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クリスの戦い

カインとアリスが馬車に乗って屋敷に戻ると、屋敷の入り口に沢山の人が集まっていた。

「あら、何かあったのかしら? お客様かしら?」


馬車が人だかりをよけて少し手前に止まった。御者がドアを開けて2人は馬車を降り屋敷の入口に近づいた。人だかりは、メイド、執事、兵士達で兵士達の中には怪我をしている者もいた。メイドの1人がアリス達に気づき「おかえりなさいませ」と言うと一同が2人の方に向き挨拶をして道を開ける。


「はい、ただいま。何があったの? どうかし...ク、クリス兄様!」

アリスが帰宅の返事をして、何事かと質問をしている途中で血だらけのクリスの姿を見つけた。カインも後ろから覗くと衣服が血だらけのクリスが玄関の前で座っていた。アリスとカインは、クリスに走り寄る。


「クリス兄さま、今【回復魔法】を使いますから、ジッとしててください」


「ま、待ってカイン、もうポーションを使って、傷は塞がっているから。それよりも向こうの怪我をしている兵士達に魔法を使ってくれない?」

クリスの指さす方を見ると6人程の兵士達が傷だらけで横になっていた。周りには傷の手当てをするメイド達が忙しく動き回っていた。


カインは兵士達に近づき、【エリアヒール】を少し【魔力】マシマシで掛ける。6人を柔らかな光が包み傷を癒していく。傷の痛みに呻いていた兵士達は、傷が癒え痛みが無くなって驚く。


「ふー、間に合った様で良かった。まだ、痛みがあったりする人いますか?」

カインがまだ癒えきってない人がいるか確認をする。


「「「カイン様、ありがとうございます」」」

傷を治してくれたのがカインだと気づき兵士一同お礼を言ってきた。


「カインがいるとポーションいらずだね。ありがとう」

ベンジャミンがポーションの瓶を持って笑顔で褒めた。


「ベン兄さま、何があったんですか?」


「今日、クリス達が大深森林だいしんしんりんに狩りに行ったのは知っているよね。少し奥の方に行ったらしいんだけど、そこで”ブルーグレーベアー”と遭遇したんだって。なんとか倒したけど大怪我を負ったんだよ」


「”ブルーグレーベアー”なんてっ!クリス兄さまは、どれだけ奥に入ってしまったのですか?!」


「でも、中域位までしか行ってないって言っているんだけどね。運が悪かったしか言いようがないけど。クリスって意外と強いんだね。びっくりだよ」

ははは、と笑いながらベンジャミンは説明してくれた。


---

玄関先での騒動を終えて、訓練場の方に行くとクリス達が狩りで倒した”ブルーグレーベアー”が解体されていた。体長が3mくらいあり、鋭い爪と牙を持ち毛皮も厚く大深森林だいしんしんりんに生息する魔物の中でも上位の強さを誇る。通常遭遇したら、すぐに逃げる様に教わる。


その他に、ワイリーボアx2、グレーディアx4、角うさぎx8などが訓練場で血抜きと解体がされていた。どうやって持って帰って来たのか不思議に思っていると、クリス達以外にも4チーム程で行っていて”ブルーグレーベアー”を倒した後、合流して戻って来たんだとベンジャミンが教えてくれた。


「いくら何でも、クリス兄さま頑張りすぎじゃないですか? 」


「そう思うよね、でもみんなに沢山美味しいお肉を食べさせたかったんだって」

クリスの優しさは理解するが、命を落としてはしょうがない。そんな雰囲気を漂わせて、ベンジャミンはため息交じりでつぶやいた。


「そうそう、カイン。【ホットウォーター】を習得できたのかな? ”浴場”だっけ私も興味があるから一緒に作らせて貰えないかな?」


「ぜひお願いします。魔石から魔力を引き出す所とか難しそうなのでお願いします」

カインとベンジャミンは、”浴場”で使う魔道具の作成方法について話しながら屋敷の中に入って行った。


---

「いやー、さすがに今回は死んじゃうかと思ったよ。まさかあの”ブルーグレーベアー”と遭遇すると思わなかったから」

夕食時に、怪我から回復したクリスが今日の狩りの様子を家族に話していた。かなりギリギリの戦いだった事が話の内容から分かる。


「僕の班は、最初グレーディアを仕留めたんだ。今考えるとその狩り方が悪かったんだと思うよ。弓兵が最初後ろ脚に矢を刺したんだけど。グレーディアは止まらなくて血を流しながら森の奥に逃げてしまったんだ。何とか追いついて囲んで仕留めた。その時も血を結構流してたから、多分ブルーグレーベアーはその血の匂いで森の奥から出て来たんじゃないかな?」


「撤退は考えなかったのか? クリス」

アーサーが低めの声でクリスを見つめながら問う


「もちろん考えたよ、一度は全員で逃げたんだけど追いつかれてしまったんだ。その時に班の1人が足に攻撃を受けて動けなくなってしまったんだ」

アーサーが「その時になぜ、構わず逃げなかったのかと」責める目でクリスを見ていた。


「でも、ブルーグレーベアーは狡猾でね。動けなくなった1人に目もくれず足を止めた兵士へ攻撃をしたんだ。だから僕達は、逃げるのを止めて戦った。じゃないとブルーグレーベアーの方が足が速いからその内に全滅すると判断したんだ」


「ブルーグレーベアーは、そんなにも狡猾なのか」

ルークが苦々しい表情でつぶやいた。


「その後は、盾を持っていた僕ともう1人で盾役をして少しずつ削って何とか倒したんだ。いやぁ、盾が壊れた時は、死を覚悟したね。でもその時、時間をゆっくり感じてブルーグレーベアーの攻撃がゆっくりになったんだ。その攻撃をかわした後、全力で動いて攻撃したら後ろ脚を切断出来て倒せたんだ。不思議だよね?」


クリスは首をかしげながら、「不思議だ、不思議だ」と言っていた。

『クリスは、何かの【スキル】が発現したんじゃないかな?でも、見れないから分からないけど』


クリスが無謀な戦いをしたのではなく、正しい判断をしたのをルークは褒めたが父としてと前置きをして「無理をするな」と言った。クリスは、真剣な目で「はい」と返事をした。


『本当にクリスが無事で良かったよ。しかし大深森林だいしんしんりんで何が?』


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― 新着の感想 ―
[一言] カインとアリスの母は、譲渡するスキルを間違えてるよね? アリスは身体強化をいつ使うのかな?騎士になるのか?
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