お風呂を作ろう3
いつも、お読み頂きありがとうございます。また、誤字脱字のご報告本当にありがとうございます。途中から入浴シーンになりますので不快に思われましたら読み飛ばしてください。
予想より早く屋根などの施工が終わり、カインは今夜のお披露目の準備を行っていた。お風呂を使う時に必要な、タオルや石鹸(高級)や衣類を入れる籠などを設置していく。それと並行してメイドにお風呂の入り方も説明した。
リディアやアリスが入る時に、カインが一緒に入って説明するのは、一瞬役得!とか考えたが遠慮する事にした。やっぱり恥ずかしいからね。
今のところ、シャワーなどが作れないので、浴槽のお湯を桶で汲んで使ってもらう。だから身体や髪をちゃんと洗ってから、お湯に入る様にお願いした。
後は、工事?の汚れや木屑とかも残っていたので、【魔法陣魔法】で作った【クリーンアップ】で綺麗にして、【ライト】も数個設置した。
初めてなので、カイン頼りになっているが、追い追い改善する計画だ。ちなみに、入り口には"のれん"も掛けて雰囲気はバッチリ。(カインしか分からないが)
日が沈む少し前に、狩りに出ていたルークとベンジャミン達が戻って来た。ベンジャミンは少し疲れていたようだが、ルークはやけに元気だった。リフレッシュできたのかな?
狩りの結果は、かなり大量だった。なんとホロホロ鳥が15羽も獲れたとルークが自慢していた。その他にワイリーボアとかもあり、今から年越しの会の料理が楽しみだ。
獲物のお披露目が終わって、"浴場"のお披露目を行った。かなりの出来に、みんなビックリしていた。家長のルークが1番に入ると思っていたが、「リディアが1番先だ」とルークが宣言したので、リディアとアリスが1番に入る事になった。
「リディア達は、まだ出て来ないのか?」
ルークが何度目かの台詞を言った。
「父さま、女性は髪が長いから時間が掛かるのですよ。ゆっくり待ちましょう」
カインはルークを落ち着かせるが、かれこれ1時間半くらい過ぎていた。
『お湯足りてるかな?』と考えていると、リディア達が髪をアップにした姿でリビングに戻ってきた。
「お待たせしました、あなた」
お風呂に入ってツヤツヤになったリディアが、ルークにいつもより甘い声で言う。
「いや、待ってないぞ。大丈夫だ。それより"浴場"はどうだった?」
少し慌てた様子のルークが冷静を装いながら返事をする。
「はい、想像以上に気持ちが良く。髪も身体もいつもよりきれいになって、さっぱりしました」
微笑みながらリディアが入浴の感想を伝えた。
「なんで、カインは一緒に入らなかったのよ? お風呂で髪を洗ってあげようとしたのに」
ふんすとアリスがカインに近づいてくる。
「アリス姉さま、もうカインは7歳です。恥ずかしいです」
「子供のくせに生意気よ、次は一緒に入るからね」
カインは、あははと笑ってごまかした。
「さあ、父さま。僕達も”浴場”に行きましょう。お湯が冷めてしまいます」
「そうだな、男みんなで入るか! アーサー、ベンジャミン、クリス、カイン行くぞ」
とても楽しそうにルークが部屋を出て行く。その後をしぶしぶアーサー達はついて行った。
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カインは、ルーク達に脱衣所で服を脱ぎ籠の中に入れておくことを説明する。その間に減ったお湯を足しに洋服のままで浴室に入り、【ホットウォーター】を唱えお湯を足した。
脱衣所に戻ると衣服を脱いで上半身裸のクリスが目に入った。
「クリス兄さま、細いのに筋肉がしっかりついていますね。僕なんかまだぽよぽよで恥ずかしいです」
「カインも学院に入って訓練すれば、すぐに筋肉がつくよ。アーサー兄さんなんて、訓練で傷だらけだよ。見てみな?」
皆に背を向けながらズボンを脱いでいるアーサーを見ると、背中に小さいと言えない傷が無数にあった。
「なんで、あんなに傷があるのですか?」
「騎士団の訓練が厳しいんじゃないかな? ほらベン兄さんも魔術学院で訓練しているから細いけど筋肉ついているし。ぽよぽよなんて言ってられるのは今の内だよ」
クリスは、自分の割れた腹筋を拳で叩き笑いながら言った。
『うん、僕はどちらにも行かないように頑張ろう』
カインは、兄達の身体を見ながら心に固く決めた。
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「まずは、”かけ湯”です。この桶でお湯を掬って足からゆっくりと掛けてください。次に身体全体に”かけ湯”をしてください」
ルーク達はカインに言われた通り、足から”かけ湯”をする。
「次は、髪を洗います。2,3回髪に”かけ湯”をした後 石鹸を泡立てて洗ってください。よく髪を揉む様に泡を使って洗ってください。最後に泡を流して終わりです」
カインは髪の洗い方を解説しながら、見本を見せながら自分の髪を洗った。たまにお湯で髪を洗う事があるが基本水で洗うため汚れが溜まりやすかったりする。しかし、その辺は【魔法】のある世界なので、【クリーンアップ】を定期的にかければ綺麗になるため、気にしなかったりする。
「髪は洗い終わりましたね。次はみんなで身体を洗いましょう。アーサー兄さまは父さまの背中を、ベン兄さまはアーサー兄さまの背中を、クリス兄さまはベン兄さまの背中を。そして僕がクリス兄さまの背中を洗います。分かりましたか?」
ルークから順番に並び相手の背中をゴシゴシと洗う。初めての事で少し照れながら行っていたが、次第に楽しそうに洗っていた。
「それじゃ、逆向きになって背中を洗いましょう」
カインは、反対を向いてクリスに背中を洗ってくださいと頼んだ。逆向きになるとルークがアーサーの背中を洗う事になるのだが、「遠慮するな」とルークは成長した長男の背中を洗う事を楽しんでいた。最後に自分で背中以外を洗い、泡を流して終了した。
「ふー、湯に浸かるのもいいなぁ。疲れが染み出すようだ」
「そうですね、事務仕事で凝り固まった身体がほぐれます」
「身体が温まると【魔力】の通りも良くなるような気がするね」
「筋肉痛にも良さそうだよ」
ルーク、アーサー、ベンジャミン、クリスがお湯に浸かった感想を言っていた。
『ふー、本当にお風呂に浸かると疲れが取れるねぇー。作ってよかったー』
お湯に浸かりながら、リラックスしている家族を見て改めて作って良かったと思うカインだった。




