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194話 『砕けた理性』

「何だぁ? この能天気なオッサンが聖霊王様なのか?」


「こら!失礼でしょ! このお方こそが‶聖霊王・ウルティオス〟様だ!」


 颯太の案内人の聖霊は颯太の頭を殴って指摘した。


「まあまあそんなことはいいじゃないか! 早く座りなさい!」


 まるで近所の優しいおじいちゃんのように話しかける聖霊王の言葉に甘えて颯太は聖霊王の前に正座した。


(何だろう……この人、いやこの聖霊は‶大和村〟にいる俺の師匠にそっくりだな~)


 颯太は聖霊王の顔を見て昔のことを思い出していた。


「……ところでお前さんはどうしてこの聖霊界にやってきたのだ? この聖域は生半端な覚悟じゃあ入れないところなのだが……」


 どうやら聖霊王の耳にはジースの話が入っていないらしい。そう察した颯太は今までのことを一部始終聖霊王に話した。


「……なるほど~。ここまでご苦労だったな! それでその‶デモニアス〟を持ってきたのか!」


「こ、これは‶デモニアス〟っていうのか?」


「いや……‶デモニアス〟っていうのは君の刀の名前ではない。‶デモニアス〟は悪魔の力に反応する神器のことを総称するものだ」


「悪魔の力!? ……ってことは俺の体の中には魔人のように悪魔が宿っているのか?」


 颯太は衝撃的なカミングアウトに驚愕してパニックになっていた。

 しかしそんな颯太に追い打ちをかけるかのように……


「いや……お前さんは悪魔なんか宿してはおらんぞ! お前さんの刀が反応したのは()()()()()()が悪魔だからだよ!」


「……え?」


 颯太は一瞬理解に遅れた。案内人の聖霊は頭を抱えていた。


(全くウルティオス様は……深刻な話や重要な話をさらっと言ってしまうのだから……)


 颯太の顔に笑顔がなかった。颯太はその話が本当かどうかを疑っていた。


「な、何言ってんだよ! ウルティオスさま~! そう言う冗談はきついぜ~!」


 颯太は無理に明るく振る舞い、ウルティオスの肩をバンバンと叩いてそう言った。彼は何としてもその事実を認めたくなかったからだ。


「いや、お前さんは間違いなく悪魔だ!私ぐらいになれば見ただけで分かる」


 颯太はショックのあまり声が出なかった。ウルティオスの目は真剣だった。これは明らかに事実なのだと彼の目を見て颯太はそう感じた。


「な、何だよ! そんなことを言われてもはいそうですかって言えとでも? ふざけんな! じゃ、じゃあなんで俺は人間と同じ姿をしているんだ!? 俺は悪魔なんだろ! 悪魔の特徴ともいえる角や羽なんかもねえぞ! これは一体どう説明するんだ!?」


 颯太は必死のあまり、相手が聖霊王だということも忘れて強い口調で彼を問いただした。


「とりあえず……落ち着け!」


 ウルティオスは強い威光を放って颯太を黙らせた。今までどんな強い魔獣や魔人の圧力を受けても平然としていた颯太が聖霊王の威光で地面に叩きつけられた。


「お前さんはすでに自分が他の人間とは違うということは分かっていたはずだろ? あの黒い力、並外れた身体能力、そして底知れぬ生命力。お前さんは自分が人間ではないということを薄々気づいていたのだが、その事実をただ認めたくなかっただけなんだ!」


「こ、これは悪夢だ。何かの幻想なんだ」


「いい加減現実を見ろ!」


「だ、ダマレェェェェ‼‼‼‼‼‼‼‼」


 颯太は発狂してウルティオスの威光を払いのけてちゃぶ台に足を置いてウルティオスの胸ぐらを掴んだ。

 颯太の体からはふつふつと黒いオーラが漂い始めた。


「……少し痛い目を見た方が良いかのう」


 ウルティオスは自分の胸ぐらを掴んでいる颯太の腹部に手を近づけて光の球体を生成させた。


「‶聖霊光弾〟」


 ズドーーーーーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼


 ウルティオスは光の弾丸を颯太の鳩尾(みぞおち)に打ち込んで颯太を吹き飛ばした。案内人の聖霊は黙って目をつぶっていた。


「グホッ……ガハッ!」


 颯太は先ほど戦った雑魚聖霊とは比べ物にならないほどの威力に驚き、その衝撃で口から血反吐を噴き出して壁を突き抜き聖霊の城から放り出された。

 颯太は今の一撃で完全にノックアウトして聖霊の城の庭でスオリーと同じように伸びていた。

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