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196話 『漆黒のメモリー【1】』

 広大な平野の中央に立地している国の名をダイハード帝国と言う。この国が存在する世界、悪魔界は邪気を放った悪魔たちが集う世界。

 悪魔界にはいくつもの国が存在するのだが、その国の中でも最も権力の強い国の国王を魔王と呼ぶ。そしてこのダイハード帝国の国王が悪魔たちから魔王と呼ばれており、魔王が統治する国のことを魔王国家と呼んでいた。


 ダイハード帝国は聖霊軍との戦いから1000年間続く魔王国家であり、魔王の名をエスカヴァリン・ギルドリア・ダイハードという。


 このダイハード一族が統治している間は争いが一切なく、ダイハード一族は「平和主義者」と血の気の多い悪魔たちからそう揶揄されることがあった。しかしその悪魔たちは決して反乱を起こしたりはしない。なぜならダイハード一族は悪魔界でも並外れた実力を有しており、返り討ちにされるからだ。


 今日もダイハード帝国の王宮の中では平和な一日が過ぎていた。


「いや~今日も平和だな~、ヘレン! この書類を見終わったらジルジオンと3人で山でキノコ狩りに行かないか?」


 玉座で書類に目を通している屈強な男がヘレンと言う可愛らしい顔つきの黒いドレスを着た女性に話しかけた。


「それはいい考えですわね、エスカヴァリン! でも肝心のジルジオンがいないわね? 確か今日は座学しているはずなのに勉強部屋にはいなかったのです!」


「なにい!? ジルジオンが行方不明だと! 今すぐ探せ! あいつは俺とヘレンの大事な一人息子なんだぞ!」


 エスカヴァリンは激怒して兵士たちに息子を探すように命令した。

 悪魔界では一夫多妻制が一般的なのだが、エスカヴァリンはヘレン一途で側室を持たなかった。だからたった一人の子供であるジルジオンがかわいくてたまらないのだ。


「エスカヴァリン様! 実は今日ジルジオン様が勉強部屋で魔獣地帯に入って魔獣狩りをしに行くという話声を耳にしまして……」


 一人の兵士が恐る恐るエスカヴァリンに報告した。

 魔獣地帯とは悪魔界の中でも魔素が特に多いところで魔獣が大量発生する地帯である。その出現する魔獣たちは平均的に危険度が10を超えていて、戦闘力の低い悪魔たちはその魔獣に襲われたりもする。危険地帯である。


「はあ!? てめえ、何で止めなかったんだ!」


 エスカヴァリンは激怒して書類を叩きつけた。


「いえ、その後ジルジオン様に見つかってしまって巧みな話術と美味しいごちそうで口封じされました。本当に申し訳ごちそうさまでした……」


「ばかやろう! 何てめえ6歳児に餌付けされてんだ! 恥を知れ!」


 エスカヴァリンはマヌケな兵士にゲンコツを浴びせて、ジルジオンの捜索に参加した。





 ――魔獣地帯


 ここはダイハード帝国から少し離れた場所で帝国軍の干渉も少ないところである。そのため魔獣が大量発生してダイハード帝国を襲いにやってくるのも珍しいことではない。


 しかしその日の魔獣地帯はやけに静かだった。薄暗い森の中で魔獣の死体が散らかっていた。魔素は空気中にかなりの濃度で漂っているが魔獣の魔力が全く感じられない。


 薄暗い森を抜けると、大きな川が流れていて、その河原には魔獣の死体が山積みにされていた。そして川の水で魔獣の血を洗い流している子供がいた。


「ハァ~。せっかく母上が買ってくれた服も汚い血で汚れちゃったよ~! それにしても今日の魔獣は全く大したことなかったな!」


 そう言いながら腕と服を洗っている白髪の子供の名をジルジオンと言う。


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