勇者様の料理
"石畳"が完成してから1月がたった。"石畳"化は想像以上に反響があり、本通り以外も"石畳"にして欲しいとの陳情が商業ギルドを中心に上がって来ているらしい。
また、"石畳"化の効果か毎日本通り沿いの商店を中心にお掃除のボランティアが増えて、昼間でもゴミや馬車の落とすう○ちとかが落ちてたらしいが無くなったようだ。
加えて、バザールが開かれる広場を石畳にして欲しいとの依頼も来ているらしく、依頼なので商業ギルドから依頼料を貰えると、ランドルフが試算をしていた。カインとしては、人の役に立てば元手がゼロなのでお小遣い程度で良いと思っている。
そうこうしている内に他領にも噂が伝わり、寄親で隣の領のシールズ辺境伯爵が視察に来るらしい。カインは2,3歳の時にあっているらしいが、小さすぎて覚えていない。シールズ辺境伯はリディアの父親なので、ルークにとっては義父の為苦手らしい。シールズ辺境伯が視察に来ると説明している時のルークの顔は苦虫を噛み潰したような顔だった。
「父さま、視察との事ですが見る所は”本通り”と”屋敷前の道”だけですよ。他に何か用意しないとダメなのではないですか?」
「カイン、我がサンローゼ家は特に特産もないのだ。これから騎士団に周辺の魔物狩りと警備を行わせ、魔物の肉を用意するくらいが関の山だ」
ルークは、辛そうに言った。
「あなた、そんなに卑下する事はないですよ。”石畳”の道だけで十分です」
リディアがやさしくフォローをする。
「サンローゼ家に何かおいしい料理でもあれば、おじい様をおもてなしができるんだけど…」
アリスがポツリとつぶやいた。
「そうだ、料理です。父さま!、リディア母さま! ”勇者様の書”に書いてあった料理でシールズ辺境伯が知らなそうなおいしい料理を出すのはどうですか?」
「「えっ? ”勇者様の書”には、そんな事まで書いてあったの(か)?」」
ルークとリディアの声が重なる。
『やっべ、まだ言ってなかったけ、まずいかな?』
「すみません、少し前に見つけたのですが言い忘れてました、つい忙しくて… ごめんなさい」
カインは、下を向きながら謝罪をした。
「報告の件は、あとでゆっくりと話し合うとして詳しく聞かせてくれ、ランドルフ。料理長を呼んでくるのだ」
ランドルフは「畏まりました」と言った瞬間に姿を消した。




