砦を作ろう2
ありがとうございます、評価を下さった方が1000人を超えました。本当にありがとうございます。今後も引き続き頑張ります。(カインがwww)
砦の詳細が決まった後、丁度お昼になったので参加者全員で昼食を食べる事になった。今日のお昼は、ロイド料理長特製の”ハンバーグサンド”だった。と言っても見た目は、でっかいハンバーガーで通常のハンバーガーの2倍くらいの大きさのバンズに同じく2倍の大きさのハンバーグ、葉物野菜とトマトそして、ソースとマヨネーズを混ぜたソースがたっぷり入っていた。
「「「旨い!! 領主様ありがとうございます。こんな美味しい物を食べれて幸せです」」」
サンローゼ家以外の参加者が声をそろえてルークにお礼を言い夢中になって食べている。
「カイン、これはなんという食べ物なんだ?」
ルークが不意に聞いて来たので、思わずカインは「ハンバーガーですね」と答えてしまった。
『あっ、やっちまった。つい答えちゃったよ』
カインがじっとりと汗をかいていると。
「ほー、これは”ハンバーガー”というのか。うん、旨いな」
「そうですね、手も汚れずに気軽に食べれていいですね」
「ほんと、ほんと、パンも肉も大きいから1つで腹いっぱいになるし!」
ルーク、アーサー、クリスが”ハンバーガー”を褒めちぎっている。
「へー、これも”勇者様の書”に載っていたのかな? カイン?」
かなり疑っている目をカインに向けながらベンジャミンが指摘してきた。
「そうです、”勇者様の書”に書いてあった”ハンバーガー”によく似ています。なんでロイド料理長は知っていたのでしょうねぇ?」
出来るだけ冷静さを失わない様に、ベンジャミンに回答するカインだった。
「りょ、領主様。この”ハンバーガー”を街に流行らせても良いでしょうか。この味、量、食べ易さ。職人達に絶対流行ると思います。ぜひお願いします」
石工ギルド長が席を立ちルークに深々と頭を下げてお願いしている。
「いいぞ。レシピはロイドから貰って行ってくれ。これから砦や城壁作りに協力してもらうからな。石工ギルドでこの”ハンバーガー”をぜひ流行らせて欲しい」
ルークは上機嫌に石工ギルド長に”ハンバーガー”のレシピを渡す事を快諾した。
少し先になるが、石工ギルドが流行らせる”ハンバーガー”は、”サンバーガー”と呼ばれ領内外の多くの人々に新たな”食文化”を広めた。また、”サンロックバーガー”と呼ばれる、カイン達が食べた”ハンバーガー”より硬いパンで作られた物が、特に職人達の間で長く流行った。
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カイン達は昼食後、大深森林側の城壁前に集まっていた。整備局の職員たちが協力して砦の下書きをしているのを静かに待っていた。カインは、ロープなどを利用して整備局員達が真直ぐ地面に線を描き、砦の形である”台形”を描いているのを感心しながら見ていた。
1時間位たって”台形”の線が完成した。カインは台形の中に全員が入ったのを確認した後
「それじゃ、まずは基礎の”穴”を作るので少し下がってください。【ホール】」
カインの力ある言葉のあと、線に沿って幅6m、深さ3mの穴が出来上がった。
「「「おおおっ、す、すごい」」」
カインを見守っていたルークと関係者は、一気に出来上がった穴というか、空堀に感嘆の声を上げた。
「ふう、何とかイメージ通りに出来たね。念のため解析の”眼鏡”で幅を確認しようかな」
カインは解析の眼鏡を掛けて作った空堀を歩いて確認をした。イメージが良かったのか幅が6mより小さい所はなく、大きくても+5㎝までの誤差で出来ていた。
次にカインは石壁を作るために、”台形”の真ん中に移動し”循環”を始める。カインの側にはベンジャミンが立ち【魔力】の流れを見ていた。
「カイン、”循環”させる【魔力】の塊を増やすんだ、全部が繋がる様にして1つの筒くらいになるまで頑張れ、大きな【魔力】の塊を作って【魔法】を使うより反動が小さくなるはずだ」
”循環”を続けてベンヤミンが指示した【魔力】の筒のような塊を作った。
「ベン兄さま、いきます! 【ロックウォール】!!」
手を地面に付いて膨大な【魔力】と共に石壁が立ち上がるイメージを固める。先ほど作った空堀の底から”ズズズズズゥ”と地鳴りに近い音がして石壁がせり上がってきた。石壁はどんどん伸びて、いつまでも伸びていくかと思った頃”ピタ”と止まった。
「「「おおおおおっ、何だこれは!!!」」」
目の前で起きている事を信じられないと、気持ちがたっぷり籠った叫びに近い声が上がった。
「はあ、はあ、はあ」
カインは、数百メートルも全力で走った様な苦しさを感じ少しでも、空気を肺に入れる為 えずく様に息をした。何とか倒れるのを堪えたがよろめいてしまい、ベンジャミンが支えてくれた。
「大丈夫かい? 一気に【魔力】を使ったから体に跳ね返って来たんだね。回復するまで少しジッとしていなさい」
カインとベンジャミンがそんな事をしている中、他のメンバーは石壁に近づき触ったり、叩いたり、中には削ったりしていた。口々に「これは、凄い」や「すばらしい」などの感想をつぶやいていた。
10分くらいして落ち着いたカインは、入り口を作るために石壁に近づき再度イメージを固め【デリート】と発声する。その直後、幅5m、高さ5mの頂点が半円状になった穴が開いた。
「よし、出入り口完成。もう今日は動けないかも」
カインは、やり遂げた達成感と共に気を失い、その場に崩れた。
それを見たルークや兄達は「カインを守るのは私達だ」と心に誓い、その他の参加者達は「サンローゼ家を守るのは私達だ」と心に誓った。




