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報告会儀

厨房での食事会?の後、カインは自室で寝ていた。まだ筋肉痛と魔力痛の痛みがあった為、リディアに1日休養を取るように言われたからだ。

「丸1日寝てたのに、回復が追いつかないってどんだけヤバかったんだろう?」


一昨日の戦いを思い出していた。ゴブリンの不快な声、オークの臭い、極め付けはオークナイトの威圧感。思い出しただけでも寒気を感じた。


「よくアーサー兄様達は戦えるよね。僕は、もう遠慮しよう。ラノベの主人公みたいにダンジョンとかは行けないかな。でもなぁ、お肉は食べたいなぁー。外に出れるようになったら、狩りに行こうと考えてたんだけど。はぁー」


カインは、何処か今の生活がゲームの様に思っていたが、一昨日からは身に染みて現実リアルを感じていた。色々考えていると段々と眠気が増し、また眠りについた。


---

カインがベッドで考え事を始めたころ、会議室では、アーガイル騎士団長と各隊の隊長が、会議の為に集まっていた。ルークとリディアが厨房から3兄弟をつれて、会議室に入ってくる。


「全員起立、領主様に敬礼」

騎士団が立ち上がり、胸に手を当てて礼をする。


「待たせたな、始めよう」

ルークが会議室で待っていた騎士団のメンバーを見て、着席した。


「それでは、まず初めに大深森林だいしんしんりんの偵察報告から、5番隊」

アーガイル騎士団長が5番隊隊長に指示を出した。


「はっ、昨日より行っておりました、大深森林だいしんしんりんの偵察を行った結果をご報告します。魔物達が行軍してきた道を辿ると、冒険者ギルドから報告があった、ゴブリンの目撃されていた川にぶつかりました。そしてもう少し道を辿ると、家らしき物が十数棟立っている開けた土地に当たりました。ゴブリン達が生活をしていた様な跡がありましたが、現在はもぬけの空でした」


「そこにいた魔物達全員が、今回襲ってきたと? しかしあれだけの数で十数棟の家では計算が合わない。まだ、周辺に同じ様な物があるかもしれん、探し出し燃やせ」

ルークが苦々しい表情で命令した。


「はっ、継続偵察を実施し、集落跡を見つけ次第根絶やしにします」

アーガイル騎士団長が命令を繰り返した。


「次、今回の戦闘の詳細を報告してくれ。各隊長から行ってほしい。内容が重なっても構わん。城壁上からでは見えなかった部分が多く、どの様な戦闘だったのか詳しく聞かせてくれ」

ルークが隊長達に戦闘についての報告を促す。


1番隊隊長から順に、今回の戦闘について、どの様に魔物達と戦ったのか、各隊の視点で報告を行った。各隊長共に、カインの【回復魔法】で救われたと報告した。


「ゴブリンとの戦いは、2人で1体の作戦がうまく機能したようだ。オークとオークナイトではもう少し連携も必要だが、兵士一人一人のレベルアップが必要だな。何か良い案がある者は提案してくれ」


隊長達が顔を見合ったり、何かを相談しているが発言に至る者はなかった。


「父様、アーサーから提案があります。発言をお許しくださいますか?」


「良い、言ってみろ」


「ありがとうございます、サンローゼ家の騎士団員は当然と言えばそうなのですが、対人戦に重きを置いて訓練をしていると考えます。対魔物戦は、先代の時は定期的に魔物の侵攻があった為、特別訓練が必要が無かったと考えます。しかし、現状年数回の演習時にしか対魔物戦を経験できないのではないでしょうか。


そこで、偵察を兼ねて小隊単位でしばらく大深森林だいしんしんりんに入り、魔物を討伐されてはいかがでしょうか。討伐した魔物素材の売却収益から半分を特別手当として支給すれば、より士気が高まると思います。 


王都騎士団も定期的にダンジョンへ入り対魔物戦を経験しますので、サンローゼ領でも取り入れる事を提案します」


「うむ、対魔物戦か。アーガイル騎士団長、実現可能か検討して報告してくれ」

アーガイル騎士団長は、「御意」と返事をした。


「次に、カインの使ったあの広範囲の【回復魔法】について、現場では何が起きていたのか、ベンジャミン説明してくれ」


ベンジャミンが立ち上がり説明を始める。

「はい、クリスがオークナイトに切られた後・・・ というわけです。まさか広がった光がすべて【回復魔法】とは、あの時は分かりませんでした」


「そうか、そんな事が・・・この特別な【回復魔法】については、他に漏らす事を禁ずる。各隊員に徹底させるように。それ以外はすでに多くの領民に見られている為、逆に広げるように通達せよ」


「「「御意」」」

騎士団全員が声をそろえて返事をする。


「ランドルフ、陛下への報告はどうすれば良いと思う?」

ルークは少し困った表情でランドルフへ問う。


「はっ、ここは寄親であるシールズ辺境伯にご相談し、ご報告頂くのが良いのではないでしょうか。下手に隠し立てをすると”反抗の意あり”と思われる可能性があります。考え方によっては、味方のみ常に回復し続ける事が出来る軍隊を持っているのと同じですから」

ランドルフが低めに抑えた声で危機感を漂わせる。


「よし、カインの事を書簡にしたためるので、リディア、年越し後の訪問時にシールズ辺境伯に持っていってくれ」


「わかりましたわ」と返事をし、少し考え込む様に下を向いた。


「本日の報告会は以上とする。今回の戦闘は全員ご苦労であった、十分に休んで欲しい」


「全員起立、領主様に敬礼!」

ルークとリディア以外が立ち上がり、敬礼を行った。


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― 新着の感想 ―
[一言] ふと読み始めたら止まらなくなって一気読みしてしまいましたw とても面白かったのでこれからも期待してまってます!
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