はじめての戦闘5
皆様のおかげで、異世界転生・転移/ファンタジーで日間ランキング4位になりました。本当にありがとうございます。つたない文で申し訳ございませんが応援いただけますと幸いです。
「カインしっかりしろ、【魔法】で援護をするんだ」
ベンジャミンが”檄”を飛ばして来た。
『そうだ、今は出来る事をするんだ』
「はい、ベン兄さま!」
しかし、いざ援護と言っても戦闘のスピードが速すぎてカインでは、【攻撃魔法】を当てられそうもなかった。
アーサー達は、拙いながらも連携し、3番隊の兵士達と代わる代わるオークナイトの注意を引いたり、攻撃をしたりと少しずつダメージを与えているが、有効打は与えられず、焦り始めていた。
逆にオークナイトは、次第にアーサー達の攻撃に慣れてきたのか、段々と攻撃が当たり始めていた。
ベンジャミンも他のオークへの攻撃が手いっぱいで、オークナイトへの攻撃が出来てなかった。
『まずい、やばい、このままでは倒せない。出来る事を考えるんだ』
カインは、気ばかり焦り何も出来ずに、ただただアーサー達を見ているだけになってしまった。
"ブウォーッ"、棒立ちになっていたカインに向かっていつの間にか近づいていたオークが叫び声と共に行動をしてきた。
「あっ」カインは、反射的に目を閉じてしまい、死を覚悟した。
"ガン"と大きな音が近くで鳴り目を開けると、クリスが盾でオークの攻撃を受け止めていた。
「戦闘中に目を閉じるなんて自殺行為だよ、カイン?」
「く、クリス兄さま! ありっ」
カインがクリスに礼を述べようとした瞬間、"ザシュッ"と後ろを向いて隙が出来たクリスの背中を袈裟懸けにオークナイトが切り付けた。
「「「クリス(殿)」」」
兄弟達のクリスの名を呼ぶ声が重なる。クリスはゆっくりと前のめりに倒れて、背中から大量の血が吹き出てきた。
「うわぁー!」
カインは、目の前で起きた事に耐え切れず大声を上げた。そして、急にスローモーションに周りがなりゆっくりと自分が後ろに倒れて行く。視界にオークがカインに攻撃をしてくるのが目に入った。
ゆっくり動く世界でカインは、両手のひらをオークに向け準備していた"循環"の【魔力】の塊を全弾"放出"した。
その直後、時間が普通に戻った。オークはカインの【魔力弾】を受けて上半身が吹き飛んだ。
クリスが切られた事により発狂しそうになったカインをベンジャミンの声が繋ぎ止めた。
「まだ間に合う、【回復魔法】だ、カイン‼︎」
「まだ間に合う」の言葉に意識をなんとか繋ぎ止め、膨大な【魔力】を使って詠唱破棄のまま【ヒール】と唱えた。
目が眩む程の光がクリスを包み込んで広がっていった。光が収まると傷が完全に塞がり、体中が発光しているクリスが立っていた。アーサー達は一瞬その状況に驚愕し動きを止めてしまった。オークナイトが再度立ったままのクリスに切りかかった。
「クリス!」
アーサーが呼ぶ。クリスがオークナイトを見たと思ったら一瞬ブレた様に見えて ”ストン”とオークナイトの首が落ちた。そして”ドシャ”と倒れた。
「あれっ? オークナイトが倒れてる?」
クリスが呆けた声を出した。
「馬鹿野郎、また呆けているとやられるぞ。一気に残りを片付けるんだ!」
アーサーの掛け声により、ベンジャミン、クリス、近くの兵士達が周辺のオーク達に攻撃を仕掛けていった。それから20分も立たない内に戦闘が終了した。
「ウォーーーー」「やったぞー」「勝ったぞー」などそこかしこから歓声が上がる。
「総員、被害状況を報告。負傷者の救護に当たれ!また、周辺の魔物に止めを再度行うのを忘れるな!」
アーガイル騎士団長からの指示が飛ぶ。カインは、クリスと周囲を走りながら負傷者に【ヒール】や【エリアヒール】を掛けて回り回復させていった。後日聞いた話だが、クリスを回復させた光で戦場の負傷兵はほぼ回復していたそうだ。
各隊が状況を確認し、アーガイル騎士団長に報告を行なった。
「皆、聞け! これにて全戦闘を終了する。重傷者5名、負傷者135名、死者は”ゼロ”だ!よくやった貴様ら!!全員生き残ったぞ!!!」
「うおぉぉぉぉぉーーーーー」
騎士団全員が団員の死者”ゼロ”に沸き上がった。
「良かったぁ、良かったようぉ」
カインは、鼻水を流しながら泣いていた。アーサーがそんなカインの頭をグリグリと撫でていた。
今回、大深森林から襲ってきた魔物は全部で513体で、ゴブリンが380体、オーク130体、オークナイト3体であった。オークナイトが3体いたものの、ゴブリンの指揮個体がいなかったのが不可解であり、今後も見回りを強化する事がその日の会議で決定した。
領街は、騎士団の死者が”ゼロ”だった事と年越しに向けて大量のオーク肉が手に入った事で盛りに盛り上がっていた。領民達の声援を騎士団と受けながら、屋敷へと続く本通りを進みアーサー、ベンジャミン、クリス、カインのサンローゼ4兄弟は、揃って屋敷に戻り生還を報告した。
「「「「只今、戻りました」」」」
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