120話 『電話越しの取引』
静香はその後もルドルクの猛攻を受けてすでに立っているだけでもやっとの状態になっていた。
「ハァハァ……ハァ……なんて強さなの!」
「モググググー! 残念だったなあ! てめえがせいぜい‶魔導神装〟さえ使うことが出来ていればもっとましなバトルをすることが出来たのによう」
ルドルクはそう言って‶魔導神装〟が使えない静香に同情した。
静香にとってそれは屈辱でしかなかった。
‶魔導神装は〟魔法科学院で特別な授業を受けておかないと絶対に発動することが出来ないへ魔法であって、小さいころから冒険者をしていて魔法科学院に通っていなかった颯太や静香は‶魔導神装〟を発動させることが出来ない。
「まあ、俺と出会ったことも運命、だからてめえは俺と出会ってしまったことを恨むんだな! あばよ!」
ルドルクがそう言って青白い閃光を生成して静香にとどめを刺そうとしたそのとき、
バリバリバリバリーーーーーーーーーーー‼‼‼‼‼‼‼‼‼
と凄まじい雷鳴が鳴り響いた。
「な、なにごとだあ!?」
ルドルクは突然の雷鳴に驚いて青白い閃光を発射することを中断した。
すると遠く離れた場所でリーナと戦っていたジーコの魔力が格段に下がっていることに気づいた。
その雷鳴はルドルクだけじゃなく、別の地点で戦っていたスラッガーも感じていた。
ルドルクはすぐさま通信機を取り出してスラッガーに電話をかけた。
「ルドルクだ、敵を排除した。そっちはどうなった?」
『ああ! こちらも今倒したところだ! お前、さっきの雷鳴聞いたか?』
「ああ聞いた、ジーコの魔力がガタ落ちしていたな! おそらく第三王女にやられてしまったんだろう」
『チッ! 何をやっているんだ! あいつは……とにかくそいつを倒しておかねえと後々面倒なことになるぞ!』
「どうする? ここで提案なのだが俺たちが2人がかりでその第三王女を倒すってのはどうよ?」
『それは名案だな! よし! 今すぐ向こうへ向かおうではないか!』
「了解!」
ルドルクはそう言って電話を切り、静香の方を向いた。
「お前、悪運強いなあ! せいぜい次会う時までに‶魔導神装〟でも使えるようになっておくんだな!」
ルドルクは倒れる静香にそう言い放って地面へ潜ってすさまじい魔力の方へ移動した。
「……クソ! 私は無力だ!」
静香は悔しさのあまり、元に戻った地面を思いっきり殴った。
「私に‶魔導神装〟が使えていればこんなことにはならなかったのに!」
静香の目からは大粒の涙がこぼれていた。
「ごめん……リーナっち……」
静香の頭の中はリーナに対する申し訳なさでいっぱいになっていた。おそらくその気持ちはロゼも同じであろう。




