166話 『人間の創造物』
「闇の力をよく理解したところでそろそろ殺し合い、始めましょうか?」
「殺し合い? ハッ! 俺は殺しが趣味じゃねえからな! お前を殺す気もサラサラない!」
颯太のその言葉にディアーラは馬鹿にしたように鼻で笑った。
「ふっふっふっ! 甘いですね~! その甘さ、とても不愉快ですよ」
ディアーラはそう言うと、左手の人差し指と中指を立ててそこに魔力を集中させた。
「何をする気だ?」
「いずれ分かりますよ!」
ディアーラは鼻で笑いながら2本の指にため込んでいた魔力を放出させた。すると颯太の頭上に謎のホールが現れた。
「何だ? これは」
「呑み込みなさい! ‶破壊の手〟‼‼‼‼」
ディアーラは2本の指を逆さにすると颯太の頭上に現れたホールから稲妻が走って、ホールの中から3~4メートルはある黒い左手が出現した。
そのままその手は颯太を掴もうとしていたが颯太は‶疾風脚〟を使用して即座にその手から距離をとった。
しかしその手は永遠に伸び続いて颯太を追い始めた。
「うわっ! 何だこの手、追いかけ始めたぞ! 気持ちわる!」
颯太は黒いてを気持ち悪がって必死になって逃げていたがその左手伸びる速度もすさまじく、颯太と同等の速さで追いかけていた。
「気をつけてね。その手は先ほどの煙と一緒、触れたものを原子まで分解していしまうからね!」
「これじゃあいつまで逃げてもきりがねえなあ! 試しに撃ってみるか! ‶大鎌鼬〟‼‼‼‼‼」
颯太はそう言って追いかけてくる黒い手にギリギリまで接近させて黒風の巨大斬撃を放った。遠くから放っても空間移動で別の方向に飛ばされてしまうからだ。
しかし黒い手は颯太の斬撃を掴んでそのまま消滅させた。
「魔力まで分解してしまうのかよ! そんなのチートじゃねえか!」
「闇属性は自然属性最強の属性、闇から逃げるすべはないよ!」
ディアーラはそう言って2本の指を動かして黒い手をコントロールさせていた。
颯太はしばらく黒い手から逃げていたらあることに気が付いた。
(あの黒い手、俺の‶大鎌鼬〟を破壊してから動きが一気に鈍くなっていないか?)
颯太はそう思い、黒い手から距離をとって黒刀を振り上げた。
「俺の予想が正しければあの手は消滅する! くらえ! ‶黒鴉旋風〟‼‼‼‼‼」
颯太はそう言って黒刀を力強く振り下ろして無数の斬撃を含んだ巨大黒旋風を巻き起こした。
ズドーーーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼
黒い旋風と黒い手は衝突した。しかし黒い手は黒い旋風を手の中に包み込んで魔力を魔素に分解していた。
魔素と言うのは空気中に浮遊している物質で、人間はその空気中に浮遊している魔素を取り込んで魔力を生成している。そのため魔素の薄い地域では魔力の回復は遅く、魔素の恋地域では魔力の回復が早い。
しかしその黒い手は次第に黒い旋風を魔素に分解する速度が遅くなっていた。
「これは一体どういうことだ!?」
「お前、今までずっと格下としか戦ったことなかっただろ! 確かに闇の破壊効果はとんでもなく強い、だが所詮その魔法も人間が発動した人間の創造物、それを人間の手で打ち消すことが出来ねえわけがねえ!」
「何!?」
「そうだその手を破壊しろ‼‼‼‼ 行けえええ‼‼‼‼‼‼‼‼」
颯太がそう叫んだ瞬間、黒い旋風の勢いが増して、黒い手を押し返した。そして黒い手には次第にひび割れが生じ始めた。
「まさか……」
パリーーーーーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼
黒い手はガラスが割れたかのように見事に粉砕した。
颯太は唖然としているディアーラに目を向けて、
「そしてこの空間も人間がいじったもの。だからこの空間もだんだんと元の状態に戻る!」
颯太がそう言った途端、空間に電気が走ってその空間上に漂っていたディアーラの魔力が消滅した。
「これでお前にも攻撃が出来る! ‶疾風・大鎌鼬〟」
颯太は静かに黒刀を振り下ろして超速で飛ぶ黒風の巨大斬撃を放った。
その斬撃はディアーラの方に凄まじい速度で直進して行った。
「私の闇が打ち消されるとは……」
ズドーーーーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼
呆気に取られていたディアーラはよける素振りも見せず黒風の巨大斬撃に直撃した。




