253話 『恐怖の爆破予告文』
颯太が王宮へ入室すると、そこには警備兵や大臣らも誰一人いなかった。普段何もない日であろうとも護衛の一人や二人は必ずつけているというのにもかかわらず今回は国王一人でいた。
颯太はその時点でもうすでに何かが起きていると確信した。
「良かった……君一人で来てくれて」
「あんたが娘じゃなくわざわざ俺に連絡してきたこと。その時点であんたは極秘で俺を頼ったということになる。それに護衛を誰もつけていないということは誰にも知られてはいけないことを伝えるっていうわけだな?」
「……さすが、君を呼んで正解だったよ!」
颯太の的確な推理にギルダは手を叩きながら称賛していた。
「それで話って言うのは一体何なんだ?」
「そうだな……ここにあと2人呼んでいるのだが、一人は少し遅れるらしいがもう一人は……」
ギルダがそう首を傾げたとき、王宮の扉が勢い良く開いた。
「お待たせいたしました! ギルダ殿!」
扉の向こうから颯太の聞き覚えのある声が聞こえた。それも意外と最近聞いた声だ。
「お前……マカロンか?」
「久しぶりだな、颯太殿」
蒼い髪のガタイの良い30代の男性、マカロンははきはきとした声で颯太に挨拶をした。
「だがなぜマカロンを呼んだんだ? この人はレーフェル王国のペガサスナイツの総隊長だろ? わざわざ他国の兵士を呼ぶ必要はあったのか?」
颯太の問いかけにギルダはゴホンと咳払いをした。
「まず先にこの手紙を読んでくれ。話はそれを読んでからだ」
ギルダがそう言って颯太とマカロンに見せたのは封筒に閉じられた手紙と一台のタブレットだった。
颯太は言われるがままにその封筒の中から2枚の手紙を取り出して最初にそのうちの1枚の手紙を読んだ。
『この手紙を読んでいるということはおそらく祭りは始まっているころかな? 今から最高のショーを見せてやろう!
君たちのいるこの国に時限爆弾を〇個設置している。
そしてその爆弾を祭りが一番盛り上がるときに爆発させる。騒ぎは起こすなよ、うっかり爆発させてしまう。
これは嘘ではないぞ! この爆弾は1個でも爆発させてしまえば国は簡単に滅亡してしまう。どのくらいの破壊力かは同時に送ったタブレットで確認するといい。
時間はないぞ! センターで待つ。
私達を楽しませろ!
‶弱者の一撃〟より』
颯太は最初の手紙を読んだ瞬間、バンッと紙を床に叩きつけた。
「クソッ! やってくれたな……‶闇ギルド〟」
「‶闇ギルド〟!? この爆破予告も奴らの関係者なのか?」
マカロンは颯太の言ったことに反応し、額から汗を流しながら恐る恐る颯太に尋ねた。
「ああ、こいつらは魔力の乏しい犯罪者を集めて構成された‶闇ギルド〟の傘下のギルドだ。奴らは魔力がない分知恵と技術、鍛え上げられた肉体で様々な武器を製造したり、巧妙な手段での犯罪を繰り返したりする連中だ。‶魔人ラボ〟ほどではないがかなり厄介な連中だ! 俺も昔奴らに報酬を横取りされたことがある」
颯太は冷静に説明をしていたが、血管が浮き出るくらい手を握り締めて怒りを抑えていた。
「とにかくこのタブレットを見てくれ! これを見たらすぐに奴らのヤバさが分かる」
一足先に手紙とタブレットを見たギルダはタブレットの電源をつけて颯太たちにある映像を見せた。
その映像の中には一つの島が映っていた。恐らく上空から撮っている映像なのだろう。
「この島は確か……レス島じゃないか?」
マカロンはそう言いながらその映像を凝視していた。
レス島と言うのは世界最大の無人島で島の面積はマリアネス王国の約半分ともいわれている。
しばらく映像を見ていると、島周辺の波が激しく揺れ始めた。そして島の中央から激しい光が放たれた瞬間、
ズドォォォォ----------------ーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼
島は大爆発を起こし、上空から撮影していたかメラも大きくぶれた。
巨大な煙が立ち昇り、やがて煙が風で吹き飛ばされた。しかし颯太はその吹き飛ばされた後の映像を見て声が出なかった。
何と島は跡形もなく消し飛んでいたのだ。マリアネス王国の半分の面積を誇る世界最大の無人島が。
「おい……こんな爆弾がこの国に設置されているのか?」
颯太は分かっていながらもギルダに確認をとった。ギルダも顔を青ざめながら頷いた。
「とにかく爆弾をいち早く処理しないといけないな? だが爆弾の個数が分からなければ埒が明かないぞ!」
颯太がそう言って焦っているとギルダがもう一枚の手紙を見せた。
「爆弾の個数ならここに書かれている」
颯太はそれを聞き、ギルダから手紙を奪い取り、中身を読んだ。
『爆弾の個数を教えてやろう! 爆弾の個数は〇個だ!
11-94=5
43-31=3
27+12=6
55+24=〇
我々はあなた方に対立する。
‶弱者の一撃〟より』
「……なんだぁ? この計算式……全く成り立っていねぇじゃねえかよ!」
颯太は普通に計算すれば明らかに答えが違う謎の計算式に呆れていた。
「恐らくこれは普通に考えちゃあいけないんだよ! 何か特殊な解き方があるのかもしれないな!」
マカロンがそう言い、しばらく思考錯誤していたのだが、全く答えが出なかった。
するとそのとき……再び扉の開く音がした。
「ありゃ……こんなに静かな王宮は初めてだ!」
颯太はまた聞き覚えのある声を聞き、今度はいやいやながら振り向いた。
彼が颯太に近づいてくるたびに王宮は何故か冷えていった。しかしそれは恐怖とかと言うよりかは物理的に肌寒くなったと言った方がいいのだろう。
皆さんこの謎は解けましたか?
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