116話 『音速の水刃』
ロゼと‶魔人〟の戦いは徐々に激しさを増していった。
ロゼと戦っている魔人はハヤブサの翼を生やしていて、飛行速度がとても速く、ロゼの遠距離攻撃がほとんど命中しない。
「クッ! 全く当たらない!」
「ホッホッホー! そんなのろまな攻撃じゃあ俺は倒せんぞ!」
攻撃を当てられなくて苦悩しているロゼをハヤブサの魔人は煽りながらすさまじい速度でロゼの周りをぐるぐると回っていた。
「鳥は魚を捕まえるのは大得意なんだぜ!」
その魔人は自分の足を人間の足からハヤブサの爪へと変化させてロゼを捕まえようとした。
しかしロゼも空中を泳ぐ速度はとても速く、魔人の男の足の爪に捕まるぎりぎりのところで華麗にかわした。
「何!? かわしただと!?」
「あんたと戦うたびにあんたの行動パターンがだんだんと読めてきたのよ!」
「てめえ、なめんじゃねーーー‼‼‼‼‼‼‼‼ この危険度20のスラッガー様をコケにするとどうなるのか教えてやるよ!」
スラッガーはそう言って凄まじい飛行速度でロゼに接近して再び爪の攻撃を仕掛けた。
ロゼはスラッガーの攻撃をハープでひらりと受け流した。
「私は決してあんたになめてかかっているわけじゃないわ! ですがあんたなんかでつまずいていたら私は一生彼の横に立って戦うことなんてできない!」
ロゼはスラッガーにそう言うと右手でハープの弦に触れた。
「奏でろ! ‶音の水刃〟‼‼‼‼‼‼‼」
ロゼはハープを弾き始めた。すると、その音を聞いたスラッガーの胴がいきなり斜めにかけて深く切り裂かれて出血した。
「グアーー!? なんなんだあ!? これは!」
胴を斬られたスラッガーは叫び混乱していた。
「私は音の波をあんたに伝えたまでだ! この魔法は水の斬撃を音に混ぜることによって音速で水の斬撃を飛ばすことが出来るの! さらに音は水面に石ころを落としたときに起こる波のように広がるため、あなたがどこにいようが私のハープの音を聞いた時にはすでに私の水の斬撃を受けているの!」
ロゼはそう言いながら連続でハープを弾いた。
するとスラッガーは細かい切り傷を一瞬でつけられたり、深い傷をつけられたりした。
「音の波は高い音と大きい音で形が変化することは知っているかしら? 大きな音の波は強い波が一気に押し寄せてくるときに起きるのに対して、高い音は細かい波たちが連続で押し寄せてくるときにできるの。だから大きい音のときは強い斬撃、高い音のときは連続した斬撃を飛ばすことが出来るの! だからその音たちを組み合わせるとこんなこともできるのよ! ‶旋律の水刃〟‼‼‼」
ロゼはそう言うと、ハープで曲を弾き始めた。
すると高い音から大きな音、速いテンポによって無数の水の斬撃を生み出された。
ズバババババババーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼
スラッガーがその曲を聞いたときにはすでにミキサーの中に入れられた野菜のように切り裂かれた。
「グアァァァァァァァ‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
無数の斬撃をまともに受けたスラッガーは血まみれになりながら地面へと墜落していった。




