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285話 『十極天のみ与えられし魔獣砲』

「待て……こいつらは何も知らなかったんだ! だから国を壊すことだけはやめてくれ!」


 颯太は刺されたわき腹を抑えながら必死にサーペイドの足を掴み懇願した。しかしサーペイドは高らかに笑い、颯太を振り払った。


「シュリリリリー! 敗北者が何を言ってやがる! 俺を止めたければ殺す気でかかってこい! ハァ……ハァ……」


 サーペイドはそう言うものの、颯太との戦闘のダメージがかなり大きいのか相当息を切らしていた。


「こうなったらやるしかないわね!」


「言われなくても分かっているよ~!」


 ロゼと静香はサーペイドを睨みつけながら‶魔導神装〟をした。ロゼは美しい人魚の姿に、静香は桜の花柄の着物を身にまとい魔力を一気に上昇させた。


「シュリリリリー! いい目をしている! だったら守ってみろ! 大事な国をよう!」


 サーペイドは左手に青白い閃光を生成させてそれを地面に叩きつけた。すると彼の周囲からその色の光の柱が立ち上り、その光の柱からレーザー光線が雨のように地上に降りつけた。


「こいつは‶十極天〟にしか扱えないオリジナル魔獣砲、俺のオリジナル魔獣砲の名は‶魔獣閃雨(まじゅうせんう)〟だ!」


 サーペイドがそう話すと、光の柱の体積が徐々に増え始め、閃光の雨の量も格段に上昇した。


 ズドドドドドドォォォォーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼


 マリアネス王国はその閃光の雨によって地獄と化した。降り注ぐ閃光は建築物を貫き、大地をも貫く、人々はあらゆる防壁すら貫くその閃光から逃げ隠れすることを許してはくれなかった。


「やめろォォォ‼‼‼‼‼‼‼」


 颯太の叫び声にサーペイドは聞く耳を持たなかった。そしてサーペイドが千発ほど打ち続けていた時、人々の頭上に氷や土の天井が出来上がり、降り注ぐ閃光から守ってくれた。


「なんだぁ? ありゃ」


「あれはソマリ会長とレージス学長! 来てくださったんですね!」


 首をかしげるサーペイドに対してロゼは喜びに満ち溢れていた。そしてサーペイドの周りを一瞬にしてレージス、ソマリ、円城敦、マリアネス王国に滞在する‶ゴールドランク冒険者〟、魔法学院成績上位の精鋭たちなど全員が取り囲んだ。


「ほうほう……どいつもこいつも強ぇ魔力をもってやがるな! 何だ? てめえら全員で俺の相手をするつもりなのか? いいぜ! やろうじゃねえか! てめえらなんか俺の‶魔獣化〟で……」


「そこまでだ」


「っ!?」


 サーペイドを止めた男に颯太は驚愕し、目を丸くした。


「何しやがる! グランベルク!」


「貴様の目的は‶龍斬り〟を始末することだ。こいつらと戦争をすることじゃない。任務失敗だ、帰るぞ」


 グランベルクの任務失敗と言う一言がサーペイドの癇に障り、


「任務失敗だと! 舐めんじゃねえ! 今すぐにでもあの死にぞこないを!……」


「俺が帰るぞと言ったら貴様は二つ返事ではいと言うんだ。分かったか?」


「……チッ! 分かったから手を放せ!」


 グランベルクの威圧的な魔力に圧倒されたサーペイドは渋々承諾するしかなかった。


 そしてグランベルクが‶魔人ラボ〟へ行くための空間のホールを生成していると、颯太がむくりと立ち上がった。


「まだだ……まだ勝負は終わってねぇぞ! サーペイドォォ‼‼‼‼ そしてグランベルク……お前との決着も今ここでつけてやる!」


「……威勢だけは立派なものだ」


 颯太の啖呵にグランベルクは冷静に対処したのだが、サーペイドは大爆笑した。


「シュリリリリー‼‼‼ いいぜその威勢! だが敗者に資格なんかねえよ! 今は生かしておいてやる、そんでもってせいぜい次殺し合いするまでにはあの力を完成させておけよ!」


 サーペイドはそう言い高らかに笑いながらグランベルクの後に続いて空間ホールに入って行った。

 颯太の目に映る光景はサーペイドによって滅茶苦茶にされたマリアネス王国の残骸だけだった。

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