ベンジャミンの計画2
「ベン兄さま、すごいです。ぜひ実現させましょう!僕ならいくらでも協力します!」
「ありがとう、カイン。頼もしい弟がいて私も嬉しいよ。詳しくは、朝食後にしようか」
「はい」ベンジャミンとカインは、仲良く朝食を食べに屋敷に戻った。
朝食後、ベンジャミンとカインは会議室で今朝の続きを話していた。領街の道を”石畳”化する時に作った精工な模型を使ってベンジャミンは、大深森林側に作る砦の計画を説明する。
「現在の城壁から台形型に城壁を拡張する。台形の上辺の頂点2つを見張り塔にする。壁の厚みは6mで、高さは、12mにしたい。拡張した台形の上辺には、門を設置し敵を引き込めるようにする。通常時は訓練場に使えばいいかな。後は、台形型の砦門前150mの地点に幅5m、深さ3mの空堀を作成したい」
「ベン兄さま、この模型に追加するので合っているか確認してください。「クリエイトクレイ(拡大)」」
カインが魔法を唱えると、街の模型に台形型の砦が追加された。
「こんな感じですか?」
「うん、そうだね。砦上の壁に外側と内側に”狭間”を追加して」
「”狭間”って何ですか?」
「今の城壁上にある、凸凹になっている壁の事だよ」
「ああ、あれですね。「クリエイトクレイ」 こんな感じですか?」
砦上の壁の上に”狭間”が出来る。
「そうそう、カインはセンスがいいね。これはアイディアだから父様とアーガイル騎士団長達に見てもらって最終的な形を決めよう。ここでは、空堀を追加できないから現地で調整かな」
「次の城壁の拡張は、どのくらいまでを考えているんですか?」
「うーん、感覚的には現在の1.5倍の広さにしたいと思っているんだけどね。ここも父様と相談かな、最低でも城壁外の農地をすっぽりカバーしたいね」
「現在の城壁はどうするんですか? 壊します? 残したままだと新旧の城壁の繋ぎ方が難しいですが」
「残したままにするよ。残しておけば2重の城壁になって防衛力も向上するしね。ただ城壁の拡張は陛下の許可が必要だと思うんだ。その辺も父様に確認だね」
その後も、ベンジャミンとわいわい城壁の作り方について話し合った。
「私の話は以上だけど、カインの相談って何だい?」
「はい、僕もこの領街の生活の向上をしたくて色々アイディアがあるのですが、実現するためにベン兄さまの知恵をお借りしたくて」
「いいよ、まずアイディアを教えて。いくつ位あるのかな?」
「沢山あるのですが、まず2つ作りたいものがあります。1つ目は浴場、2つ目は下水道です」
カインは、今まで温めていたアイディアの内早めに実施したい2つをベンジャミンに話す。
「浴場は、湯を大きな樽の様な物にいれて入る物で合ってる? もう1つの下水道ってなんだい?」
「はい、浴場はその樽をもっと大きくして十数人が1度に入れる様にした物ですね。これを領民が2日に1回は、利用できるくらいの料金で行いたいです。これにより、領民が衛生的になり病気が減ると考えています。もう一方の下水道は、雨水やトイレの排水、厨房で出た排水などを街の地中に作った道に流し領外に出し排水処理をして川などに戻します。こちらも、街の衛生環境が向上し病気が減ると考えています」
「へー、カインは凄い事を思いつくね。そのアイディアはどこから出てくるのかな?」
ベンジャミンが怪しむ目で、カインを見つめる。
『やばい、少し唐突過ぎたかも、そうだ』
「はい、”勇者様の書”と書庫の本を読んでです。なので僕が思い付いた物ではないですね。さすがベン兄さまです」
「ふーん、まあいいか。その内”勇者様の書”に書いてある内容、今度私にも教えて欲しいな。で、そこまで分かっていて私に教えて欲しい事ってなんだい?」
「はい、浴場なんですが”湯”を沸かすのに魔道具を使って行いたいのですが、現在の魔道具の仕組みが分からなくて教えて欲しいのです。具体的には、魔石から【魔力】を引き出して【魔法】を使う方法ですね。あとは、ベン兄さまが習得している【火魔法】にお湯を作る【魔法】があったら使って見せて欲しいです」
「魔石から【魔力】を引き出す方法は、【刻印魔法】でいいと思うから使用する【刻印】を教えればいいかな? 後のお湯を作る【火魔法】は無いけど、水や物の温度を上げたり、下げたりする【魔法】はあるかな。見せるだけでいいの?その後、カインはどうするんだい?」
「はい、見せて頂いた【魔法】を僕の【魔法陣魔法】で魔法陣化して魔道具を作りたいと考えています」
「はい? 【魔法陣魔法】でなんだって?」
ベンジャミンが目を見開いて聞いてくる。
「ですから、僕の【魔法陣魔法】で魔法陣化して魔道具を作るんです」
カインは、にっこりと微笑んだ。




