118話 『静香のイタズラ心』
静香は必死で地面の中から感じる魔力を追っていた。
「……ここだぁ! ‶重力波〟‼‼‼」
静香はその魔力が自分の足元にやってきたタイミングで重力をかけた。
しかしその魔力は静香の重力を受けることなく別の方向へ移動して静香から少し離れた場所から姿を現した。
「モグググググーーー‼‼‼‼‼‼ お前の重力もさすがに地面の中までは通らないか! ‶魔獣砲〟‼‼‼‼」
地面から姿を現した魔人は他の魔人よりも顔が不細工で鼻もとんがっていた。
そしてその魔人は自分のスコップの先端から青白い閃光を発射させた。
「あわわわ~! これはまずい! ‶喰羅靡斬〟‼‼‼」
静香は予想外の方向から飛んできた青白い閃光に戸惑い、咄嗟に斬撃を飛ばして何とか‶魔獣砲〟を相殺することが出来た。
「ふ~、危なかった!」
「だがこんなまぐれはいつまでも続くと思うなよ!」
その魔人はそう言うと再びスコップで地面を掘り始めた。
「でも確かにあの魔人の言う通りこのままじゃあやられっぱなしだもんな~! ここはちょっと面白いことでもやってみようかな~!」
静香はあることを思いついて、いたずらっ子の小学生のような顔をしていた。
「何を思いついたのか知らねえがそんな咄嗟に思い付いた作戦で俺をとせると思うなよ!」
魔人はそう言うと、再び静香の足元に潜り込んでその周辺をぐるぐると回り始めた。
「これでもくらえ! ルドルク必殺シリーズその一、‶モグラ落とし〟‼‼‼‼‼」
ルドルクは静香の足元を高速回転して、その地面を陥没させた。
しかし静香はルドルクが何をしようとしていたのかわかっていたようで、ジャンプして別の場所へ移動した。
「何! 俺の攻撃を見切られていたのか!?」
「なぜあんたの攻撃が分かったのかって? ……それは昔私も同じようなことをしていたからだ!」
「何いイイーーーーーーーー‼‼‼‼‼」
静香の衝撃的なカミングアウトによって、ルドルクは大きな声を張り上げて驚愕した。
「あんたの攻撃は普通だったら確かに強い! どんなに羽が生えている奴らだって咄嗟に飛ぶことなんてできない! しかしざんねんだったなあ! どうやら相手が悪かったようだ! あんたと同じレベルの知能を持つ者にはその技は通じんぞ!」
「畜生畜生、チキショーーーーーーー‼‼‼‼‼‼」
ルドルクは静香に論破され発狂して先ほど行った方法で‶魔獣砲〟を発射した。
さすがの静香もその攻撃はわかっていたので、軽いステップをして青白い閃光をかわした。
「もうこれ以上馬鹿に付き合っている暇はないね~! ‶無重力空間〟‼‼‼」
静香はもとから再びルドルクが地上に姿を現すタイミングを狙っていて、ルドルクが地上に飛び出してきた瞬間にルドルクの周りの重力をゼロにしてルドルクを宙に浮かせた。
「クソ! 何だこれは!」
「これはあんたを地面に足をつけさせないためだよ~! これであんたは地面に潜ることもできないしそもそも身動きすら取れなくなったよね!」
これが静香の思いついた作戦である。宙に浮かされたルドルクは何か障害物にでもぶつからない限りずっとそこで浮いたままの状態である。
静香はその宙に浮いているルドルクに狙いを定めて‶飛太刀〟に魔力を注ぎ込んだ。
「覚悟してね! ‶喰羅靡連斬〟‼‼‼‼‼‼」
静香はそう言って、重い斬撃をルドルクの方向へ連続で飛ばした。
ズドドドドドォーーーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼
無重力空間の中では血液も塊の状態で宙に浮かんでいた。




