦力を失うのはちょっと痛いけどね」


 この巨大な魔力を放つ‶十極天〟を見ればラッサルが多少の戦力と言われてもおかしくはない。

 そして頬や額、腕などに絆創膏を張られたり包帯が巻かれている紫色の髪の男、サーペイドは円形のテーブルに長い足を置きながら、


「別にいいんじゃねえの? 雑魚の一人二人いなくなったところでよう! 奴ら葬るのにここにいる連中で十分だしよ、いや俺一人でも十分だがな!」


「よく言うよ、この前‶龍斬り〟にボコボコにされて負けそうになっていたのに……」


「んだとてめえ? ‶龍斬り〟よりも先にてめえをぶち殺してやろうか?」


 サーペイドはケラケラと嘲笑する統一された紅のジャケットを着用する十極天の中でも唯一カラフルな服装をしているピエロの胸ぐらを掴み怒鳴り散らした。


「確かに! あれだけ大口叩いていたくせしてあのざまはないよな!」


「黙れガロガイ! このあかっぱなをぶち殺した後はてめえだぞごらぁ!」


 ピエロの隣で便乗して煽るガロガイにサーペイドはヤクザのような口調で怒鳴った。


「ああん? いいぜかかってこいよ! いつにすんだ?」


 ガロガイはピエロとは違い、挑戦的な態度で言い返した。睨み合う2人にしびれを切らせたグランベルクが立ち上がり、


「いい加減にしろ! サーペイドはあの時俺が止めに入らなければ‶龍斬り〟を仕留めていた。そして貴様らもそれを分かっているのならわざわざ言う必要もなかろうが!」


 グランベルクが間に入り仲介したことで温度を上げていた2人の空気は一気に冷め、サーペイドは舌打ちをしながら、ガロガイはニヤつきながら席に座った。

 しばらくこの円卓上で沈黙が流れた。そして場が静まったことを確認したラディーゴは、


「言い合いは終わったようだね? だったら今から本題に入るよ! これは大事な話だからみんな聞き漏らさないようにしてね!」


 話が一時的に脱線していたが、‶十極天会議〟は何とか再開した。





 ――一方そのころリーナたちが乗るバスは高い山を乗り越えていた。そしてクラス全員がそこから見えるユダ王国の風景に感動していた。


「ここが、ユダ王国! なんて明るい国なの!?」


 初めてユダ王国に足を踏み入れるロゼは国の半分を占める巨大な遊園地を見て目を輝かせていた。


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