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ベンジャミンの計画3

「【魔法陣魔法】は、そこまでとんでもない代物とは...何か制限とか無いのかな? でないと、この世の全ての【魔法】をカインは使える事になり、使わせる事も出来るよね」


「もちろん制限があります。【魔法陣魔法】の-1レベルまでしか、魔法陣化出来ませんし、発動には、10倍の【魔力】が必要です。なかなかレベルが上がらないので、ベン兄さまの考えているような事までなるには、物凄い時間と沢山勉強けいけんが必要だと思います」


「まあ、そうなってもカインだから、大丈夫だと思うけど。何か大きな事をする時は、父様に相談するんだよ」


「はい、お約束します」


「素直で嬉しいよ、話を戻すけど【温度】を変える【魔法】は、レベル2の【魔法】だけどレベルは足りてるのかい?」


「レベル2ですか。残念ながら全然足りませんね。レベル1なら頑張ってレベルを1つ上げれば【魔法陣】化出来ると思ったのですが。レベルを2つも上げるのは、現状無理ですね」

絶望感を漂わせてカインは、呟く。


「あれ、そうすると【魔法陣魔法】はレベル1なのかい? 【魔法陣】化は、どうやって確認したの?」

ベンジャミンは、不思議そうに質問してきた。


「ああ、それは【生活魔法】はレベルが無いからなのか、現状でも確認する事が出来たんです。【生活魔法】には、温度を変える魔法は流石に無いですよね、はぁ」

カインは、毎日お風呂の夢が終わったと肩を落とした。


「なんだ、【生活魔法】でいいなら【ホットウォーター】でいいんじゃない?」

ベンジャミンがキョトンとした顔でカインに言った。


「えっ、ベン兄さま。【ホットウォーター】なんて【魔法】があるのですか? まさか、こんな解決方法があるなんて。ガーディア様ありがとう」


興奮しているカインを不思議な物を見る様に見守っていた。その後、カインは【刻印魔法】の魔石から魔力を引き出す方法を教えてもらい、しっかりと【解析】して【魔法陣】にして保存した。あとは、【ホットウォーター】を教会で教えてもらうだけだと、カインはベンジャミンに抱きついて喜んだ。


下水道の話をし始めようとすると、ルークがアーサーと会議室に入ってきた。


「父さま、アーサー兄さま、どうしたのですか?」

カインは、会議室に入ってきた2人に質問をする。


「お前達こそどうしたのだ? クリスと一緒に狩りにでも行ったのかと思っていたのだが。ベンジャミンが一緒でないとはあまり成果は無いと思った方がいいな」


「父様、クリスは2回生ながら学院でも上位の実力者ですよ。それなりの魔物を獲ってくると思いますよ」

アーサーがクリスをフォローする。


「そうなのか? 入学前は角ウサギに苦労してたのに、成長したな。この休みの間に手合わせをしてみよう」

うんうん、と考え深く話しているルークを見て、父さまってどのくらい強いんだろう?と思っていた。クリスは、この前の戦闘時にオークを一人で倒していたからだ。


「そんな事より、何か用事があって会議室に来られたのではないですか?」

ベンジャミンが話を戻すために、ルークとアーサーに最初の質問を繰り返した。


「おお、そうだった。アーサーに城壁の拡張について意見を聞こうかと思ってな。カインのおかげで城壁の修繕と拡張が少し出来そうだからな。王都の城壁の構造から我が領にも取り入れられる物が無いかと思ってな。この模型を見ながら話を聞く所だった」


「それは、ちょうど良かったです。今カインと砦の作成と城壁の拡張について模型を作っていたところです。話を聞いて頂けますか?」

ベンジャミンがカインと作った模型を元に砦の機能と役割。城壁の拡張について論議を開始した。そんな、父と兄達を見てカインは本当に領民思いだなとほっこりした。


「・・・なので、カインの【土魔法】で一度砦から作ってみたいのですが良いですか?」


「ベンジャミン、その話からすると砦も城壁もカインの【土魔法】で作れてしまうのか?【土魔法】とはそれほどの可能性があったのか。それともカインの実力か・・・」

ルークが考え込み始めた。


「ちょっといいか? ベンジャミン。最近の研究では、城壁は全部石で作るより壁の中に空洞を作り砂や砂利を詰めた方が加わる衝撃に強いと言われてたりする。どうせ作るのなら専門家の意見をきちんと聞いて行わないか?」

アーサーが改善案を付け加える。


「よし、明日騎士団各隊長と城壁工事担当者、それに街の大工の棟梁も呼び協議しよう。これから作る砦も城壁もお前達の時代にこそ必要な物だからな。より良い物を作ろうじゃないか」

そこに復活したルークが意見をまとめる。



「この計画の”要”は、カインなんだから一緒に参加するんだよ。その前にこの模型は皆には見せられないから砦と城壁だけの模型を別に作ってくれないかな?」

ベンジャミンが少し離れていたカインを呼んだ。


「はい、喜んで」

カインも輪に入れた事を嬉しく思った。







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