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193話 『聖霊界の長』

「あちゃ~! 勢いあまって門破壊してしまったよ!」


 颯太は頭を掻きながら苦笑いしていた。

 颯太が門のそばに駆け寄ると、そこには大勢の聖霊たちが集まっていた。その聖霊たちは全員聖霊界の入り口の門が破壊されたという情報を聞き集まってきたのだ。


「あの自称無敗の門番、スオリーを倒したのは一体誰なんだ?」


「確か俺は人間がやったと聞いたぞ!」


「嘘だろ!? 人間が聖霊に勝てるはずがない!」


 集まってきた聖霊たちはスオリーの敗北にざわついていた。


 そこへ颯太がやってくると、野次馬集団は颯太を警戒して離れた。


(これは完全に不審者扱いか?)


 颯太は今の状況を見て少し焦った。何せ颯太はここへ来て折れた刀を直してもらうはずだけだったはずなのに、テロに近い行為をしてしまったからである。


「さてと、どうやってこの人っていうか聖霊たちに信用してもらえるのかな?」


 颯太は首をかしげて考えたのだが、良いアイデアが何も浮かばなかった。


 颯太がしばらく考え込んでいたら、聖霊界の奥にそびえたつ巨大な城からたくさんの聖霊たちが颯太のもとへ飛んでやってきた。


「誰だ……? あんたら」


「我々は‶聖霊軍〟……そして我々が受けた命令はあなたを聖霊王の住む聖霊の城へ案内すること。さあ、すぐに聖霊の城へ向かってください」


 そして颯太は聖霊軍と名乗る連中たちに言われるままに聖霊の城へ案内された。


 そして颯太が聖霊の城へやってきたときに目を疑った。


「な、何じゃこりゃ~! マリアネス王国やレーフェル王国の王宮とは比べもんにならないほどの大きさだ!」


 颯太は聖霊の城の前で興奮し拳をギュッと握りしめた。


「あなたは‶天才ジース・シリコン〟の誘いでやってきたのでしょう。聖霊王が中でお待ちしております!」


 聖霊軍の聖霊の一人が城の城門を開けて颯太を案内した。颯太の後ろには担架で運ばれているスオリーがいた。それを見た颯太は苦笑いするしかなかった。


「あなたがスオリーを倒したのですよね? あなたは本当に人間なんでしょうか?」


「俺はただの人間だ。そしてただの‶最強冒険者〟だ!」


「なるほど……人間界の最強はすでに聖霊の力を超えているのですね!」


 聖霊軍の一人の聖霊がいつの間にか颯太と打ち解けていた。


「ここが聖霊王の部屋だよ! あの方にはあまり失礼のないようにしてくださいね!」


 一人の聖霊は颯太に念を押して忠告した。颯太は一応今の言葉を心の中に入れて聖霊王の部屋の扉を開けた。するとドアを開けただけにはずなのに部屋の奥から神々しい光が颯太たちを明るく照らした。


「うわっ!? これが聖霊王の威光か! あまりの光の強さで委縮してしまいそうだ!」


 颯太は部屋にいる聖霊王が規格外の強さを持っていると見込んで興奮を抑えきれなかった。


 そして颯太が聖霊王の部屋に入室すると、そこは広い居間に中央にちゃぶ台があるごく一般家庭の部屋だった。そしてそのちゃぶ台に胡坐(あぐら)をかいて座り、湯呑を持っている聖霊がいた。光輝く白い髪の毛に誰もが震えそうになる鋭い目つきの男がお茶を飲んでる。


「おい、あのちゃぶ台でのんきにお茶を飲んでいるのが聖霊王なのか?」


「そうだけどあなた態度には気を付けた方がいいわよ!」


 案内人の女性聖霊は焦った顔で颯太に指摘する。

 颯太たちの声が聞こえたのか、聖霊王は扉の方を見て颯太を鋭い目つきで睨みつける。


「……おい!」


「な、なんだよ!」


 颯太は貫禄のある声と鋭い目つきの聖霊王に話しかけられて少し戦慄したのだが、強気な態度をとって誤魔化した。


「…………」


 聖霊王はじっと颯太を見つめる。


 ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン


 あたりには緊張感が漂う。


「……お前さんもお茶、飲むかい?」


「……ハァ?」


 颯太は予想外の発言に気の抜けた返事をした。



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