171話 『精神支配からの脱出』
「チッ! お前、俺にもう一つ精神支配の魔法をかけているだろ?」
颯太は舌打ちしながら気持ち悪いほどの数のディアーラに言った。すると再び頭の中に直接語り掛けられた。
「そうだよ! 僕は君を斬りつけたときに斬りつけた鎌に精神支配の魔法をエンチャントさせていたんだよ」
どこからしゃべりかけられているのかわからない颯太は頭に響くディアーラの声が鬱陶しくてたまらなかった。
「さあ僕はどーこっかな? ……ここだよ!」
ディアーラはそう言いながら残像を颯太にどんどんと近づけさせて本人は颯太の右頬を思いっきり殴った。
「グハッ!?」
颯太は本物のディアーラを捉えることが出来ずに殴り飛ばされた。
そして颯太が態勢を立て直すとすぐに颯太の周りに無数の残像がまとわりついてきた。
「鬱陶しいな! この残像…………でも待てよ……俺はこの残像を見て鬱陶しく思えているのなら、一層のことあの残像を見なければいいじゃねえか!」
颯太は何か思いついて目を閉じた。それを見ていたディアーラはゲラゲラと大笑いしていた。
「そんなんじゃ私の攻撃を一方的に受けるばかりではないか! やはり君は私の攻撃や精神支配魔法を受けすぎて頭がおかしくなったのではないか?」
「そんなことはねえ! 俺は至って正常だぜ! 試してみろ!」
「フン! 後悔しても知らないからね!」
ディアーラは颯太の自信ありげな態度が気に食わなく、真正面から鎌で斬りつけようとした。
しかし颯太は鎌の刃が首に当たりそうなところでしゃがんでかわし、
「〝疾風螺旋拳〟」
と左腕に黒風の旋風をまとわせてディアーラの鳩尾に重い一撃を入れた。
「ゴフッ!? な、なぜ!?」
ディアーラは腹を抑えながら普通に声に出してそう言った。
そして颯太は目を開けるとそこにはディアーラただ一人だけしか映っていなかった。
「ゴホッゴホッ! なぜだ……なぜ俺の実体を捉えることができた?」
「俺が今まで何人ものの超速移動する敵と戦ってきたと思っているんだ?」
颯太の頭の中にはザック、タイショーウルフ、グランベルクの姿が過ぎっていた。
「俺はそいつら相手に動体視力だけで戦っていたわけじゃない! 俺はそいつら相手に動体視力だけじゃなく魔力感知を使用して戦っていた! さらにそいつらの行動を予測もして戦った。だからお前程度の速度なら目なんて必要ねえんだよ!」
ディアーラは颯太に挑発されたことが気に入らず、魔力を上げて空中にできたホールの中に入り込んだ。
「空間移動か……なるほど、だがお前の今までの動きを振り返るとお前が姿を見せる場所は……そこだ!」
颯太は足に〝鋼筋武装〟を施して蹴りを入れた。すると颯太が蹴ろうとした先にホールが出現して、颯太がその穴に蹴りを入れた瞬間叫び声が聞こえて、正面にあった先ほどディアーラが出したホールから本人が飛び出してきた。飛び出してきたディアーラの顔から鼻血が出ていた。
「顔面に蹴りが入ったか?」
颯太が間抜けな感じでそう言うと、ディアーラの額から血管が浮き出てきた。
「君、生きて帰れると思わないことだね!」
ディアーラはそう言うと鎌に黒い魔力を集中させた。




