生活魔法を覚えよう2
昨日は、メンテナンスと重なってしまって投稿が出来ませんでした。一日ぶりの投稿になります。よろしくお願いいたします。
カインとアリスは、侍祭様に案内されて教会の中に案内された。中には、”洗礼の儀”の時に
カインを案内した司祭様が待っていた。
「良くお越し下さいました、カイン様。本日は【生活魔法】を習得したいとお伺いしておりますが
どの【生活魔法】を習得したいのでしょうか?」
「はい、【ホットウォーター】を習得したいのですが、その他にも良い物があったら併せて習得したいと
考えています。でも、可能でしたら【生活魔法】の歴史とか教えてくれませんか? 勇者様が考えられたと
聞いてとても興味がありまして」
「そうですね、少しだけであれば。ご存知の通り【生活魔法】はその昔、勇者様が考えられて広められました。勇者様は、【魔法】のスキルが無くても少しだけ生活が便利になる【魔法】が無いかと考えられて創られたと伝えられています」
司祭様は、教会の中にある”勇者様”のシンボルである”双剣と杖”の紋章を見て説明を始める。
「勇者様が創られた【生活魔法】は、【魔力】があれば使用が出来るので多くの人が習得し生活が向上したと言われています。ただ、当初は勇者様しか【生活魔法】を授ける事が出来なく、毎日毎日多くの民が勇者様を訪れたため、勇者様が一時逃げ出したという逸話も伝わっています」
カインとアリスは「「へー」」と自分達のご先祖様の話を聞いていた。
「そこで、勇者様はこれからご案内する授与の部屋にある”石板”を創られ教会に【生活魔法】の授与が出来る様にしました、収入を得られるようにしてくださったのです。本当に尊い事だと思います。そして本日はなんと、勇者様の血族であるカイン様に【生活魔法】を授与する名誉が得られて朝からずっと神に感謝の祈りを上げていました」
司祭様は、とても嬉しそうに神様のシンボルに向かって目礼し祈りを再度捧げた。
『へー遠藤さん凄いや。ありがとうございます』
カインは、勇者様(遠藤)に目礼と共に感謝を述べた。
「さて、カイン様。どの【生活魔法】を習得したいのですか?」
「【ホットウォーター】を覚えたいのですが、他に何があるのですか? 【生活魔法】はいくつ位あるのですか?」
「勇者様がお創りになられた、【生活魔法】は全部で10個です。しかし現在までに伝わっているのは9つです。他にも習得されますか?ただ覚えられる数には、個人差が有るので全部とはいきませんが。いかがされますか?
・魔法名/消費魔力/説明
・ライト/5/ゴルフボール大の60W(810lm)の光が出現する。持続時間5h
・ブロウ/3/温風を30秒手から出す。
・クリーンアップ/6/6畳くらいの部屋をきれいにする。又は1人を風呂上りの後位にきれいにする。
・点火/1/ライター位の火種を10秒程作る。
・浄化/1~10/食べ物や飲み物を滅菌する。滅菌対象により必要魔力が変わる。大きすぎる物は不可
・冷却/1~10/液体を-5度位まで冷やせる。対象の量と温度により必要魔力が変わる。
・ホットウォーター/2/100度のお湯を500㏄出す。
・拡声/3/声を5倍の音にする。持続時間は3分 途中で止める事も可
・ルーペ/3/人差し指と親指で輪にして使用。輪の中に3倍の拡大レンズが現れる。持続時間は10分。指を外すと消える。
「そうですね。【ホットウォーター】と【ルーペ】と【ライト】が習得出来たらしたいです」
【生活魔法】の一覧を見ながら、カインは司祭様にお願いした。
「3つなら、多分大丈夫だと思います。覚えられる数は”習得石板”に手を乗せると分かるので早速移動しましょう」
司祭様、カイン、アリスの順で”習得石板”がある少し薄暗い部屋に移動した。部屋の中央に石板が置かれており、その向かい側にも石板があった。カインは、中央の石板に両手を置くように言われてゆっくりと手のひらを置いた。
カインが両手を置くと中央の青い宝石が4回光った。
「カイン様、宝石が4回光ったので、4つまで覚えられますよ。もう1つも覚えますか?」
「いいえ、3つでお願いします」
「それでは、手を置いたままにしておいてくださいね」
司祭様は、呪文らしきものを唱え始める。しばらくするとカインが手を置いている石板から淡い光が発生しカインを包み消えた。
「はい、無事習得が出来たようです。後程ステータスボードを確認してくださいね」
「アリス姉さまも覚えませんか?結構便利だと思いますよ」
「でも、今日あまりおこづかいを持ってこなかったから」
「僕のを使ってください。道を”石畳”化した時に頂いたお金がありますので、ぜひ」
「う、うん。それじゃ【クリーンアップ】と覚えられたら【ライト】かしら?」
アリスは、カインの時と同じに”石板”に両手を置く。宝石の点滅は2回だった。
「アリス姉さま、2つとも覚えられますよ!良かったですね!」
アリスは、【クリーンアップ】と【ライト】を習得した。とても嬉しそうだった。
カインは、金貨15枚を司祭様に渡し部屋から退出した。
礼拝堂でカインは、ガーディア様への祈りをしばらくの間行い。司祭様にお礼を言って教会から外に出ようしたとき切羽詰まった女性の声を聴いた。
「お願いします、弟の怪我を治してください。お願いします、お金は後で届けますので。お願いします」
教会の入り口で、女性が小さな男の子を抱えて教会関係者にお願いしていた。
「お気の毒ですが、その場でお支払いを皆さんにお願いしており、後払いではお受けできないのです」
「そこを何とか、お願いいたします、お願いします」
女性が懇願をしているが、教会関係者は取り合わない。周りにいる人々も哀れみと冷ややかな目で見ている。
『理解は出来るけど、1人でも例外を作ると次から次と同じ様な人が現れるから。でも、でもね』
「カイン、ダメよ。あなたが治してあげてたらそれこそ毎日同じ様な領民が屋敷に押し掛ける事になるから」
カインの気持ちを知ってか、アリスが釘を刺す。
「分かっています、分かっていますが…カインは見て見ぬ振りは出来ません」
カインは、下を向いて噛みしめる様につぶやく。
「司祭様、アリス姉さまがお怪我をされている様なので【回復魔法】を使いたいのですが良いでしょうか?すぐ済みますので」
「は、はぁ、アリス様にご使用になられるのであれば構いませんが…」
「ありがとうございます、さっアリス姉さま。こちらにお願いします」
カインは、アリスを女性達の方に少し近づけ両手を取る。
「カイン、私は怪」「さ、ほら手の平のここに傷があります。ジッとしててくださいね」
アリスの発言を自分の言葉でかぶせて止める。
「【エリアヒール】あ、間違えちゃいました。でも手の傷治ったからいいですよね。僕もドジですね。あはは」
カインはかなりわざとらしく大きな声で話す。カインの【エリアヒール】は、女性と男の子までを光で包み消えた。男の子の怪我が癒されていた。
「司祭様、ありがとうございました。アリス姉さま、カフェに行きましょう」「ハイハイ、そんなに引っ張らないで」
カインはアリスの手を引いて教会から出て行った。




