161話 『復讐の魔獣化』
母が死んでから僕は魔法の勉強だけではなく、剣術を学んだり、母がやっていた酒場の仕事も引き継ぐことにした。
僕は絶対にあいつらを見返してやる。僕はその一心できつい生活も乗り越えられた。
だがいつまで経っても僕は全く成長できていなかった。ある日、僕が図書館でいつも通り魔法の本を読んでいたら、
「あれれ~? これはこれは……ダメダメグレムじゃないか~!」
と僕の杖を折った連中たちが絡んできた。
「またおべんきょーちゅーですか? やっても無駄だよ! お前には才能がないんだからよ!」
連中の中心にいた男がそう言うと、取り巻きの男たちも一斉に大笑いした。僕は我慢するしかなかった。だがこれくらいならまだ全然平気だった。
僕が無視していたのが気に食わなかったのか、リーダー格の男は、
「そういやお前、母ちゃんが死んだんだってな? かわいそうに……貧乏だったから一瞬でくたばってしまったのか! ギャハハハハハー!」
その言葉に僕はついに怒りが爆発した。なんせ母ちゃんを死に追いやったのは紛れもないこいつらだったからだ。
「母ちゃんは……お前らに殺されたんだーーーーーー‼‼‼‼」
僕は初めて人を殴った。その男は勢いよくしりもちをついた。
「てめえ、よくもやってくれたな! 俺は貴族の息子だぞ! てめえにはちょっと痛い目にあってもらわねえとな!」
男は指をバキバキと鳴らして、
「表へ出ろ!」
と僕を校庭まで連れて行った。
その後僕はその男と1対1の勝負をして僕はその男に一方的にボコボコにされた。これはいつも受けているいじめなんかよりも断然きつかった。だが絶望はこれだけでは終わらなかった。奴らはボコボコにされた僕を写真撮って、その写真を次の日に来ない中にばらまいたのだ。そして僕をボコボコにした男は僕に殴られたからやり返した、貴族に手を上げたから貴族の恐ろしさを教えてやったと言いふらして自分を正当化させた。
これにより僕は学校だけではなく、僕の住んでいる町からも追放された。
僕は悔しくてたまらなかった。貴族の息子と言う陽キャによって人生全てを失ってしまったから。
その後の僕は商店街を探しては食べ物を盗んで食べての生活を繰り返していた。そして、僕は盗みを連続で失敗して3日ほど空腹の日が続いていそんな雨の日、僕は食べ物も求めてゴミ山を物色していた。しかし結果は食べれるものが一つもなかった。僕はついに歩く体力すらなくなった。
(寒い雨の日の中で僕の人生は終わるのだろう……)
そう思ったそのときだった。傘を2本持った男性が僕の方へ歩いて来た。そしてその男性は閉じている方の傘を僕に差し出した。
「いい目をしているな、君」
「僕に……なんのようですか?」
僕はこのときは誰も信じることができなかった。僕の目に写っているもの全てが敵に見えていたからだ。
だがその男性は僕がそう思っていることを見抜いているかのように、
「君にとっての一番の敵は一体誰かな?」
「僕にとっての一番の敵は……権力者、人を惹きつける光だ!」
「ほう、面白い回答だね」
「光はすべてを照らす……だがその光は僕の居場所である影すらも消し去ってしまう。そうしてその光によって僕は居場所を失ってしまった! だから僕はあの光が憎い!」
僕は溜まりに溜まった怒りをその男性にぶつけた。だが男性はすべてを聞いたあと、
「だが君はその光をどうしたいのだ?」
「僕は人を惹きつける光……あいつらに見返したい!」
「見返したい……足りないな」
「!?」
「見返したいでは足りないのだよ! 見返したいではその相手よりも上に立つことはできない! するなら見返すのではなく復讐するのだ」
「ふ、復讐」
「君は奴らに復讐するのだ、光で君は地獄に落とされたのなら君の影で奴らを地獄に落とすんだ」
「僕の影で奴らを……復讐してやる!」
彼は僕の心の奥底にあった殺意を引き出してくれた。
「いい感じに殺意が湧いてきたじゃないか! 今の君ならこれを使いこなせるかもしれない!」
彼は僕に謎の球を差し出した。
「これは魔獣の飴、これを飲み込めば君は魔獣を体内に取り込むことができる。そして君は魔獣の魔力を使うことができる」
「魔獣の力……」
僕はこのまま彼の誘いを断っても先が思いやられる。ならば彼の誘いに乗った方が僕は生きながらえる。僕は彼の誘いに乗った。
「さあ!一緒に行こう! 私の‶魔人ラボ〟へ!」
僕は彼から魔獣の飴を貰い、それを一気に飲みこんだ。すると僕の体から魔力が大量に溢れ出してその溢れ出る魔力だけで周りのゴミ山を消しとばした。
――現在
「こうして僕は陽キャどもに復讐をするために魔人になった! そして見せてやる! 俺の‶魔獣化〟を!」
グレムはそう言って魔力を一気に高めた。
「光を滅せ! その漆黒なる影で! そして復讐しろ! ‶インキャロス〟‼︎‼︎‼︎」
詠唱をし終わった後、グレムの髪の毛がバサッと一気に伸びた。




