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辺境拍が来たぁ~3

「さて、今夜の晩餐会だが、大丈夫か?」

シールズ辺境伯がすごく心配そうに聞いて来た。


「うふふ、大丈夫ですよ、お父様。今夜召し上がっていただく夕食は特別です」

コロコロと笑いながら、シールズ辺境伯の心配事を一蹴する。


「前回は、かなり質素だったからなぁ。あれから少しは豊かになったと報告が来ていたから何も持ってこなかったが、不安での」

それでも、心配そうな表情のシールズ辺境伯。


「それでは、少しだけ。今夜の晩餐会のメニューは、”勇者様”のレシピを復活させたものです」


「なんと、あの”勇者様の書”を読み解けたのか」

驚愕の表情でシールズ辺境伯は、聞き返して来た。


「その辺は、夕食後に詳しくお話ししますわ。それまでゆっくりお過ごしください」

吃驚しているシールズ辺境伯を見て、満足そうにリディアは客室を出ていった。


---

「ふう、何とか乗り切った…練習の成果が出て良かった」

客間に残ったルークが”ドカッ”とソファに座った。


「旦那様、お見事でした」

とても喜んでいるランドルフが主を称賛した。


「さすがに、親子だな。リディアの読みは的確だった。しかし、満額要求が認められるとは思わなかったから少し焦ってしまったぞ。あの位は、シールズ辺境伯になると余裕なのか?それとも、予想より安かったのか?夕食後にでも聞いてみるか?」

ルークは、1週間もかけて考えた条件と料金を思い出して素直な感想を言った。


『そうだよな、ルークが俺に提示した料金の2.5倍も要求しているのに…お金はある所にはあるんだな?』

「シールズ辺境伯領は、豊かなのですね。サンローゼ領も頑張りましょうね、父さま」


「おう、頑張るぞ。カイン期待しているからな」

何か含みを持って返事をするルークだった。


「ランドルフ、そろそろだが、ロイド料理長は大丈夫か?」


「大丈夫だと思います、今朝から気合が入っていましたからね」

ランドルフが静かに答える。


「旦那様も皆様も着替えをして、食堂までお願いします。メイド長お願いします」

メイド長が頷き、ルーク、アリス、カインは着替える為に自室に戻った。


---

シールズ辺境伯とルーク、リディア、アリス、カインが着替えを済ませて着席をしている。シールズ辺境伯が上座のお誕生日席に座り、サンローゼ家は、大人と子供に分かれて座っている。


「シールズ辺境伯様、本日はご足労いただきありがとうございます。ささやかですが、夕食を楽しんでいただければと思います」

ルークが、少し緊張しながら定型な挨拶をする。


「先ほどリディアに教えて貰ったが、あの”勇者様”の残されたレシピを復活させたそうだな。楽しみでしょうがないぞ」

とても、興奮した様子でシールズ辺境伯が料理を待ち遠しくてたまらない感じを前面に押し出してくる。


ルーク、アリス、カインがジト目でリディアを見つめる。リディアは気にせず微笑んでいた。


「既にご存知でしたら、先に召し上がっていただいた方が良いですね。ランドルフ始めてくれ」


「畏まりました」

ランドルフが返事とお辞儀をすると、食堂の扉が開きメイド達が料理を運んでくる。この異世界では、料理を全部一度に出すスタイルの様で、本日の料理が一度に並べられた。


「シールズ辺境伯様、お待たせいたしました。お召し上がりください。メインは肉料理になります」

シールズ辺境拍は、説明が終わる頃にはナイフとフォークを持って食べ始めていた。


「なんじゃ、こっこれは。旨い、旨いな」

シールズ辺境伯は、ハンバーグをモシャモシャ食べながら口に入ったままで感想を述べる。あまりにシールズ辺境伯が夢中で食べているので、食事中に会話もなく食べる事に集中した晩餐会になってしまった。特に”卵焼き”が好評で、「もうなくなってしもうた」と悲しそうな表情をされたのでルークが追加を指示。結局3皿も追加で食べていた。


サンローゼ家の全員がほっと胸を撫でおろした瞬間だった。



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― 新着の感想 ―
心の声で父親の事ルークって呼び捨てにしてるのなんか違和感しかない、前世含めてもルークの方が歳上だろうに
[一言] サブタイトルの「辺境伯」が「拍」になってますよ・・・。
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