魔道具を作ろう!3
「ふぅ、これでシールズ辺境伯爵領に行っている間も大丈夫だろう」
カインはテーブルの上の【ホットウォーター】の魔道具を眺めながら呟いた。
「あっ、しまった。【光】の魔道具を作らないと。”浴場”が真っ暗になっちゃう」
”浴場”では、湿度が高いのと煤で汚れるから、照明は全部カインが毎日【光】を使っていた。
「でもなぁ、羊皮紙じゃ同じだし。うーん・・・そうだ新しく覚えた魔法で解決できないかな?」
先ほど増えているのに気が付いた【魔法陣魔法】の事を思い出し、ステータス・オープンと唱える。
〜〜〜〜
【魔法陣魔法】▼
中略
Lv1; 魔力インク作成、魔法陣作成、魔法陣転写
New 魔法陣創作、New 魔法陣縮小
・Lv.1;魔力インク作成 〈魔法陣を作成し描くためのインクを作成〉 MP:30
魔法陣作成〈【解析】した魔法の魔法陣に変換する〉 MP:50
魔法陣転写〈作成済みの魔法陣を物に転写する〉 MP;100
魔法陣創作〈作成した魔法陣を他の魔法陣と接続、変更、創作出来る〉MP:40
魔法陣縮小〈作成、創作した魔法陣を任意に縮小出来る〉MP:150
※この【魔法】に呪文はない。【魔法】名を唱えてイメージする。
〜〜〜〜
「そうか、【魔力】チャージの魔法陣(魔石へ【魔力】を吸収させる魔法陣)と【ホットウォータ】の魔法陣を繋げたから覚えられたんだな。【魔法陣創作】の【魔法】を思い浮かべると魔法陣を繋げるための記号が浮かんで来るしなぁ」
カインの頭には、魔法陣を繋ぐ時に使用した”++<”や3つの魔法陣を繋ぐ記号等が浮かんできた。
「そうだ、【魔法陣創作】で【ホットウォーター】の【魔法陣】を最初から300Lの熱湯が出る魔道具にしちゃえば使いやすいかも、此処の記号を変更して」
カインは【ホットウォーター】の魔道具を一度に300Lの【ホットウォーター】の魔道具に変更した。
「次の【魔法陣縮小】は、そのままの【魔法】だね、これは何が嬉しいんだろう。羊皮紙に転写する時のスペースを減らす?あれ、確か【魔法陣転写】は、魔石にも出来たんだった」
ベンジャミンから1個分けてもらったゴブリンの魔石を机の引き出しから取り出し机の上に置く。そして【光】の魔法陣をストックから選び【魔法陣縮小】で魔石のサイズの半分くらいまで縮小、【魔法陣転写】で転写した。
「すごくスムーズに出来ちゃったけど大丈夫かな? あ、魔石が少し青っぽくなってるし、中に魔法陣が見える。試しに使ってみるかな、【光】」
【光】を唱えると魔石の直上に光が現れる。その後魔石が砕けた。
「ああああ、【魔力】チャージする前に転写しちゃったから【魔力】が足りなくて砕けちゃったのかな?確認してから使えば良かった。なんて馬鹿な事を…」
カインはその場にへたり込んだ。たっぷり5分程落ち込んだ。
「落ち込み終了! 気持ちを切り替えて作り直すぞ!」
立ち直ったカインは、今度は、購入したフォレストウルフの魔石を用意し、【魔力】をチャージ、【魔法陣】を転写した。
「今度こそは、大丈夫なはず。【光】! Yes!成功だぁ!」
魔石は砕けず、光が魔石の直上に浮いていた。後の検証で判明した事だが魔石に転写すると魔石の【魔力】を消費する事が分かった。ちなみに、術者が使う【光】の様に場所をしっかりとイメージして使用するとその場所に、光を固定出来る事が分かったので、予備で2つだけ作った。
カインはさっそく、作成した【ホットウォーター】と【光】の魔道具を持ってランドルフの元に行き、使い方を説明した。【光】の魔道具の事は事前説明していなかったので、少々お小言を貰ってしまった。
そして、”浴場”に行き実際に使ってもらった。【光】については、固定する場所があると便利との事で、”浴場”の壁を一部改造し光を固定できる場所を作った。【ホットウォーター】は、はっきり言って不良品だった。理由は、300Lの熱湯を出す魔道具を作ったので300L出し終わるまで止める事が出来なかった。ランドルフの「気を付けて使う」との進言により、再作成はしなかったが絶対に改善品を作ると心に誓ったカインだった。
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