259話 『第二の暗号と再び』
巨大な雷撃の後、その広場で食事をとっていたり、遊んでいたり、次の競技の最終調整をしていた人々は現場のトイレに無数に群がってきた。
「すまない、これはトイレの電気系統の不具合だ! そこまで気にしないでくれ!」
「どんな不具合だ!? 嘘下手くそすぎるだろ!」
エッサリーはマカロンのあまりにもバレバレな虚言に思わず小声でツッコミを入れた。
しかしそこに集まってきた人々は案外彼の言うことをすんなりと受け入れてくれて次第にそこから離れていった。それを見てエッサリーはポカンと口を開いて唖然としていた。
焼け焦げたトイレの外で真っ黒な状態で感電している颯太と倒れている彼の前で仁王立ちをしているメイド服姿のリーナがいた。
「……なるほど、爆弾が仕掛けられているから人々が騒ぎを立てないように極秘で撤去していたわけだな?」
颯太はそれを聞いてゆっくりと頷く。
「だったらそれを先に言えよな! 事情を知ればこんなことはしないぞ!」
「……う、嘘つけ……。どうせ事情を話したところでお前は聞く耳もたないだろ……。あとそうでなくてもここまで派手に成敗する必要ねぇだろ.....」
颯太は寝たきりの老人のようにかすれた声でリーナに文句をいう。マカロンは原型をとどめていない公衆トイレに苦笑いをするしかなかった。
(だがマジで危なかった……。あいつの攻撃が直撃する前に爆弾を何とか完全に解体することができて……。だが残りの3つもこんな感じだったら俺の体、もつかな?)
颯太はこの先が思いやられて絶望する。
「おい、時間は刻一刻と迫ってきているんだ! こんなところで油を売っているわけにもいかねえだろ! さっさと次の場所を探しにいくぞ!」
「バカ言え! 俺の体を見ろ! 重症だろうがどう見ても! 少しは休ませろっ、このエゴイストが!」
颯太はエッサリーの無神経な発言に満身創痍なはずなのに飛び起きてギャーギャーと文句を言い放つ。
「それで次の爆弾の場所はもう分かったの?」
「俺の話聞いてた?」と言う颯太の声を全く聞かずにリーナたちは話を進める。
「実はさっきの軍服の連中たちから奪取したものなんだけどこれはもしかしたら次の爆弾の場所の手掛かりになるんじゃないかな?」
マカロンはギャーギャーとわめく颯太を完全に目を合わせもせずにエッサリーとリーナに提示した。
『これを読んでいるということはつまりあいつらを倒したということだな! 賞賛に値する。
彼らが着ているバトルスーツは最先端の技術を取り入れていてね、身体能力の向上はもちろん、ジェットエンジンを搭載されていて空も自由自在に飛び回ることが出来るのだよ! これを着た私の精鋭たちは‶シルバーランク〟程度の冒険者たちなんか軽くひねり潰すことが出来るんだけどそんな彼らを倒すことが出来るとはお見事、と言っておこうかな。
だがここからが本題だ。まだ楽しいゲームは終わらない。
この町の夜はいつも明るいよな。疲れ切ったからだを癒すにはもってこいの場所だよ! だが明日からその光は闇へと変わる。よいこのみんなはちゃんと早く寝ましょうね!
‶弱者の一撃〟より』
これを読んだエッサリーは眉をひそめて、怒りが顔に現れていた。
「相変わらずムカつく上からの物言いだな! これの作者見つけたら俺の力で永遠に氷漬けにしてやる!」
「でもこの手紙の『夜は明るいよな』ってところが引っかかるな。夜に外を出歩く人間なんているのか? でも最近じゃあジースシリコンのおかげでどこも夜は明るいっていう話は聞くけど……」
リーナはいつも早く寝るため夜の風景をあまり見たことがなかったのだ。
リーナたちのマリアネス家は早寝早起きを習慣づけていているため国王、王国関係者なども全員午後8時頃には完全に就寝しているのである。
そして4人はしばらくの間、思案を繰り返していたのだが、一向に答えは不明のままだった。しかしそのとき、
「何、あの飛行物体は!?」
リーナは建物の裏から飛んでくる人間らしきものを指して驚愕していた。
「あれは!」
「チッ! しぶとい奴らだぜ!」
颯太とエッサリ―は即座に戦闘態勢に入り、両腕を‶鋼筋武装〟した。
どうやらこちらへ飛んできている物体の正体は先ほど颯太たちが叩きのめした、謎の軍服集団‶弱者の一撃〟の連中だった。数は減っているが、先ほどとは少しバトルスーツの形態が変わっているようにも見えた。
「おいエッサリー、提案なんだけどよぉ……あいつらをシメテから直接爆弾の在り処を吐かせた方が早いんじゃね?」
「珍しいな! たった今俺も同じことを考えていた」
「だったら決まりだな! さっさと片づけるぞ!」
「俺に命令するな!」
颯太とエッサリ―は話がついた後、飛んでくる‶弱者の一撃〟の精鋭部隊の方へ超速移動をする。




