魔道具を作ろう!2
いつも、誤字脱字のご報告ありがとうございます。
ベンジャミンにあれからこってり絞られて、足の感覚が完全に無くなり、暫く生まれたばかり子鹿のようになったのは、ご愛嬌だ。
但し、痺れた足を突いて遊んでくれたクリスには、いつか倍返しをする事を強く誓った。
「カイン【ホットウォーター】の【魔法陣】消えてるけど、大丈夫?」
「大丈夫です、【魔力】を込めなかったので一回で消えてしまうんです。【魔力】を込めれば複数回使える様になります。【魔法刻印】の様に永続使用には、大量の【魔力】が必要です」
「ふーん、便利そうでそうでも無いんだ」
ベンジャミンが何か考え込んでいた。
「えーと、一回のお風呂で300Lが必要だから、基本が1,200で【魔法陣】で使用だと3倍だから、3,600の【魔力】1日6回入れ替えて、21,600の【魔力】。オークの魔石をMAXでチャージしても2日分かぁ。7セット作らないと2週間は保たないと」
「何かとんでもない事を呟いているんだけど。普通あり得ない、【魔力】量だからね」
ベンジャミンが呆れながら注意をした。
「あはは、でも家族とみんなの為ですから。家以外では、まだ使わないので大丈夫です」
「行動の前に一度深呼吸だからね、カイン」
半分あきらめた表情でベンジャミンが、再度クギを刺した。
ーーー
ベンジャミンの部屋から自分の部屋に戻って、留守中のお風呂用の魔道具を作成した。
「後でランドルフにオークの魔石を買って来て貰おうっと。屋敷で使う魔石に【魔力】をチャージしたら多目にくれるかな?」
「そうだ、さっき何か変わった気がしたんだよね。ステータス見てみようかな?」
「ステータスオープン。あっ、やった!【魔法陣魔法】がレベルは上がって、無い
〜〜〜〜
【魔法陣魔法】▼
中略
Lv1; 魔力インク作成、魔法陣作成、魔法陣転写
New 魔法陣創作、New 魔法陣縮小
〜〜〜〜
でも、魔法の種類が増えてる。やったね!中身を確認したいけど、まずは魔石を貰って来てからだな」
後ろ髪を引かれながら、ステータスを閉じた。
「ランドルフ〜お願いがあるんだけど。オークの魔石を7つ欲しいんだけどあるかな?」
「オークの魔石ですか?先日の討伐で配分された分がありますので、構いませんが何にお使いですか?」
「良かった、無かったら買いに行く所だったよ。あのね、【ホットウォーター】が使える魔道具を作ったから使いたくて。その魔道具を使えば、僕がシールズ辺境伯爵領に行っていても”浴場”にお湯が入れられるんだ。後で使い方を説明するから、僕がいない間はよろしくね」
「また、凄い物をお作りになりましたね。ふむ、一度旦那様に見て頂いた方が良いかと思います。カイン様お時間ありますか?」
「えっ?まあ、大丈夫だけど。父様お仕事中じゃないのか?」
「大丈夫でございます、今頃は急ぎの決済書類が終了し、指示書を作成されている頃だと思いますので」
「了解、出発前には説明をする必要があったし。行きますか」
カインはランドルフと一緒にルークの執務室に向かった。
執務室ではルークとアーサーがランドルフの言った通り、指示書の作成を行っていた。
『おいおい、どこかに監視カメラでもついているのか?』カインが執務室をキョロキョロ見回していると
「カイン、今度は何をしたんだ?」
ルークが楽しそうに聞いて来た。
「何を嬉しそうに言っているのですか、父様? この前少し大人しくさせると言っていたではないですか?」
アーサーが呆れながらツッコミを入れた。
「ベンジャミンやランドルフが駆け込んでこないという事は、生命に関わる様な事ではなさそうだし、いいじゃないか。それでカイン何をしたんだ?」
「はい、【ホットウォーター】の魔道具を作りました。僕がシールズ辺境伯爵領に行っている間も”浴場”が使える様にと思いまして。何も変なことしてないですよね?」
「今度は、魔道具かぁ。いや、家族や屋敷の者を想ってだろうから ”ありがとう、カイン”。でも覚えておいて欲しい、魔道具は確かに作成出来る者の数は少なくない。しかし7歳の子供がそうやすやすと作れる物でもない」
ルークは椅子から立ち上がりカインの元に行き、優しく抱擁する。
「カイン、アーサーを始め皆がお前の身の安全を心配しているんだ。”過ぎたる力は身を亡ぼす事になる”と昔から言われているからな。兎に角気を付ける様に」
カインは、頭をポンポンと軽く叩かれて解放された。「失礼しました」と挨拶をしてランドルフ共に執務室を退出した。
「ランドルフ、心配して貰えるって幸せだよね」
「それを7歳で理解されている事に吃驚ですが、その通りだと思います」
目が見え無くなってしまうほどの笑顔でランドルフがカインに同意した。その後、ランドルフから魔石を入手し【ホットウォーター】の魔道具を完成させた。
いつもお読みいただきありがとうございます。年度末の忙しさも一息つきましたので、少しずつですが頂いたご感想にご返信をさせていただきたいと思います。




